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海外で活躍する自衛官

派遣海賊対処行動支援隊(第10次要員)業務隊      防衛協会会報145号(31.1.1)掲載

【差出元部隊】陸上自衛隊中央即応連隊
                 2等陸尉  森 泰規
   
      『即行動』
 
  私は、派遣海賊対処行動支援隊業務隊で通信に関わる業務を実施しています。主な任務は、本邦と日本隊拠点との通信回線の維持運営及び拠点内の通信器材の保守管理、消耗品等の調達業務です。私はもともと野外通信部隊の所属で、既設回線の維持や調達業務は初めてでしたが、多くの人の協力で今はスムーズに業務ができています。
  ただ、こちらは日本と環境が異なり人も物も限られているので、自らの業務を中心に考えているだけでは上手くいきません。
  例えば、拠点で電話回線の増設等を行う場合には、他の部署が管理する施設や物品を借用したり、場合によっては加工してもらう必要があるので各部署の了承が必要になります。そのため、拠点の業務には、俯瞰的な視点から、事前に他班との調整や協力が不可欠であり、何より他の部署との信頼関係の構築が重要です。
  その為に私が心がけていることは、「即行動」ということです。
  私の所属部署には数多くの要望や不具合の情報が日々寄せられます。特に本邦と拠点の通信は、任務や業務の成否に直接影響を与えるため使用者の生命線です。その通信に不具合があった時の使用者の不安は、計り知れません。そのような時に私たちが即座に行動し、使用者に対して早期に復旧させ、正常な回線を提供することは使用者との信頼関係の醸成に大いに繋がっていると実感できています。
  私は「即行動」を引き続き実践し、班員や他の部署、拠点所属隊員と協力して良質で信頼される通信回線を維持して、派遣任務の完遂に邁進したいと思います。
            業務風景
調達業務風景
【差出元部隊】海上自衛隊 第1術科学校補給科給食係
                     3等海曹 遠藤 徳
     『コミュニケーション力』
 
日本では想像しがたいことですが、こちらに来た当初はジブチの気温は50度を超え現在でも30度前後で推移しています。比較的過ごしやすくなりましたが一年中真夏のような生活環境です。
 さて、私は派遣海賊対処行動支援隊の隊員として、主に食堂の監督官業務を実施しています。業務内容はケータリング業者が調理した料理の配食準備、料理の検食等です。
 私の職場では、現地人スタッフ(ジブチ人)をはじめとするさまざまな国の人と一緒に働いています。調理場ではソマリ語、英語、タガログ語など様々な国の言葉が飛び交う中、日本人以外とのコミュニケーションに不安を感じていましたが、ケータリング業者や現地スタッフと一緒に仕事をしていく中で私は、職場でよく使われる言葉をスタッフから教わりました。スタッフが何か自分に伝えたい時には、ソマリ語を英語で言い換えてもらいながら、ソマリ語でも理解できるようにしていきました。
現地の言葉を覚えるようにしていくうちに現地スタッフとの間に信頼関係が生まれ当初抱いた不安を解消することができました。
 今後もより良い関係を築いていくとともに業務にまい進していきたいと思います。
最後に、ジブチでの生活は大変ではありますが、現地スタッフとともに任務完遂に努めていく所存です。
 
           配食準備
            調理業務
【出元部隊】 航空幕僚監部首席衛生官付
                  1等空尉 加藤 顕人
『O・MO・TE・NA・SHI(おもてなし)』
 
 私は第10次派遣海賊対処行動支援隊で衛生に関わる業務を実施しております。主な任務は、派遣隊員の体調管理、ジブチで流行する病気や衛生状況に関する情報収集及び各国との情報交換です。特に、ジブチでは、自衛隊拠点内の医務室で十分な治療が行えない場合、在ジブチフランス軍病院や在ジブチアメリカ軍医務室で治療を受けることになります。このため、フランス・アメリカ・ドイツなどの各国軍の衛生担当者と交流し、連携を密にする必要があります。
  このように診療面での支援を受けたり、交流する際に、いつも強く印象に残ることがあります。それは彼らのホスピタリティ意識の高さです。常に挨拶を怠らず、声をかけあい、こちらの要望や質問に快く応じてくれます。 
これはおそらく彼らがホスピタリティとして教育されている対外交渉の技術であり、日本の教育ではあまり重要視されていない部分なのかもしれません。これから自衛隊の任務は多様化し海外で仕事をする機会も多くなってくると思われます。
 今回の派遣任務を通じて、世界基準のホスピタリティの技術や姿勢を学び、日本流のおもてなしの心と融合させた素晴らしい「O・MO・TE・NA・SHI」を考えていければと思います。

 
    フランス・スペイン医官との意見交換会
       ドイツ医官との艦艇見学交流

海外で活躍する自衛官

防衛協会会報第143号(1) (30.07.10)掲載
 
ジプチに秋田の竿燈が初上陸
 アフリカのジブチ共和国で活動している第9次派遣海賊対処行動支援隊(司令・岩上隆安1等陸佐)警衛隊(秋田・第21普通科連隊)の隊員は、秋田の伝統芸能(竿燈)を披露した。
 自衛隊の唯一の海外拠点で任務に就いている隊員は、3月5日にジブチ国内(仏文化会館)、3月14日に在ジブチ伊軍基地、4月15日に在ジブチ仏軍基地で、拠点と関係の深いジブチ共和国民、ジブチ駐留軍関係者との繋がりを深化することをテーマに竿燈を実施した。
 竿燈祭りは、例年1回実施され、青森のねぶた祭り、仙台の七夕まつりと並んで東北の三大祭りの一つである。祭りは、国重要無形民族文化財に指定されており、秋田市の各町内から重さ50㎏、長さ12mの280竿を超える竿燈が、46個の提灯に五穀豊穣、無病息災を願って灯りを燈し、まるで夜の天の川のような光景で道路を埋め尽くす。
 ジブチで竿燈を披露するために、数多くの部品、衣装をアフリカまで輸送する手段、現地開催場所、日程の調整、観衆への日本文化の理解、派遣任務中の技術の向上、数多くの苦労はあったが、秋田県竿灯協会、ジブチ市民、各国在ジブチ駐留軍、自衛隊秋田駐屯地の支援のもと開催することが出来た。
 様々な困難を乗り越えて開催された竿燈は、演技者が平手、額、肩、腰、それぞれの場所に乗せて、巧みにバランスをとりながら見事な演技を披露し、自衛隊が発する合いの手にのせて、最初は遠慮がちにしていた観衆は次第に雰囲気が融合し、しまいには大声で「ドッコイショー、ドッコイショー」と大きな掛け声を発し、立ち上がって手を叩くなど、会場全体が大きく湧き立った。
 観衆からは「私も竿燈を上げてみたい」「夜空に幻想的な光りが浮かび上がりきれいだった」などと絶賛した声が多く寄せられ、「日本は素晴らしい」「日本の伝統文化を今後も披露して欲しい」との賛辞が送られた。
 披露した隊員からも「秋田の伝統文化をアフリカで披露でき嬉しかった」「観衆と一体となったことでより演技に熱が入った」と語った。
ジプチ伝統芸能活動状況

ジプチでの活動への心がまえ
3等陸佐 白木 大輝
【現所属】派遣海賊対処行動支援隊(第9次要員) 警衛隊  【差出元部隊】第21普通科連隊
 
 派遣海賊対処行動支援隊警衛隊は、ジブチ自衛隊活動拠点において、警備任務や必要な教育訓練などの活動を行っています。
 私は警衛隊の指揮官として、「任務の完遂」を方針とし、特に「①厳正な勤務 ②チームワーク ③心身の健康」を重視して警衛隊を指揮しています。
 警衛隊は、活動拠点の警備に万全を期するだけではなく、日本人・自衛隊の代表として、ジブチ国民や駐留各国軍人からの我々の活動に対する理解を深め、信頼関係を築き上げ、国外での貴重な体験を通じて隊員が成長できるように、積極的に勤務することにも心がけています。
 ここジブチ共和国では、毎日真夏のような太陽の日差しが照りつける環境や言語・生活習慣などの風習も、日本とは大きく異なるため、厳しさや難しさを感じる時もありますが、海賊対処行動の任務の重要性を自覚し、日本からの部隊・家族・友人の応援を励みに警衛隊全員が一丸となり、チームワークを発揮して任務の完遂に向けこれからも頑張って参ります。
白木3佐 射撃訓練
帰国に駆けつけ笑顔で出迎える家族
帰国行事にて、訓示を述べる山下自衛艦隊司令官
【現所属】派遣海賊対処行動支援隊(第9次要員) 警衛隊  【差出元部隊】第21普通科連隊
 
 派遣海賊対処行動支援隊警衛隊は、ジブチ自衛隊活動拠点において、警備任務や必要な教育訓練などの活動を行っています。
 私は警衛隊の指揮官として、「任務の完遂」を方針とし、特に「①厳正な勤務 ②チームワーク ③心身の健康」を重視して警衛隊を指揮しています。
 警衛隊は、活動拠点の警備に万全を期するだけではなく、日本人・自衛隊の代表として、ジブチ国民や駐留各国軍人からの我々の活動に対する理解を深め、信頼関係を築き上げ、国外での貴重な体験を通じて隊員が成長できるように、積極的に勤務することにも心がけています。
 ここジブチ共和国では、毎日真夏のような太陽の日差しが照りつける環境や言語・生活習慣などの風習も、日本とは大きく異なるため、厳しさや難しさを感じる時もありますが、海賊対処行動の任務の重要性を自覚し、日本からの部隊・家族・友人の応援を励みに警衛隊全員が一丸となり、チームワークを発揮して任務の完遂に向けこれからも頑張って参ります。

