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過去のオピニオン・エッセイ

オピニオン

「不時之需」能勢伸之氏 フジテレビジョン報道局上席解説担当役兼LIVE NEWS it日曜「日曜安全保障」MC
2020-01-01
                           防衛協会会報第149号(2.1.1)掲載
 2019年10月1日、中華人民共和国は、建国70周年の国慶節を迎え、人民解放軍は、大規模なパレードを実施した。あえて、中央アジアでの運用を重視してか、高地での運用を意識して開発されたとみられる15式戦車(105㎜砲装備)等、中国の今後の戦略を示唆しているような装備も次々に登場。特に、目を引いたのが、16輌も登場したDF―17極超音速滑空体ミサイルの移動式発射機だった。極超音速滑空体は、ロケットモーター、または、ロケットエンジンで加速して、切り離された弾頭が、マッハ5~27の速度で大気圏内、または、大気圏とその外側との間を、高速を維持しながら、グライダーのように、飛翔コース、高度を変えながら滑空する。ロケットを使用するのは、弾道ミサイルと同じだが、弾道ミサイルの弾頭が放物線(弾道軌道)を描いて、標的に落ちる。従って、高性能のセンサーとコンピュータを使って、飛翔コースを予測することによって、弾道ミサイル防衛が理屈の上では可能になるのに対し、極超音速滑空体ミサイルの弾頭はあらかじめ敵防空レーダー等のセンサーの探知範囲を避けたり、予測が難しい飛翔をするため、従来の弾道ミサイル防衛では対処が難しい兵器とも考えられる。しかも、DF―17は、米議会報告では、射程が1600~2400㎞の間と見積られている。この想定射程が正しければ、台湾を軽く飛び越えるが、グアムには届かない、ということになる。日本の安全保障という観点からは、無視できるものではないだろう。 また、極超音速滑空体ミサイルは、軍備管理・軍縮条約上も気になる存在だ。  一般に、軍事管理・軍縮条約では、その条約が、対象とする兵器を「定義」する。その定義に当て嵌まらない兵器は、その条約の対象にならない。射程500~5500㎞の地上発射弾道ミサイルと巡航ミサイルの開発・配備を米露両国が行わないことを約していたINF条約は、2019年に無効化したが、2020年現在、米露間では、ICBM(大陸間弾道ミサイル)やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)等の戦略核兵器の削減を定めた新START条約が2021年までは有効だ。新START条約のプロトコールでは、「弾道ミサイルという用語は「飛翔経路のほとんどが弾道軌道(=放物線)」と定義される。」と明記されている。この「ほとんど」とは、飛翔経路の50%以上とのことだが、極超音速滑空体ミサイルの場合、その飛翔経路の「ほとんど」は、放物線にならない、と考えられる。 ロシアは、2018年にアヴァンガルドという極超音速滑空体の開発に成功していることを明らかにした。そして、アヴァンガルドを既存のUR―100N(SS―19)ICBMの弾頭部に搭載する計画だ。飛翔経路のほとんどで弾道軌道(放物線)を描かないアヴァンガルドを搭載したSS―19は、ICBMとして、新START条約の対象となるのかどうか。ちなみに米国は、2019年11月現在、極超音速滑空体ミサイルを、実用化、装備化していない。
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