本文へ移動

次へ
上記、【日本国憲法と自衛隊】は
1冊200円(税込み)で販売しています。
お問合せは、こちら
TEL:03-5579-8348

 
 
【ご協力・協賛】
 全国防衛協会連合会では、当協会の活動の趣旨にご協力・賛同いただける企業様・事業者様を対象に、当協会ホームページのトップページへのバナー広告掲載を募集しています。ホームページをお持ちの企業や事業者の皆様、PRやイメージアップのため、ぜひご検討ください。
 また、4半期に1回発刊の会報紙「防衛協会報」への広告掲載も募集しております。

 詳細は、全国防衛協会連合会事務局にお問い合わせください。
☎03-5579-8348
✉ jim@ajda.jp
2025年4月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30

過去のオピニオン・エッセイ

オピニオン

「量体裁衣(りょうたいさいい)」能勢伸之氏 フジテレビジョン報道局特別解説委員
2025-04-01
防衛協会会報第170号(7.4.1)掲載
 本稿が、読者の眼に届くころには、ウクライナ戦争がどうなっているだろう。米露首脳による交渉で、停戦に向かっているかどうか、2025年2月末の時点では不明だ。しかし、2022年2月に始まったロシアによる“特別軍事作戦”という名のウクライナ侵攻は、3年という時間を過ぎ、戦争の方法を大きく変えてしまった。

 まず、多種多様に広がった無人機兵器である。ラジコン機の発展形とでも言うべき、無人機ドローンは、当初は、主として、砲兵用の小型の偵察機材だった

が、無人機そのものが爆弾を投下、ミサイルを発射

し、爆発物を抱えて標的に体当たりするタイプもあらわれた。この体当たり無人機は、地上の標的を叩くだけでなく、飛行中の敵の無人機や敵の攻撃ヘリコプターに体当たりするタイプも現れた。無人機による空中戦である。そして、無人機は、どれだけ離れた敵を叩けるのか。

 ウクライナは、2024年12月、プロペラではなく、ジェット・エンジンで飛ぶドローン、ぺクロを披露。射程およそ700㎞で「ドローンミサイル」という新たな分野の兵器だと紹介した。原理的には、「巡航ミサイル」とどこが異なるのか、筆者には不明である。

 また、同じ2024年12月、ウクライナから直線距離で1000㎞近いロシアの都市カザンが無人機攻撃に晒された。カザンを襲った無人機は、偶然?撮影されていたが、飛距離600㎞以上のウクライナの国産無人機「An―196」にそっくりだった。カザンには、ウクライナに近づかなくてもウクライナ各地に巡航ミサイルを放てるロシア軍の大型爆撃機ブラックジャックの製造・改修拠点がある。ウクライナにとっては重要な“戦略目標”となりうる場所だったのだ。

 無人機は、準戦略兵器的な役割を果たすことが期待されるようになってしまったのだろうか。

閑話休題、固定翼機であれ、4枚のローターを持つクアッドコプター型ドローンであれ、GPSやGLONASSのような衛星航法装置を使い標的に向かう。また、クアッドコプター型無人機の場合、搭載されたカメラの映像をリアルタイムで後方の操縦士が見ながら、操縦するFPVドローンも登場。いずれにせよ、無人機の操縦には電波が重要な役割を果たす。逆に言えば、この電波を妨害すれば、無人機は、コントロールを失い、墜落してしまう。このため、開発されたのが、妨害電波を発信するアンチ・ドローンガンや、その他の妨害装置だ。

 だが、妨害電波対策として、ウクライナ軍、ロシア軍双方で、登場したのが、グラスファイバー・ドローンだ。これは、最長40㎞ともいわれる極細のグラスファイバーとドローンのオペレーターをグラスファイバーで結び、電波を使用せず、無人機のカメラ映像を、グラスファイバーを通じて、オペレーターが見る。無人機のカメラ映像を光ファイバーで操縦装置に直接、送るため電波で送るより、映像の乱れは少なく、ナンバープレートや装甲車の操縦席、偽装網の細かい部分なども、より精確に見え、狙いを定めやすい。そして、操縦信号もグラスファイバーを通じて、ドローンに送られ操縦する。そもそも、電波を使わないので、妨害電波で操縦が狂うこともない。また、グラスファイバーは、無人機から繰り出されるので、樹木や建物に引っかかっても、無人機の飛行を邪魔することはない。

 だが、そんな妨害電波対策を施した無人機もどうしようもないのが、飛行中の無人機を標的として、射撃されることだ。

 このため、接近してくる無人機を間際で仕留める手段として、兵士が散弾銃を持つことも注目される。ドイツで開発され、2024年にウクライナにも1基、引き渡されたとされるスカイレンジャー35対空機関砲システムは、1分間に200発、または1000発の発射速度を誇るが、標的に近づいた35㎜弾1発から、152本のタングステン棒が飛び出し、無人機や巡航ミサイルを仕留めるとされる巨大な散弾“機関砲”とでもいうべきしろものだ。

 無人機とその対策は、ウクライナ軍とロシア軍の戦いの3年間で、思わぬ進化を遂げたとみるべきかもしれない。 

 在来型兵器でも、思わぬ変貌を遂げたものがある。ロシア軍、ウクライナ軍の戦車や装甲車だ。

 前述のように、無人機は、戦車や装甲車など軍用車両を標的とし、開いているハッチやペリスコープ、車軸、車輪、履帯などを狙ってくる。では、戦車や装甲車の側は、どうすれば、無人機攻撃から乗員を守れるのか。

 このため、ロシア軍、ウクライナ軍の戦車、装甲車や軍用車両で目立ち始めたのが、ガビオンメッシュ=通称、鳥籠装甲を車体に取り付けるという方法である。ガビオンメッシュとは、スチールなどで作られたメッシュ状の格子や屋根を組み上げたもので、民間では、斜面の落石防止などに使用するという。しかし、戦車、装甲車などの軍用車両用としては、突っ込んできた無人機や投下された爆発物を引っ掛け、ガビオンメッシュのところで、爆発させて、その下にある装甲やセンサー、ペリスコープ、車軸などへの衝撃を和らげるというものだ。

 ガビオンメッシュを取り付けた上に、偽装網を掛けられることが多いので、元の形状がなかなか分からず、どんな軍用車両なのかも判別しがたくなる。

 もともと、西側諸国では、金属板を組み合わせたスラットアーマーやチェーンカーテンが、RPGなど、対装甲ロケット弾対策として発展してきたが、ガビオンメッシュは、それをさらに簡易・低価格化したものとも言えそうだ。なお、ウクライナでの戦いとは異なるが、RPGを多用したハマスとの闘いで、イスラエルは、メルカバMk・4M戦車に、トロフィー・システムを搭載し、RPG対策とした。これは、砲塔上に小型のレーダーを設置し、RPG等の接近を捕捉。接近方向に散弾状のモノを浴びせ、仕留めるというもので、一定の成果を上げたのか、他国でも、自国の戦車への搭載を検討している陸軍があると言われている。実戦の成果は、事の是非はともかく、頭の体操を凌駕するものがあるようだ。

TOPへ戻る