海外で活躍する自衛官

防衛協会会報第141号(1) (30.01.01)掲載
 
第28次派遣海賊対処行動航空隊帰国
11月12日をもって、総員が帰国し任務完遂
ソマリア沖・アデン湾での任務を終え八戸航空基地に降り立った第28次派遣海賊対処行動航空隊の隊員
 
 海上自衛隊八戸航空基地(群司令・小峯雅登海将補)は11月2日、ソマリア沖・アデン湾で海賊対処の任務に就いていた第28次派遣海賊対処行動航空隊(指揮官・鎌倉正幸2海佐)の帰国行事を行った。28次隊は7月25日に八戸航空基地を出発し、現地において56回(407時間)の任務飛行を完遂し、約3か月ぶりに八戸に帰隊した。なお、派遣された2機のP―3C哨戒機のうち一機の到着が修理の所要により遅れたため、この日は1機のP―3C哨戒機が八戸航空基地に降り立ち、隊員と家族らに出迎えられた。
 帰国行事では、自衛艦隊司令官(山下万喜海将)が小野寺五典防衛大臣の訓示を代読し、「ソマリア沖・アデン湾での任務飛行の回数は、第一次要員から通算し1900回を超えました。諸君の海賊対処への情熱、技術の高さ、情報の正確さは、各国から極めて高く評価されており、日本国の国際社会における評価を高めています。」と派遣の成果を称えた。引き続き、山下司令官が訓示を行い、困難な任務を完遂した隊員の献身的な活動への賛辞を述べるとともに、派遣隊員の家族へは、「派遣された隊員は、彼らにしかなし得ない任務を遂行し、日本に帰国しました。派遣中、皆様には様々なご苦労ご不便をおかけしたものと拝察いたしますが、今回の任務達成は皆様の温かいご支援と深いご理解の賜です。」と感謝の言葉を伝えた。
家族と笑顔で再会
八戸航空基地の隊員や家族らの出迎えの笑顔で敬礼する第28次隊の隊員(11月12日)
 そして、帰国行事終了後、28次隊の指揮官を務めた鎌倉2佐は取材に対し、「猛暑の続く過酷な環境の中、共に最後まで任務を全うしてくれた隊員を誇りに思います。」と任務達成に伴う部下隊員への感謝の思いを述べた。
 1機目の帰国から10日後の11月12日、修理を終え帰国したP―3C哨戒機1機が八戸航空基地に降り立ち、改めて隊員及び家族による帰国行事が行われた。派遣 隊員らは、既に帰国している同じ28次隊の隊員をはじめ同僚隊員や家族らの出迎えの拍手に、安堵した表情を見せ笑顔で応えていた。
 今回の帰国行事では、第2航空群司令が小野寺防衛大臣及び山下自衛艦隊司令官の訓示を代読し、引き続き、第2航空群司令が困難な任務を完遂した隊員に賛辞と感謝の言葉をかけ、派遣中の労をねぎらった。 28次隊の隊員は、第2航空群司令の言葉を聞き、平成21年から積み上げられてきた海賊対処行動に28次隊の成果が加わったことに誇りを感じつつ、約3か月にわたる任務がようやく終了したことを実感していた。
 なお、派遣海賊対処行動航空隊は28次隊から、鹿児島県鹿屋市にある第1航空群に所属する隊員を主力とした29次隊に引き継がれ、ソマリア・アデン湾での海賊対処任務は今も続いている。

【現所属】派遣海賊対処行動支援隊(第8次要員)業務隊 【差出元部隊】国際活動教育隊
コミュニケーション
2等陸曹  紫垣 肇
 
 私は派遣海賊対処行動支援隊の隊員として、貸出図書・DVDの管理や研修の支援ドライバー等を行い、派遣隊員のストレス軽減に日々努めています。  
 私の職場には、多くの外国人スタッフが一緒に働いていて、フランス語、英語、ソマリ語など様々な国の言葉が飛びかっています。「おはよう」「元気ですか?」「元気です」「ありがとう」「あなたは?」など、このようなやり取りを毎日しており、朝からとても元気が出ます。
 日本ではせいぜい「おはよう」「お疲れ様です」と挨拶をする程度でしたが、外国人スタッフと毎日仕事を共にし、コミュニケーションを取っていると、「おはよう」の一言だけで終わるのではなく、「元気?」「調子は?」など、もう一言を付け加えるだけで相手との関係が大きく変わると感じました。  
 慣れない環境下で重要となってくるのが人間関係とよく言われます。外国人スタッフだけとコミュニケーションするのではなく、隊員に対しても積極的に声を掛け、厚生業務に邁進して行こうと思います。
図書室の整理
トレーニング器材点検

【現所属】派遣海賊対処行動支援隊 警務隊 【差出元部隊】第127地区警務隊霞ヶ浦派遣隊
ジブチでの活動を通じての教訓
3等陸曹  須田 昭彦

私は今回のジブチ派遣において、警務陸曹として勤務しています。主な職務は、隊員の規律維持、要人警護などです。私がこれまでの活動を通じて得た教訓は、「基本・基礎を忘れず、かつ、現地に適応して任務に臨む」ことです。 ジブチにおいては、様々なことが日本とは異なります。しかし、これまでの任務を通して、どのような環境であっても、これまで自身が携わってきた任務で得られた経験や、教育で学んだ事項を現地に適した方法で活かすことが大事だと考えるようになりました。 車両運行を例にすると、日本では少ないロータリー式交差点がジブチでは一般的であり、最初は合流にも手間取りましたが、教官から、高速道路の本線に合流するように、という指導を受けてからは、スムーズに合流・離脱ができるようになったということがあげられます。 歴代派遣部隊のおかげで、ジブチ市民は私たちに対して日本語で声を掛けてくれるなど、非常に友好的です。この日本に対する信頼感を保てるよう、得られた教訓を活かして任務完遂に努めたいと思います。
夜間巡察
ジブチ警察ミーティング

海外で活躍する自衛官

防衛協会会報第140号(2)(29.10.1)掲載
 
 派遣隊員の 安全のために
2等陸尉 杉本 誠
【現所属】派遣海賊対処 行動支援隊(第7次要員)警務隊(警務幹部) 【差出元部隊】第135 地区警務隊

 警務幹部として、ジブチ自衛隊活動拠点内隊員の規律維持等を担当しています。具体的には、自衛隊が活動する拠点内において犯罪が発生した場合は、司法警察権限に基づいて犯罪捜査を行います。
 また、現地の治安情報を部隊に提供し、安全な活動に資するため、現地警察等とミーティングを実施して、治安に関する情報を把握することもあります。
 部外との調整、情報共有等は、主に英語を使用していますが、英語での会話が困難な人に対しては通訳を通じてソマリ語やフランス語に訳してもらい、コミュニケーションを取っています。
 幸い、隊員の活動地域において大きな事件・事故の発生はありませんが、今後も防犯活動等を通して事件・事故の未然防止に取り組むと共に、最新の治安情報の入手に心がけ、派遣隊員が安心安全に任務遂行できるよう一層努力したいと思います。
 現地警察等とミーティングする杉本2尉(中央)
 

 

平成29年

ジブチでの活動を通じて

3等陸曹 上木原 玄師
【現所属】派遣海賊対処 行動支援隊(第7次要員)業務隊(施設機械操作陸曹) 【差出元部隊】第8施設 大隊

 私は業務隊要員として、隊員の生活を守るために毎日拠点内を走り回っています。拠点は設立から6年という年月が流れており、各種施設等の老朽化が進んでいる箇所もあります。毎日漏水や電気配線等の補修依頼が飛び込み、1つ作業が終わると依頼が2つ増えるといった状況が続く日もあります。
 日本での方法や経験が通用しない事もあり、また、物品・資材に関しても現地での調達になるので、日本では簡単に手に入る物がこちらでは手に入らないといった事も多々あります。自分たちで試行錯誤しながら、日々任務にあたっています。
 時には50℃を超える気温の中での屋外作業は過酷なものですが、修繕を終えた時の隊員や、現地スタッフの方からの「ありがとう」の言葉が励みになり、次へと繋がっていきます。
 日本では決して出来る事のない貴重な経験をさせて頂き、家族や同僚の皆さんにはとても感謝しています。必ず任務を完遂し、少しでも成長した姿を見せ、ジブチに笑顔で送り出していただいた部隊に対して恩返しができるよう、引き続き気を引き締めて任務の完遂に努めたいと思います。
 エアコンを修理する上木原3曹

