海自練習艦隊「鹿島立ち」
令和3年度遠洋練習航海(前期)
第71期一般幹部候補生課程修了者
海上自衛隊の実習幹部約160名(内女性約15名)を乗せた遠洋練習航海部隊(指揮官:練習艦隊司令官石巻義康海将補)が、海自呉基地を5月26日(水)に出港した。7月21日(水)までの56日間、練習艦「かしま」(艦長小城尚徳1等海佐)と練習艦「せとゆき」(艦長秋野朝治2等海佐)の2隻に分乗して実習を行う。寄港地は、ブルネイ、スリランカ、インドネシ
ア、東ティモール及びフィリピンの5か国を予定している。
当時、広島県には緊急事態宣言が発令中であり、家族や来賓の参加は見送られ、隊員だけの参加で練習艦隊出国行事が行われた。岸壁に整列した石巻練習艦隊司令官、小城・秋野の両艦長及び実習幹部を前に、呉地方総監園田直紀海将が壮行の辞を読み上げた。特に、実習幹部に対しては「本航海を通じて海を知り、強い精神とリーダーシップを育み、幹部海上自衛官として踏み出す地歩を固めてほしい」と激励。続いて石巻練習艦隊司令官が「伸展性を有する初級幹部を育てるとともに訪問国との友好親善に努める」と出国の挨拶を行い、岸壁における行事は終了した。その後、実習幹部を先頭に乗艦し、最後に石巻練習艦隊司令官がタラップを上って乗艦完了。出港直後に「帽振れ」で別れの挨拶を交わし、練習艦隊の2隻は遠洋練習航海に旅立った。
遠洋練習航海は「実習幹部に対し、長期にわたる洋上生活、各種訓練を通じて、部隊勤務に必要な基礎的知識・技能を修得させ、指揮統率の基本を体得させるとともに、国内外に対する視野を拡大させることにより、将来の伸展性を有する幹部を育成する」ことを目的とし、昭和32年以降毎年行われ、今回で65回目となる。また、諸外国の訪問を通じて幹部自衛官としての国際感覚のかん養に資するとともに、友好親善の増進にも寄与してきた。
しかし、昨年に引き続き今回も新型コロナウイルスの感染防止のため、寄港地では上陸せず、補給のみを行う予定となっている。
練習艦隊で各国の訪問を心待ちにしていた実習幹部にとっては、上陸が叶わず試練の船出となってしまったが、新型コロナの脅威に怯むことなく、航海実習を通じて同期の絆を深め、幹部海上自衛官の素養を磨いてもらいたい。
前期の遠洋練習航海終了後は、「艦艇職域」に限って、8月25日(水)から10月21日(木)までの57日間、練習艦「かしま」1隻で後期の遠洋練習航海が予定されている。