過去のオピニオン・エッセイ
エッセイ
海上自衛隊が国際観艦式を開催するのは今回で2回目です。記念すべき第1回目は、2002年に海上自衛隊創設50周年記念として執り行いました。早いもので、20年もの時間が経ったのですね。
自衛隊記念日を祝う式典として、3年に一度観艦式を実施していますが、前回に当たる2019年開催回は、静岡、関東、甲信越地方に台風19号が直撃したため、なんと中止となってしまいました。その前は、20015年が観艦式開催年です。「あれ、計算が合わない…」と違和感をおぼえた方も多いことでしょう。なぜならば、陸海空記念式典ローテーションは一旦リセットされたのです。
実は、「東京オリンピック・パラリンピック2020」が決まった時点で、リセットが決定しました。陸自は、警備だけでなく、関連行事や会場の設営等のオリンピック支援に期待されました。ですが、そのままのローテーションだと、2020年が、陸自による中央観閲式の開催回となってしまいます。そこで、2018年に実施予定の観艦式を中央観閲式へ替え、2019年を観艦式、2020年を航空観閲式へと変更しました。
しかし、皆様ご承知のように、新型コロナ感染症拡大により、オリンピックは翌2021年へと延期されたため、結局のところ中央観閲式とオリンピックが重なってしまいました…。
こうして今回は、「20年ぶりの国際観艦式」となり、「前回の観艦式から7年ぶり」となったわけです。
私は、前回の国際観艦式はとてもよく覚えています。1998年の「韓国海軍創設50周年記念国際観艦式」を皮切りに、「インド建国50周年記念国際観艦式(2001年)」など、世界中の国際観艦式を見てきました。ようやく我が国もそこに並ぶわけですから、うれしくてたまりませんでした。本番の天気も申し分ない快晴。観閲艦「しらね」艦尾の自衛艦旗がいつもよりも輝いて見えました。
今回も見事晴天に恵まれました。私は観閲艦である「いずも」艦上に立ち、相模湾に集う艨艟の姿に心痺れていました。これまでの観艦式よりも参加艦艇が少ないのは残念ですが、それは、海自の任務が増えてきたことの証左でもあり、厳しい状況に置かれた日本の安全保障環境も垣間見ることができました。量より質、と申しますか、最新鋭護衛艦の「もがみ」型や最新鋭潜水艦「たいげい」型など、中身は非常に濃くなっており、海自が新しく生まれ変わっていることを実感できたのは良かったです。
海自艦艇に続いて12か国18隻の艦艇がパレードしました。フランスは艦艇を出しませんでしたが航空機を出したので、参加国数でいうと今回は13か国を数えます。ブルネイやインド、パキスタンなど、インド太平洋地域から様々な国が顔を揃えてくれました。最後は、プログラムにはなかったのですが、米空母「ロナルドレーガン」が参加し、観覧者たちを驚かせました。
今回の国際観艦式を通じ、改めて、日本が「自由で開かれたインド太平洋」の一員であるだけでなく、重要な役割を務めていることを知り、誇らしく思いました。