「国際貢献 南スーダンPKO特集」

防衛協会会報第139号(4)(29.7.1)掲載
 
 
南スーダンPKO任務完遂
 
『5年4か月の活動を終え無事帰国』
 南スーダン共和国派遣施設隊の第11次派遣要員(第9師団隊長田中1陸佐以下約350名)は南スーダンでの活動を終え、5月27日に最後の部隊が青森に帰任した。国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)は南スーダンにおける平和と安全の定着及び同国の発展のための環境構築を支援することを目的とし設立され平成24年から5年4カ月に及ぶ活動に幕を閉じることとなった。同国におけるPKO活動の内、自衛隊が担当してきた施設活動に一定の区切りがついたことから本ミッションを終結することが決定され、自衛隊の部隊を撤収した。なお、UNMISS司令部には引き続き人道支援・能力構築支援等の活動に従事する自衛官4名の要員が継続派遣され、現地での活動を継続する。
 これまで自衛隊は11次に及ぶ派遣施設隊を本ミッションに参加させ数々の活動を通じて国連及び南スーダン共和国より高い評価を得てきた。道路補修や敷地造成などの人道支援や文民保護や国づくり支援に資する観点からのインフラ整備を行ってきた。また11次隊には新安保法制に基づき初めて「駆けつけ警護」の任務が付与され注目をされたがその任務を遂行する場面はなかった。
 多くの成果と教訓を残した南スーダンPKO任務は無事にその任務を終えた。同日、青森では多くの関係者と家族が招かれ「任務完了報告会」が行われた。式典の後では多くの隊員と家族の喜びの再会場面が見られ、関係者一同が任務完遂の喜びをかみしめた。南スーダンPKOへの派遣終了をもって自衛隊によるPKOへの部隊派遣はゼロとなった。
帰国行事:慰労会食での一場面
帰国行事:国連メダル授与式

岐路に立つ日本のPKO派遣
元陸自中央即応集団司令官 川又弘道(防大25期)
《南スーダンPKO派遣部隊の撤収》
 平成29年5月27日、ブルーベレーと迷彩服に身を包み真っ黒に日焼けした自衛官たちが家族や自衛隊関係者の待つ青森空港のロビーへ到着ゲートから出てきた。彼らは平成24年から国際連合南スーダン派遣団(UNMISS)へ順次派遣されていた自衛隊施設部隊の最後の隊員たちである。3月10日、政府が「自衛隊が担当するジュバでの施設整備については一定の区切りをつけることができた」として部隊の撤収を前触れもなく発表してから約2か月半、任務を遂行しつつ撤収のための煩雑な調整と膨大な諸作業を終えて遂にこの日を迎えたのである。これにより国際連合平和維持活動(PKO)に派遣されているのはUNMISS 司令部に個人派遣されている自衛官4人のみとなる。
 UNMISS のマンデート(任務及び権能)は設立当初の「国づくり支援」から2013年12月の政府分裂に伴う騒擾を受けて「文民保護(PoC)」に変更された。
 その背景には政府分裂の原因ともなった部族間対立の激化により、特に南スーダン北部を中心に飢餓など人道的な危機状態が深刻化していることにある。
 国連の人道支援関係者は1994年にルワンダでPKO が展開していたにもかかわらず約80万人の市民が虐殺された時の状況と似ていると警鐘を鳴らしている。その苦い教訓の上に2016年8月、国連は人道的な危機を抑止するためUNMISS の4000人増強と権限強化(文民保護のためにはあらゆる手段をとる)を決定した。 そのような時期にどうして政府は撤収を決心したのか。

《国連PKOの変遷》
 自衛隊派遣の根拠法である「PKO等に対する協力に関する法律」(PKO法)は1992年に冷戦期に国連が実施してきたPKOの任務と基本原則を参考にしつつ憲法の禁止する「武力行使」に抵触することのないように制定された。
 それを端的に言い表しているのが所謂PKO参加5原則(①当事者間の停戦合意、②PKO及び日本の参加に同意、③中立性の確保、④上記①~③の一つでも崩れれば撤収、⑤武器の使用は要員の生命等の防護のため必要最小限を基本)である。
 2015年9月には、「参加5原則が満たされている環境では自衛隊部隊と紛争当事者が戦闘になることはないと従前の派遣で実証されている」としてPKO法が改正され、「駆け付け警護」等の新たな任務の付与と「任務遂行型」の武器の使用が認められた。ただし、国連の「任務遂行型」は相手に対する先制危害射撃ができるのに対し、PKO法ではこれを認めていないという絶対的な違いがある。  
 一方、国連はPKOについて冷戦が終焉した1990年代以降大きく変えてきた。
 初期の頃はUNDOF(ゴラン高原)やUNFICYP(キプロス)のように国家間の紛争における停戦監視等(第一世代)であった。 しかし冷戦後の紛争の多くが、経済(資源)格差や民族(宗教)対立に起因する国内紛争とそれらに域外からの介入などが絡む地域紛争となり、より複雑化してきたことから、1992年1月、ガリ国連事務総長の報告「平和への課題」に基づいてUNTAC(カンボディア)のように国連が暫定統治する包括的なミッション(第二世代)や、UNOSOMII(ソマリア)のように破たん国家に軍事力をもって平和を強制する「平和執行活動」が実行に移されていった(第三世代)。
 しかしUNOSOMII等ではPKO要員に多くの犠牲者を伴ったことから「平和執行活動」は一時後退した。
 その後の、ルワンダ、コンゴ等における内戦で多くの無辜の市民が犠牲になったことから、2000年8月の「国際連合平和活動に関するパネル報告書」に基づき、再び国連が重装備の軍事部隊もって平和を構築する活動に踏み出した(第四世代)。その代表例がMONUSCO(コンゴ)とその隷下で重装備の「介入旅団」である。
 もう一つの流れは「統合的アプローチ」である。これはPKO任務の多様化と同時に、人道支援や復興・開発支援に取り組む他の国連諸機関の活動と整合性をとる必要性が認識されたことから出来た流れである。
 1997年のアナン事務総長の報告により複合的な任務を持つPKOが展開する国では、国連事務総長特別代表(SRSG)が軍事部門司令官、文民警察長官、常駐調整官、人道調整官等を監督する権限を有し、国連システム全体の相互補完的活動を推進することとなった。
 このように複雑化する紛争の中で文民を保護するため国連は必要により中立性を捨てて当事者になることを許容するようになったのである。そうなると制定当時と本質的な部分で変わっていないPKO法では対応できないと考える。
 
《南スーダンの最新情勢》
 2013年12月以降、キール大統領も政権を離脱したマシャル副大統領も停戦にかかわる国際社会の努力を何度となく裏切ってきた。
 また政府軍か反政府軍かを問わず第一線の将軍たちが己たちの利益に基づいていとも簡単に寝返ったりしている。NHK大河ドラマ「真田丸」で真田昌幸が生き残りをかけて時の有力者になびいたのとよく似ている。
 さらに政府軍では財政逼迫から給与の支払いが滞り、兵士に対して敵対部族等からの略奪や性的搾取を認めているとも言われている。
 UNMISSに対しては両勢力ともに国際社会を敵に回しては存続が難しいことから、彼らの作戦に邪魔となるUNMISS の活動を妨害したことはあっても、真面目な攻撃は行ってこなかった。
 しかし、UNMISS 側に文民保護のための強い権限が授権されたことから両勢力との戦闘の可能性も否定できなくなった。このように南スーダン情勢は混迷を深めており不透明かつ予断を許さない。
 
《この時期の撤収の是非と岐路に立つ人的貢献》
 ところで施設隊はPoC の観点でも重要な役割を担っている。それはPoC施設等の構築、すなわち整地や施設の設置、防護のための柵や土嚢壁の構築である。
 今般、施設隊は南スーダンで人道的な危機が逼迫していると言われている時に撤収することになる。「参加5原則」が将来的にも担保されるか不透明であること、さらに施設隊の無事を考えればそのような判断となるのは理解できる。
 一方、国連事務局の副報道官は日本の貢献を評価しつつも「早急に代わりの工兵部隊を探さないといけない」とも発言しており、この時期の撤収は止めてほしかったという本音が表れている。
 今、日本は、「積極的平和主義」の下でどのような人的貢献をしていくかの岐路に立たされている。現行PKO法では、どんなに立派な理念を掲げたところで派遣できるPKOは自ずと限定されてしまう。世界の平和と安定は、資源を輸入に頼り市場を世界に求める日本の繁栄に無関係ではない。国家も国民も我が国の繁栄を望むなら国際社会の一員として覚悟を決めることが必要な時期に来ているのではないだろうか。
 
