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過去のオピニオン・エッセイ

オピニオン

「勇往邁進」能勢伸之氏 フジテレビジョン報道局上席解説担当役兼LIVE NEWS it日曜 「日曜安全保障」MC」
2022-10-01
防衛協会会報第160号(4.10.1)掲載
     ゆう  おう  まい    しん   
    勇 往 邁 進
  
 この原稿を書いている時点(2022年8月中旬)では、ウクライナとロシアの戦争の帰趨を予測することは難しい。

 前回、このコラムでも記述したが、中立国だったフィンランドは、F―35Aブロック4戦闘機x64機導入の契約を2021年11月に米国と結んでから、NATO加盟を申請。7月5日には、NATO加盟国は、フィンランドとスウェーデンの加盟議定書に署名した。フィンランドのNATO正式加盟は、早ければ、年内にも実現する可能性があるが、その後、注目されそうなのが、フィンランド空軍が2026年から国内配備を開始するF―35Aブロック4戦闘機の存在。米議会報告書に、「F―35Aブロック4戦闘機には核兵器能力を付与される」「具体的には、米軍最新の「B61―12戦術核爆弾」の「初期運用能力」を持つようになるという。広島に投下された原爆「リトルボーイ」の威力が約16キロトンと推定されるのに対し、2022年から生産が開始されるB61―12 戦術核爆弾の爆発威力は、0.3、1.5、10、50キロトンの選択式。そして、B61―12核爆弾は、GPSを使って、従来の米空軍のB61シリーズの核爆弾より、弾着精度を格段に向上させようというものだ。そして、B61シリーズの核爆弾を搭載する任務を負ってきたNATO諸国のF―16 戦闘機とトーネード攻撃機も老朽化の問題に直面しつつある。F―35AライトニングⅡ(ブロック4)ステルス戦闘機での運用可能となるのは、2025年となる見込み。 NATO内では、ドイツ、ベルギー、イタリアなどが、米軍の管理の下、米軍のB61シリーズの戦術核爆弾を国内に置き、いざというときには、自国の作戦機に、その核兵器を搭載し、運用するという、いわゆる核共有(Nuclear Sharing)を行っている。また、これ以外にトルコにも、米軍が使用するためにB61シリーズの戦術核爆弾が置かれており、NATO内には、B61シリーズが約150個あるとみられている。

このため、ドイツのランブレヒト国防相は、2022年3月14日、核共有政策を継続するため、トーネード攻撃機の引退に伴い、F―35Aステルス戦闘機x最大35機を導入する方針を公表した。ポーランドも、F―35Ax32機の導入を決定していて、2022年中にもポーランド向けの機体の生産が開始され、2030年までに部隊が編成される予定。その全てではないが、大部分がブロック4に更新されると伝えられている。

 チェコ政府も、7月20日には、リースで運用している現有のJAS―39グリペン戦闘機のリース延長ではなく、F―35ライトニングⅡ戦闘機x24機の獲得を目指し、米国と交渉すると発表した。これから導入の交渉をするので、F―35Aならば、F―35Aブロック4となる可能性も低くないだろう。

 フィンランドもポーランドもチェコも、もちろん、核共有政策をとるとはしていないが、ロシアからすれば、ドイツはもとより、フィンランド、ポーランド、チェコが、F―35Aブロック4を導入するなら、気掛かりになるのではないだろうか。

 もちろん、F―35Aブロック4型機なら、全て、核爆弾を搭載、運用できて、核共有ができるわけではないだろうが、これからの核共有を実施するためには、少なくとも,F―35Aブロック4である必要がある。

NATO核政策局のコックス局長は、ドイツのF―35A導入決定に伴い、「これから10年で、すべてではないにしてもほとんどのNATO同盟国が(新たな核共有に)移行するだろう」(F―35Aの)高度な機能は、実際の核共有作戦の支援を任務とする可能性のある同盟国だけでなく、ポーランド、デンマーク、ノルウェーなどのF―35導入国の能力も向上させる。たとえば、F―35は、空中およびミサイル防衛ネットワークへの侵入に優れていると考えられており、随伴する戦闘機の数が少なくて済むことになる。また、F―35には運用上の利点がいくつかある。これは、部隊全体でネットワークと統合を強化する機会がある」(Defense News 2022/4/13付)

NATO内で、F―35Aブロック4保有国が増えるならば,現在、核共有政策を実施しているドイツ、オランダ、ベルギー、イタリア以外にも、潜在的に、将来、核共有政策を実施できそうなNATO加盟国が増える可能性を示すことになり、NATO以外の国には意識させることかもしれない。

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