写真が語る          南スーダンPKO            5年の歩み
陸上自衛隊中央即応集団司令部提供
1次隊編成完結式(朝霞)
1次隊隊旗授与式(市ヶ谷)
1次隊入国
 1次隊仮宿営地到着
 1次隊本宿営地設営
2次隊本宿営地設営
2次隊UNハウス暗渠作成
2次隊道路整備(イェイ)
3次隊道路整備
(ジュバ~イェイ)
3次隊ボランティア活動
(孤児院訪問)
 3次隊道路整備(排水)
4次隊道路整備
4次隊道路整備(排水設備)
5次隊給水支援
指揮転移(5次隊から6次隊へ)
6次隊ルワンダ隊宿営地整備
7次隊トンピン水路整備
7次隊防衛大臣(当時)視察
8次隊道路整備
8次隊エチオピア隊コンテナ構築
9次隊集合写真
9次隊UNハウス道路整備
指揮転移(9次隊から10次隊へ)
10次隊道路整備
10次隊下士官交流(28.10.22)
10次隊国連メダル授与式
(28.11.10)
10次隊500タスク達成
(28.11.15)
11次隊への指揮転移(28.12.12)
日本隊宿営地から見る初日の出
(29.1.1)
11次隊 年始行事ドーザーによる
書き初め(29.1.1)
11次隊によるねぶた披露
(29.1.28)
11次隊による主要幹線道路(ジュバ~マンガラ)の補修の終了(29.2.10)
インド隊との文化交流~書道体験
(29.2.10)
ルワンダ隊との文化交流~けん玉体験(29.2.25)
11次隊による主要幹線道路(ジュバ~コダ)の補修の終了
(29.9.31)
 撤収支援隊の出国(29.4.10)
11次隊第1派出国(29.4.17)
11次隊の撤収
11次隊第4派帰国(29.5.27)
稲田防衛大臣への隊旗の返還
(29.5.30)
隊旗返還式にて安倍首相と握手を交わす11次隊長田中1佐
(29.5.30)
UNMISSの概要及び自衛隊の派遣状況
隊等派遣の経緯等
平23.7.9   南スーダン共和国独立に伴い、UNMISS設立
平23.11.15  実施計画(司令部要員2名(兵站幕僚及び情報幕僚)の派遣)の閣議決定
平23.11月、平24.2月  第1次司令部要員派遣
平23.12.20  実施計画変更(施設部隊及び司令部要員(施設幕僚)の派遣)の閣議決定
平24.1月~3月  施設部隊等第1次要員を順次派遣
平24.5月、6月  施設部隊等第2次要員を順次派遣(以降、施設部隊に ついては約6か月毎に交代)
平25.5.28  派遣施設隊の活動地域拡大に関する自衛隊行動命令発出
平25.10.15  実施計画変更(施設部隊の人員増加等)の閣議決定
平26 .5.13  派遣施設隊の編成変更に関する自衛隊行動命令発令
平26.10.21  実施計画変更(司令部要員(航空幕僚)の派遣等)の閣議決定
平27.12月  第7次司令部要員(兵站及び航空運用幕僚)を派遣
平28.6月  第8次司令部要員(情報及び施設幕僚)派遣
平28.11.15  実施計画の変更(駆け付け警護の付与等)の閣議決定
平28.11.18  派遣施設隊の活動地域限定等に関する自衛隊行動命 令発出
平28.11月~12月  施設部隊第11次要員を順次派遣
平28.3.24  実施計画変更(活動期間の延長)の閣議決定
       南スーダン国際平和協力業務の終結に関する自衛隊行 動命令発出
 
自衛隊の派遣状況
司令部要員(4名)
 平成23年11月から派遣。UNMISS司令部においてUNMISSの活動に関する兵站、情報、施設、航空運用に関する企画及び調整などを実施。いずれも陸上自衛官。
施設部隊(約350名)
 平成24年1月から派遣。国連施設内外の施設の補修や道路整備等を実施。
南スーダンPKOに派遣された施設部隊の編成
 1次要員 : CRF基幹(一部北部方面隊)
 2次要員 : 北部方面隊基幹
 3次要員 : 東北方面隊基幹
 4次要員 : 西部方面隊基幹
 5次要員 : 中部方面隊基幹
 6次要員 : 北部方面隊基幹
 7次要員 : 東北方面隊基幹
 8次要員 : 西部方面隊基幹
 9次要員 : 中部方面隊基幹
 10次要員: 北部方面隊基幹
 11次要員: 東北方面隊基幹
 
南スーダン派遣施設隊
 約350名
 派遣部隊指揮官(1佐)
 隊本部
 本部付隊
 施設器材小隊
  大型重機主体の部隊(※)
 施設小隊  
  マンパワー主体の部隊
 撤収支援隊
 警備小隊
 警務班 
  ※派遣施設隊長は、司法警察業務に関する事項を除き、派遣警務班を指揮

施設部隊の活動内容
 施設部隊は、平成24年1月から5年を超える活動を通じ、
道路補修(延べ210㎞)、用地造成(延べ50万㎡)、 側溝整備(約72㎞)、 施設の構築等(94か所)等を実施
 
主要な施設器材及び車両
 計約180両 ドーザ グレーダ 油圧ショベル バケットローダ 軽装甲機動車

主要な武器
 9mm拳銃 89式小銃 5.56㎜機関銃MINIMI
 
【資料提供等】防衛省・自衛隊 防衛省ホームページ
 
投稿第9師団『誇りと自信に満ち溢れ任務完遂』 南スーダン派遣施設隊帰国報告
 隊旗返還式後の集合写真(29.5.30)
 
 第9師団(師団長・納冨陸将)は、五月二十七日、青森駐屯地において南スーダン派遣施設隊(隊長・田中1佐)の帰国行事を実施した。   
 午前十一時に青森空港に到着した田中隊長以下約四十名の隊員は、空港で中央即応集団司令官、東北方面総監、第9師団長、各部隊長等に迎えられたのに引き続き、青森駐屯地でも各協力団体及び大勢の隊員の大きな拍手に出迎えられ、任務完遂の安堵感もあり満面の笑みを浮かべていた。
 その後、統合幕僚長、陸上幕僚長他の列席の下、国会議員、青森県知事、各協力会会長をはじめ多くのご来賓の前で、ご家族の見守る中、田中隊長から若宮防衛副大臣に対して派遣任務完了報告が行われた。
 防衛副大臣からは「過去最長・最大規模であった南スーダン派遣施設隊の最後を締めくくった第11次要員の皆さんには、国際平和協力の歴史の新たな一歩を切り拓いたことを大いに誇りに思っていただきたいと思います。」と労いの言葉をいただいた。
 引き続き国連メダル授与式が行われ、防衛副大臣、統合幕僚長、陸上幕僚長他各指揮官から派遣隊員一人一人に対しメダルが授与された。
 その後、ご家族を交え慰労会食が行われ、ご来賓の方々から派遣隊員に対しお言葉をいただくとともに、防衛副大臣、統合幕僚長及び陸上幕僚長が派遣隊員及びご家族と親しく懇談され、南スーダンにおけるPKOの任務完遂を祝った。
 これらに先立ち、防衛副大臣は儀仗の後、田中隊長から南スーダン派遣施設隊の成果報告を受け、活動実績等を確認された。 
 昨年十一月の出国行事の際に師団長から示された「誇りと自信を胸に任務を完遂せよ」との要望通り、派遣各隊員は、各部隊そして日本の代表として活動したとの誇りと、日頃より練成した高い能力をもって任務を完遂したとの満足感を胸に漲らせつつ、本派遣間を通じて得た知識と経験を糧に、さらなる部隊精強化の原動力となるべく、それぞれの部隊に復帰した。

海外で活躍する自衛官

防衛協会会報第138号(1)(29.4.1)掲載
 
海外で活躍する自衛官
派遣海賊対処行動支援隊(第7次要員)「要員交代」

 平成29年2月初旬、ソマリア沖・アデン湾~ジブチ共和国において海賊対処行動に当たっているDGPE(派遣海賊対処行動支援隊)第6次要員は、その任務を終了し、次期派遣要員と交代した。(第6次要員司令佐藤和之1等陸佐については、引き続き第7次要員司令として任務に邁進しているところである。)  
 平成20年の国連安保理決議第1816号をはじめとする決議に基づき、これまでに米国など約30か国がソマリア沖・アデン湾に軍艦などを派遣しており、平成21年に第151連合任務部隊(CTF151)による活動のほか、欧州連合(EU)は平成20年から「アタランタ作戦」を、NATOは平成21年から「オーシャン・シールド作戦」を行っているなど、各国は現在も引き続きソマリア沖・アデン湾の海賊に対して重大な関心をもって対応している。  
 我が国の派遣海賊対処行動部隊は、平成21年から継続して派遣されており、同海域における海賊行為は極めて低い水準で推移しているものの、海賊を生み出す根本的な原因とされているソマリア国内の貧困などはいまだに解決されておらず、一般社団法人日本船主協会などからも引き続き海賊対処に万全を期して欲しい旨、継続的に要請を受けている。
 我が国が海賊対処を行っていかなければならない状況に大きな変化はないとの判断から、本年11月までの派遣延長が閣議決定されている。  自衛隊による海賊対処行動は、各国首脳などから感謝の意が表されるほか、類似の国連安保理決議でも歓迎されるなど、国際社会から高く評価されている。
派遣海賊対処行動支援隊業務隊 平成29年2月22日
 

ビバー、アフリカ
陸士長 松田 萌
(現所属)南スーダン派遣施設隊(第11次要員) 隊本部付隊
(差出元部隊)第9広報支援連隊補給隊業務小隊
 
 PKOを初めて知ったのは小学生の頃で、国際舞台という大きなフィールドで仕事をする姿に遠い憧れを抱いていたのを憶えています。国際協力に携わることができたらどんなに素晴らしいかと思っていましたが、こうして派遣されて、驚きと嬉しさでいっぱいです。
 私は浄水装置の監視や水質検査、宿営地配水などの業務をしています。日々淡々とこなす必要がありますが、日本隊をはじめ他国の派遣要員の生活基盤を支える重要な任務であり、やりがいを感じられる仕事です。当たり前と思うものにはなかなか目を向けることがないですが、この給水活動を通じて日本のような蛇口から当たり前のように水が出る環境がいかに恵まれているかを思い知りました。
 また、宿営地配水に行くとインド隊やエチオピア大隊の人たちがご馳走を振る舞ってくれ、楽しい交流の時間を過ごしています。気さくで親切な人ばかりで、毎回行くのが楽しみになっています。
 気候も食べ物も全く異なりますが、住めば都、アフリカも素敵な所です。入隊4年目で国連平和維持活動に参加できたことは私の人生において大変貴重な、大きな経験であり、憧れが叶ったことでもあります。まだ器材の扱いに不慣れな所はありますが、感謝と誇りを胸に勤務していきます。

海外で活躍する自衛官

防衛協会会報第137号(2)(29.1.1)掲載
日本人としてジブチに派遣されて
(現所属)派遣海賊対処行動支援隊(第6次要員)
業務隊 補給整備2班(発電機整備)
(差出元部隊)中央即応連隊 本部管理中隊
 
2等陸曹 矢田 洋二
 
 私はジブチ自衛隊活動拠点において、拠点の各種保安・警備用器材や、発電機等の施設器材の補給整備を担当しています。 拠点ゲート地区における器材整備は、深夜に及ぶこともありますが、拠点警備の万全を期すため日々奮闘しています。
 ジブチ共和国での勤務を通してつくづく感じているのは、「日本人で良かった」ということです。現地の人々の日本人に対する好意は絶大です。これは諸先輩方のこれまでの誠意ある活動や、日本製品(電化製品、自動車等)の優秀さが評価されているからだと思います。
 ここでは、日本人であるということを、「ありがたい」と感じることができるのです。派遣任務を終え帰国した際には、まず最初にそのことを息子達に伝えたいです。
 私自身が常に日本人としての誇りを持ち、日本人として恥ずかしくない行動をとることが任務完遂に繋がるということを強く認識し、派遣にあたって、長期間不在になるにも拘らず、ご理解とご支援を頂いた上司、部隊の同僚と家族、そして好意をもって接してくれるジブチの人々への感謝の気持ちを忘れず、引き続き任務にまい進します。
発電機を整備する矢田2陸曹
 
 
南スーダン派遣施設隊に参加して
(現所属)南スーダン派遣施設隊(第10次要員)
第1施設小隊 第1施設分隊長
(差出元部隊)第7施設大隊第1中隊
 
1等陸曹 木村 雅一
 
 第1施設小隊の分隊長として参加している南スーダン派遣施設隊での勤務も約5か月の月日が経ちました。派遣間、第1施設小隊は、国連ハウス地区の道路補修整備、敷地造成及び給水地区汚水槽の設置、国連トンピン地区のUNMISS参加他国軍の居住コンテナの構築、日本隊宿営地内の側溝整備等の施設活動を行いました。
 南スーダンの厳しい環境や文化・習慣の違いを克服しつつ行う施設活動は、日本では経験することのできない貴重な経験であり、新鮮な感覚を覚えました。
 その中で、派遣間特に苦労している点は、日々携わる国連の職員や現地の人々とのコミュニケーションであり、語学能力の不足を痛感しました。
 こうした貴重な経験ができるのは、宿営地での生活基盤である、電気、水、入浴、食事、洗濯、燃料、修繕、通信等を支えてくれる方々、出国前や派遣間を支えて頂いている部隊の方々、そして家族のサポートのお陰であり、心から感謝しています。
  残りの派遣期間、日本人らしい仕事をする事と感謝の気持ちを忘れずに、南スーダンの平和と安定に貢献していきたいと思います。
 
プレハブ構築作業において現場指示をする木村1陸曹
 
 
派遣も終盤を迎えて…
(現所属)南スーダン派遣施設隊(第10次要員)
本部付隊補給班 補給班 需品サービス
(差出元部隊)第7音楽隊
 
3等陸曹  森杉 明日香 

 私は、本部付隊で需品サービスとして勤務しています。需品サービスの主な仕事は洗濯や入浴施設の清掃と準備です。気候や天候によってお風呂の温度等が変わるため、快適な温度、そして、それを維持することが難しく、毎日変わらない業務の連続ですが、だからこそ、同じものを、同じように提供することの大変さがあります。
 しかし、入浴された方々から「癒しの場です!」「気持ちのよいお風呂をありがとう!」等と言われると、「よし!明日も頑張ろう」という活力が湧きます。  
 この南スーダンへの派遣が決まった当初は、普段とは全く違う業務のため、入浴施設の取り扱い等、ほぼゼロからのスタートであり、苦労もありましたが、経験したことのない分野の仕事を知る機会を得ることができ、とても新鮮でした。そして、自衛官として、改めて自衛隊の対応能力の高さ、素晴らしさを痛感する機会でもありました。  
 この派遣において、普段接することの無い部隊の方たちと知り合うことができ、そして、ここでしか出来ない体験等(現地の方たちとの交流、突然のスコール、コオロギの大量発生etc…)本当に貴重な経験をさせてもらっています。
 このPKO活動に参加させてもらえたことを、とてもありがたく思っています。  派遣期間も残り少なくなりましたが、私の仕事は、表に出る事の無い仕事です。しかし、後方支援は縁の下の力持ち。日々の勤務で汗と泥にまみれて疲れ切った身体を少しでも癒し、リラックスできるように洗濯や浴場清掃等を頑張りたいと思います。
浴場でシャワー周りを清掃する森杉3陸曹

投稿《9師団》

 防衛協会会報第137号(3)(29.1.1)掲載
 
『誇りと自信を胸に任務完遂せよ!』
南スーダン派遣施設隊(第11次要員)出国行事
稲田防衛大臣への出国準備完了報告
 
 第9師団(師団長・納冨陸将)は、平成28年11月19日、青森駐屯地において第11次派遣施設隊長(田中1佐)以下約350名の派遣隊員の他、派遣隊員のご家族に加え、国会議員、青森、岩手両県知事、各協力会会長をはじめ、多くのご来賓の出席を得て壮行行事(師団壮行会及び出国準備完了報告等)を実施した。  
 稲田防衛大臣への出国準備完了報告では、統合幕僚長、陸上幕僚長の列席の下に、防衛大臣から「自衛隊による国際貢献をより一層有意義なものにし、南スーダンの平和と安定のため任務を完遂してくれることを期待しています。派遣施設隊長田中1佐の卓越した統率の下、皆さんがこの名誉ある任務を士気高く、立派に完遂することを希望します」との訓示をいただき派遣隊員一同決意を新たにした。
 また、これに先立つ師団壮行会では、師団長から「南スーダン共和国のみならず、アフリカの安定ひいては日本の安全保障にも直結する、より平和な世界の創出という崇高な任務に取り組むにあたり、自衛官として、そして日本国の代表として、大きな誇りを胸に活動し、『誇りと自信を胸に任務を完遂せよ』」と訓示があった。  
 また壮行会食においては、ご来賓の方々から激励のお言葉をいただくとともに、防衛大臣が全テーブルを回られ、派遣隊員及びご家族と懇談されるとともに記念撮影を行う等、大臣の温かいお人柄と気配りに感銘を受けた一面もあった。
 陸上幕僚長による激励(壮行会食)
見送り(青森駐屯地)

海外で活躍する自衛官

防衛協会会報第136号(3)(28.10.1)掲載 
 
日本・ジブチ回線異状なし
(現所属)派遣海賊対処行動支援隊(第5次要員)通信第2班(通信員)
(差出元部隊)第1通信大隊 第2中隊
2等陸曹 菅谷 博士
通信機器を整備する菅谷2等陸曹

 私の所属する業務隊は、ジブチの拠点内及び日本との間の通信の構成・維持・運営を任務のひとつとして付与されており、私は、通信員として勤務しています。
 ここでの勤務の特徴は、通信という言葉から受ける想像とはやや異なり、とても活動的な職場であるということです。 必要な消耗品があれば、経理担当者と連携して市内へ自ら購入に赴き、必要とあれば現地の通信業者と調整して工事を依頼せねばなりません。いつも最良の状態で通信できるように、衛星アンテナの整備も必須です。通信を維持する任務は、室内で通信器材を操作しているだけでは達成できないのです。
 遠く日本を離れての勤務ですが、こうして日々維持している通信を用いて、この原稿が皆さんの手元へ届くことにも感動を覚えますし、万が一にも通信の途絶が発生することのないよう、予備手段の確保も万全です。 必ずつなぐ、必ず伝える「必通の信念」をもって、引き続き支援隊任務の完遂を目指します。
 
派遣3か月を経過して
(現所属)南スーダン派遣施設隊(第10次要員)本部付隊整備班(装輪車整備陸曹)
(差出元部隊)第7後方支援連隊第2整備大隊普通科直接支援中隊
3等陸曹 中岡 順子
車両点検をする中岡3曹
 
 私は、本部付隊で装輪車整備陸曹として、自衛隊入隊以来初めてとなる海外派遣に参加しています。出国前はとても不安でしたが、派遣から約3か月が経過し、ジュバでの生活にも慣れ、一緒に派遣されている同僚及び本邦に残っている家族や部隊の方々の支えもあり、現在は不安なく過ごしています。
 特に、南スーダンに来る前は、四六時中暑いというイメージがあり、さすがに日中は想像どおりの暑さでしたが、朝夕は意外と涼しくとても驚きました。
 私の任務は、日本隊が保有する装輪車両の整備ですが、日本と南スーダンでは環境や道路事情が大きく異なるため、本邦では考えられない故障が発生します。 また、故障が発生すると、現地で入手困難な部品については日本から送ってもらうため、南スーダンに届くのに時間がかかり、一度故障してしまうと整備完了までに時間を要し、部隊の活動に支障を来す可能性があります。
 そのため、故障を未然に防止するため、日々、正確・確実な整備を行い、些細な不具合や兆候も見逃すことなく対応できるよう頑張っています。 
 残りの派遣期間においても、派遣施設隊の一員として、また、南スーダンの発展を願い、その一旦を担う一自衛官として任務を完遂できるよう努力し、胸を張って笑顔で帰国できるよう頑張ります。

海外で活躍する自衛官

防衛協会会報第135号(4)(28.7.1)掲載
 
初めての海外勤務
派遣海賊対処行動支援隊(第5次要員)業務隊(補給陸曹)
2等陸曹 伊藤 秀樹
  私は派遣海賊対処行動支援隊の業務隊で需品、衛生、厚生物品の管理及び整備に関する業務に従事しています。
  初めての海外勤務で当初は気候や環境、文化に慣れず悪戦苦闘していましたが、今ではすっかり慣れ現地の人達ともコミュニケーションをとりつつ充実した日々を過ごしています。
 また、統合部隊として海上自衛隊の隊員と一緒に活動していますが、陸上自衛隊との違いも多少あり、惑いつつもお互いを尊重し、良い部分を吸収し合いながら勤務しております。
 派遣期間も半分が過ぎました。最後まで「真情あふれる支援」に徹し、拠点の任務完遂のため、微力ながら貢献していく所存です。
 最後に、海外に来て改めて日本の良さがわかりました。
(差出元部隊:第1後方支援連隊補給隊)
現地事務所で勤務中の伊藤2陸曹
現地でフォークリフトを操作する伊藤2陸曹

PKOに参加して
南スーダン派遣施設隊(第9次要員)施設小隊
2等陸曹 高津 真二
 私は、施設小隊の班長として南スーダン派遣施設隊の活動に参加しています。私自身2度目の派遣なのですが、準備訓練が始まるまでは、家族の事や現地の気候への適応等、自分に務まるのか正直不安がありました。
 しかし、妻から「私が家を守るから安心して。子供達は大丈夫だよ。日本の代表として頑張ってきて。」と背中を押され、参加を決心しました。そして、準備訓練間、小隊の皆が訓練の終始にわたり積極的に活動する姿を見て、この仲間となら任務を全うできると安心しました。  
 私は派遣にあたり、班長として何をなすべきなのかを考えた際、まずは小隊長の要望事項である「任務必遂」を具現しようと考えました。「任務必遂」を具現するためには、ただ漫然と作業をすればよいわけではなく、隊員の健康状態の掌握、車両や施設器材の整備状況の確認、それらの運行に伴う安全点検の確行及び実行の監督が必要です。
 我が班は、今のところ大きな事故、病気、怪我等も無く、日々タスク(任務)を実施しています。これは、一つ目に隊員各個が安全管理意識を高く持ち、予防整備の重要性を深く認識して任務にあたってくれたこと、二つ目に小隊長の指導・監督が徹底されていたおかげだと思います。  
 派遣期間も残りわずかとなり私が感じるのは、送り出してくれた部隊の方々や家族の支えに対する感謝の気持ちです。今後も、決して手を抜くことなく丁寧な施設作業を実施し、日本人として恥ずかしくないような服装、態度で他国の方々と接し、「日本の自衛隊はすばらしい」と言われるよう、最後まで頑張りたいと思います。
(差出元部隊 第10施設大隊第3中隊)
現地で油圧ショベルを巧みに操作する高津2陸曹

自衛隊の動き

防衛協会会報第129号(3)(27.1.1)掲載
 
(海外で活躍する隊員)
これまでの活動を振り返って

南スーダン派遣施設隊(第6次要員)第1施設小隊(小隊長) (第5施設隊本部)
1等陸尉 大東 康章
現地の業者と調整する 大東1尉
 私が、第1施設小隊長として南スーダンに派遣され、約5ヶ月が経過しました。私自身初めての国際平和協力活動への参加ですが、この5カ月間の数々の経験は、今後の職務を遂行する上でとても貴重なものであると認識しています。  
 私の任務は、小隊本部及び器材班並びに2コ施設分隊から成る小隊を指揮し、発出されたタスク(任務)を実行することです。日本とは全く異なる環境の中、日々創意工夫を凝らし、文民保護に資する施設活動により、平和と安定のための国づくりに貢献しています。  
 南スーダンでの活動は、本邦とはかなり異なります。具体的には、急変する天候(スコール)、資材の不足、調整事項の頻繁な変更などで、これらの特性を踏まえ各種状況に柔軟に対応するため、活動計画は融通性を持たせることに留意しました。
 また、現地での調整は英語で実施されるため、緊要な時期には確実を期すための通訳班を介して調整するとともに、小隊長以下、隊員の語学能力の向上を図りました。加えて、現地住民が見守る中や、状況によっては国内外の報道機関などの衆人環視下での活動となるため、我々の行動が日本の印象を左右するものであると認識し、作業間の容儀及び規律については特に着意し指導するように心掛けています。  
 現在まで、派遣準備訓練の成果を生かし、大きな事故もなく活動しています。我々が任務に集中できるのも隊本部や本部付隊、警備小隊等の円滑な活動の賜物であるとともに、本邦において我々の不在間、隊務を運営してくださる派遣元部隊の皆様のお蔭であると感謝しています。
 第6次要員の活動も後期になりますが、隊長要望事項である「心・技・体を大切に」「胸を張って帰国しよう」を具現できるよう小隊一丸となって活動に取り組んでいく所存です。 

感謝と再確認
派遣海賊対処行動支援隊(第2次要員)業務隊(補給整備3班長)(第1空挺団後方支援隊本部)
2等陸尉 千野 智弘
班員と設備の点検をする千野2尉
各国軍とスポーツの交流
 このたびの派遣にあたり私は、補給整備2班(以下「補整2班」という。)の班長を拝命し、ジブチでの任務に励んでいます。補整2班は、陸上自衛隊の保有する火器や車両といった物品の管理業務、活動拠点内外の輸送業務のような兵站を所掌する班です。
 また、派遣海賊対処行動支援隊業務隊において唯一、陸上自衛官が班長となるポストであるため、重要な役職と認識しております。 初の海外勤務及び初の兵站統制業務であり、業務要領の不徹底等で補整2班の仲間に迷惑をかけてしまうこともありますが、補佐・意見具申してくれる彼らに非常に感謝しています。
 同時に、本邦で私の留守中に業務を代行していただいている同僚の方々、家を留守にする間、家事・育児に奮闘する妻及び自衛隊を理解してくれている両親に対し、只々頭が下がる思いです。
 習志野駐屯地で共に勤務している仲間のもとを、また「日の本」を離れジブチで過ごすことにより、彼らの存在の大きさ、日本国民及び日本国の素晴らしさを再確認することができました。
 この厳しくも素晴らしい任務を与えてくださった空挺団後方支援隊のため、より多くのことを学び、血肉にして補整2班の皆で日本の地に帰ることができるよう、所命必遂、日々進化、奮起して勤務していきたいです。

施設活動における安全確保
南スーダン派遣施設隊(第6次要員) 第2施設小隊(第分隊長) (第5施設隊)
陸曹長 吉村 大介
細部位置を指示する 吉村曹長
  南スーダン派遣施設隊第6次隊要員として派遣され、早いもので5ヶ月が経過し、この間、ジュバ市近郊の道路補修などの様々な施設活動を通じて数多くの教訓を得ることができました。
 日本と環境が異なるここ南スーダンで「頻繁な検問」「車両の通行マナー」「住民感情」「猛暑」などの特性があります。あらゆる角度からの状況を予測し、いつ何が起こっても対処できるように、隊長の要望事項でもある「無事帰国」を最優先に考え、作業の指揮と安全管理を両立させることが、派遣間の任務遂行上、必要なだと考えています。
 また、活動部隊の安全対策に欠かせないのが警備小隊との密接な連携です。活動地域内の警備はもとより、交通統制、車両・資器材の監視等、活動部隊が施設活動に集中できるよう安全を確保してくれています。
 現場では作業開始前に隊員全員で認識を統一し、特に安全管理の徹底として「作業地域内の全隊員に各組の行動を承知させるよう報告すること」「作業に没頭せず常に周辺の状況を確認すること」「危険と判断した接近車両等は全員に伝達すること」「熱中・脱水症状の兆候を早期に発見すべく隊員相互に観察すること」など、作業現場・状況に応じた注意を喚起し、各種事故の未然防止に努めました。
 「隊員一人一人が安全係の意識を持て」とよく耳にしますが、分隊長と隊員が常にこの言葉を意識して行動しなければならないと感じています。 引き続き、様々な状況に応じた具体的な危険見積に基づく安全対策を講じて、「任務を完遂して無事帰国」できるよう任務に邁進していきたいと思います。
 最後に、第5施設隊の隊員及び留守家族など多くの方々に支えられ、励まされていることに感謝致します。

アフリカの暑さに負けず
南スーダン派遣施設隊(第6次要員)衛生救護陸曹(北部方面衛生隊第101野外病院隊)
2等陸曹 原 貴洋
医務室の受付業務をする 原2曹
MTC地区の防疫をする 原2曹
 私が、6月18日に南スーダン派遣施設隊第6次要員として日本を出国してから、早や5ヶ月が経過しました。私だけでなく、多くの要員が感じている事と思いますが、日々の業務を黙々と遂行しているうちに「あっ」という間に過ぎた5ヶ月でした。  
 当初、雨季と聞いていたため、短い時間でもほぼ毎日のように雨が降るのかと想像していましたが、イメージとは異なる気候でした。暑さに関しては、屋外での作業では汗はかきますが個人的にはさほど暑くなく「アフリカと言ってもこんなものか。」と高を括っていました・・・が、そんな訳はありません。
 特に最近は乾季に近づいているせいか、朝から日差しが痛いほどに強くなってきています。 また、季節の移り変わりも分かりにくいと思っていたのですが、目にする虫や飛来する鳥の種類、日の出と日没の時間が少しずつ変化しているのに気付くと、「季節が変わっているのだな」と感じます。  
 私が、この派遣間で、ひとつ残念に感じたことは、数少ない宿営地外の活動で現地の人達や他国の国連関係者が、気軽に話しかけてきてくれても、上手く英語で話せないことです。現地の人達はとても気軽に話しかけてくる人が多いので、色々話せればもっと楽しかっただろうと思いました。
 私は衛生科隊員として勤務しておりますが、これまで大きなけがや病気をした隊員がいないことにとても安心しています。 最後まで全員が無事に帰国できるよう、残りの期間も気を緩めず、そして、私自身もアフリカの暑さに負けることなく、隊員の施設活動や健康管理を支援していきたいと思います。

自衛隊の動き

防衛協会会報第128号(1)(26.10.1)掲載

現場での感想
南スーダン派遣施設隊(第6次要員)第2施設小隊(器材班長) (第5施設隊)
1等陸曹 遠藤 公路
作業位置を指示する遠藤1曹
 私は、第6次要員の先発として、5月23日に日本を出発し、24日に南スーダン共和国の首都ジュバ市にある日本隊宿営地に到着しました。  
 第5次要員から、着隊教育を受け、業務内容の申し受け等を実施し、活動現場の確認をしました。その際、納入予定のマラム(現地採取土)が納入されず、作業が遅れるという状況に遭遇し、更にそれが日常茶飯事と聞いた時は「さすが大らかな土地柄、アフリカだな」と感じました。  
 道路補修の際に使用するマラムは、土まじりの砂利で、締め固めて乾燥させると最高に良い土質なのですが、水に弱く、水溜まりなどをそのままにしておくと軟弱な土質となるため、路面に水が溜まらないようにグレーダーによる整地と、水抜きが欠かせません。
 また、活動中は様々な場面に遭遇します。たとえば掘開する場所によっては、1mぐらい掘ると水が湧いたり、「砂利を降ろすのはここじゃない」「No!STOP!!」と言っても上手く伝わらずに、砂利を降ろして去っていく現地のダンプ運転手、また時には予期せぬ場所で頭から尻尾まで1mぐらいのトカゲが目の前を横切ったり(笑)・・・等々。
 6月16日の指揮転移から本格的に施設活動を開始し、まだまだ始まったばかりですが、正確に通じているか不安な英語による調整も、身振り手振りで現地の方々や、各国職員・軍人とコミュニケーションをとりながら頑張っていきます。
 我々が留守の間、第5施設隊の皆様には、勤務や家族の支援等本当に感謝しております。「皆の支えがあるからこそ任務に邁進できる」ことをしっかりと心に刻み、今後も健康管理には気をつけ、班員と共に力を合わせ一件の事故も無く、任務の完遂に努めたいと思います。
器材班一丸となり任務に邁進!
南スーダン派遣施設隊(第6次要員) 第1施設小隊(器材班長)(第5施設隊)
1等陸曹 中嶋 幸一
無線で調整する中嶋1曹
 第1施設小隊器材班長として、南スーダンに派遣されて約2カ月が経過しましたが、毎日が充実していて、とても短く感じた2カ月間でした。
 第5次要員から任務を引き継いだ我々は、国連施設内外の道路補修や排水整備を実施していますが、やはり慣れない土質と気候に苦労しています。
 土の種類は、現地採取土の「マラム」と呼ばれる赤土と「ブラックソイル」と呼ばれている黒土があり、どちらも天候に左右され易い土質です。特に「ブラックソイル」は曲者で、乾けばカチカチに固まってしまい、降雨など少しでも水を含むとベタベタの軟質に変化してしまいます。この土の特性を考慮しつつ、いかに施設活動をするかが、勝負になります。
 更に我々を悩ませるのが、雨季の時期です。急なスコールと灼熱の太陽が、「ブラックソイル」の特質を発揮させ、施設活動を難しくさせる現状です。それでも、私達、器材班全員は一致団結し、一丸となってこの状況に立ち向かっています。
  私達は、いかなる気象や土質にも負けることなく、心・技・体を大切にして、胸を張って帰国できるよう、残りの約4ヶ月を頑張っていきたいと思っています。
 最後に私達を送り出し、留守を預かってくれている第5施設隊の皆様と我が家を守ってくれる家族に対して、感謝の気持ちを忘れることなく、引き続き任務に邁進していきます。
南スーダンでの生活
南スーダン派遣施設隊(第6次要員) 第1警備小隊(警備隊員 (第6普通科連隊第3中隊)
2等陸曹 奥山 厚志
活動現場に向けて宿営地から出発する奥山2曹
 早いもので、私が南スーダンに来て2ヶ月が経ちました。こちらに来て、まず始めに感じたのは、やはり暑さでした。北海道とは違い、立っているだけで汗がダラダラ垂れて来るような感じで「これがアフリカか!」と実感しました。
 今は、気候にも多少慣れてきましたが、やはりここはアフリカ、「ウヒャー暑い!」と思うことが多々あったりします。  
 我々、日本隊宿営地の前には国内避難民の人達が生活しています。私は、国内避難民の人達は疲れて元気の無い感じなのかと想像していたのですが、思っていたよりもずっと元気で明るく、挨拶をすれば笑顔で挨拶を返してくれて、やはり想像と現実は違うものだと実感しました。
 特に、子供達はとても人懐っこく、任務に就いている時も気軽に寄ってきて話しかけてきます。ここで、いつも残念に思うのが 子供達の言っていることが、正確にわからないことです。この時ほど、「もっとしっかり英語を勉強しておけば良かった」と、思います。
 最近はオーストラリア軍の方が教えてくれる英語教室に行き、少しづつですが、英語が理解できる様になった気がしています。  
 また、私は警備小隊で勤務していますが、警備任務は、常に緊張感をもって勤務しています。日本における訓練の時から、集中し緊張感をもって訓練を、行ってきたつもりでしたが、訓練と実際の任務では緊張感が全然違うものだと、こちらに来て感じています。ですが、任務から帰って来た時の安堵感と達成感は、訓練の時より大きく感じられ、日々、充実感に満ちてメリハリのある生活を送れていると思います。  
 ここは、日本と時差が6時間あるので、任務終了後、携帯電話のメールに子供の写真が送られてきている時などは、とても励みになります。家庭のことは出国するにあたり心配なこともありましたが、離れてみて家族のありがたみを再認識しました。
 帰国までの期間はまだありますが、信頼できる仲間達と頑張っていきたいと思います。

自衛隊の動き

民軍連携担当者として
南スーダン派遣施設隊(第5次要員)隊本部第3科連絡調整幹部 (中央即応集団司令部民生協力課)
1等陸尉  境沢 樹
NGO職員等とIDP(国内避難民)の移動を支援
 私は派遣施設隊本部における民軍連携担当者として、国連・国際機関及びNGO職員等との連絡調整を行っています。  
 昨年12月に民族対立を背景とする抗争が発生し、南スーダン国内の情勢が悪化して以降、多数の南スーダン国民が国連施設内に保護を求めて来ました。国連は直ちにこれらの国内避難民(IDP)を施設内に受け入れ、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)職員に加え、各国連・国際機関、多数の国際NGO等がIDPに対する文民保護活動を開始しました。
 1月には周辺国の仲介により停戦合意が結ばれたものの、その履行状況は完全ではなく、国連施設内に設定した「文民保護エリア」には、現在も多数のIDPが避難しています。UNMISS、国連・国際機関及びNGO等の民軍アクターはこれらのIDPを身体的暴力から保護すること、すなわち「文民保護」を最優先課題として、その総力を結集し、文民保護エリアの警備、食糧・生活物資の配布、衛生環境改善等に当たっています。
 派遣施設隊も文民保護エリア構築等の施設活動、避難民に対する給水、医療支援等を通じて、国連の行う文民保護に大きく貢献しています。 現在、南スーダン国内の各国連施設には、合計で約7万人のIDPが所在していますが、彼らを保護・支援する民軍アクターは圧倒的に不足しており、文民保護という共通目的達成のため、組織の垣根を越えて協力・連携することがこれまで以上に求められています。
 国連・国際機関、NGO等との連絡調整に当たっては、派遣施設隊の活動が、円滑かつ効果的なものとなるように留意することはもちろんのこと、相手の組織、文化や考えを十分に理解・尊重しつつ協力・連携して、各文民アクターによる活動と継ぎ目のない相互補完的な活動が指向できるよう、今後も職務に邁進していきたいと思います。

 
任務完遂
南スーダン派遣施設隊(第5次要員) 分遣隊第2施設小隊第1分隊副分隊長 (第3施設大隊第1中隊)
3等陸曹 北村 守
事務所で業務を行う北村3曹
 私が、南スーダンに派遣されてから、早4ヵ月が過ぎました。 私にとって初めての海外派遣は学ぶことが多く、とても貴重な日々となっています。
 私は施設学校において、中級鉄工という配筋や溶接を専門に行う教育を受け、その教育において修得した技術を使い、今回は、施設小隊で副分隊長として派遣準備段階から、溜桝の枠組みを作成し、雨季に向けた排水溝整備に活かしています。
 また私の所属する、施設小隊の任務は多種多様であり、器資材等も日本とは違いますが、日頃の訓練等で培った知識・技術を活かし、現地にある資材を利用して、より良い物を作るように心掛けています。
 日本とは違った環境下で、創意工夫しながら作業を進めることで視野が広がったように思います。この経験を日本に帰って、部隊における勤務に活かしたいと思います。
 最後に、私が日本から遠く離れた南スーダンの地で、任務に邁進できるのは、日本で留守を預かってくれている部隊の方々、そして家族のおかげです。部隊の方々、家族に対して感謝の気持ちを忘れることなく、最後まで全力で頑張りたいと思います。
部隊への貢献
南スーダン派遣施設隊(第5次要員) 派遣警務班警務陸曹 (第133地区警務隊)
3等陸曹 森分 亨輔
交通統制前の状況を確認する森分3曹
 私は、派遣要員として指定される1カ月前に、陸曹普通英語課程を卒業しました。
 要員指定の話を聞いた時は、英語課程で学んだ知識等を早速活かすことができると、喜びました。
 実際に私が南スーダンに来て、各国の軍人、職員そして国連憲兵の方々と会話をする中で、各国独特の訛りのある英語に接し、最初は戸惑いましたが、日を重ねるうちに徐々に慣れてきました。
 現在は、私の英語も派遣施設隊と各国の部隊との「懸け橋」となっており、充実した毎日を送っています。
 また、南スーダンでは、交通事情が日本とは異なり、信号機が無く、道路交通法等の法規が細かく定められていないため、それぞれのドライバーが思いのままに運転をしているように感じます。
 その中で、部隊の通行の安全を確保するための交通統制や、国連憲兵へのアクシデントレポート提出等の貴重な経験をし、私の警務官としての識能を高めることもできて大変充実しています。  
 本活動を通して私の警務官としての識能を高めることにより、部隊への貢献にも繋がっているということに気付きました。残りの派遣生活も全力で頑張ろうと思います。

1海外派遣で年を越す隊員達

防衛協会会報第121号(4)(25.1.1)掲載
 
南スーダン
道路整備をする2次隊員
 
 国連からの要請を受け、南スーダン共和国における国連南スーダン共和国ミッションに対し、国際平和協力法に基づき、南スーダン現地調整所要員および南スーダン派遣施設隊を派遣している。  
 現在は第3次要員として現地支援調整所として所長土屋 晴稔1佐以下約20名が、派遣施設隊として隊長持田将貴2佐(第9施設大隊長・八戸)以下約330名が昨年11月から12月かけ現地入りしている。  
 なお第2次要員の現地支援調整所の生田目徹1佐以下約20名及び派遣施設隊隊長の松木信孝2佐以下約330名は昨年末帰国している。
ソマリア
商船を護衛する護衛艦
 
 海賊が頻繁に出没する危険な海域であるソマリア沖・アデン湾での、各国船舶の安全に航行させ、わが国関係船舶を海賊行為から防護するために、第2護衛隊司令丸澤伸二1佐麾下の護衛艦「まきなみ」、艦長大鋸寿宣2佐・乗員約180名及び護衛艦「ゆうぎり」、艦長加治勇2佐・乗員190名からなる第13次派遣海賊対処行動水上部隊及び森脇仁1佐以下の第11次派遣海賊対処行動航空隊を派遣中で、護衛艦による民間船舶護衛やP-3C哨戒機による海賊の確認作業を実施している。  
 ジブチの活動拠点にはP-3C警備などのための陸自部隊も派遣されている他、護衛艦には海上保安官8名が同乗している。

ゴラン高原
日の丸と国連旗を掲げて
 
 平成8年2月以来、シリア、イスラエルの間で緊張状態が続くゴラン高原の安定に寄与するため、国連兵力引き離し監視隊として長期にわたって部隊の派遣を継続中で、9月現在延べ約1500人となる。  
 派遣は、司令部要員と輸送部隊である。  
 輸送部隊は現在第33次要員で隊長南條衛3佐以下43名が活動に必要な物資の輸送、道路の補修、除雪などを行っており、食料品の輸送や物資の保管、重機材の整備や消防活動、除雪、道路の補修など、その活動は多岐にわたっている。  
 司令部要員は第16次要員となり、わが国のPKOの最長記録を更新中である。

しらせ
「しらせ」から昭和基地への物資輸送
 
 昨年11月から本年4月まで、海上自衛隊は砕氷艦「しらせ」により第54次南極地域観測協力を実施中。  
 海上自衛隊が南極地域観測協力を担当することになったのは昭和40年からであり、初の任務には砕氷艦「ふじ」が就いた。  
 現在の「しらせ」については今回で4回目の協力で、艦長松田弘毅1佐以下乗員約170名が参加。  
 協力内容は、往復で54次及び53次越冬隊員等、延べ150名の人員輸送並びに観測機材及び設営資材等1488トンの物資輸送である。  
 その他、観測隊の計画する海洋観測等、艦上で行われる定常観測及び研究観測の支援、観測隊の計画する野外観測における人員及び機材等の空輸、昭和基地における建設作業等の支援を実施する
ハイチ
瓦礫を処理する施設部隊
 
 大地震後のハイチの復旧・復興を支援するため、平成22年2月以降、国連ハイチ安定化ミッションとして施設部隊を派遣中であったが、第7次隊、隊長菅野隆1佐以下約300名は任務終了に付き昨年末に帰国した。
 ハイチには2年半にわたり延べ約2200名が派遣され、首都ポルトープランス市を中心に道路補修、国境道の整備、瓦礫の除去、小学校や病院など公共施設の解体、敷地造成など約200件の活動を実施した。
 また他国軍との協力も盛んに行われた。
 帰国にあたり、その撤収支援のため神成健一1佐以下約45名が昨年10月派遣された。
 撤収支援隊は補給統制本部、関東補給処の隊員が主力で、装備品の仕分け、洗浄、通関手続き、船舶への積載を行う。
 現地にはトラックやトレーラーなど車両約110両の他、油圧ショベルやドーザーなどの施設機材等が約40両があるが、施設機材等はハイチに譲与される方向である。

海外任務、現地の声から(抄)

防衛協会会報第120号(3)(24.10.1)掲載

警備隊(ジブチ) 塚本 博一 3曹
 
 8月初旬、ジブチ共和国は連日50℃を超える日々が続いています。今は断食月・ラマダンでありジブチは厳粛な雰囲気に包まれてますが、我々も自衛官として恥ずかしくないよう淡々と任務を遂行しています。  
 私は主に警護任務に就いています。ジブチ共和国で1日任務に服せば、日本では経験出来ないことをたくさん経験できます。また、環境・言語・宗教・風習の違う現地の役務の方々と仕事をすることは、その違いから苦労も多いのですが大きなやり甲斐を感じることができます。このように、現地の人々と仕事や行事を通じて交流することにより、相手のことを理解できるのみならず、日本人に対する良いイメージを付与するきっかけにもなると思います。日本人として恥ずかしくない行動を常に心掛けて、ジブチの方々に少しでも日本のことを好きなってもらえればと思います。  
 日本からの電話やメールにいつも励まされ、癒されて、毎日を乗り切ることが出来ています。日本に残っている人達に誇りに思っていただけるように、引き続き一日一日を全力で頑張っていきます。
役務とともに車両検索
隊本部(ゴラン高原) 生出 昌輝 2曹
 
 ゴラン高原に来た当初は雪が降っていて、原隊の所在する北海道の景色とあまり変わらないという印象でしたが、6月に入り連日気温約40℃の猛暑が続き、北海道とは違うということを思い知りました。  
 私は会計業務と給養業務を担当しています。  
 会計業務は調達要望、会計書類の作成、資金請求及び関係諸帳簿の記帳です。情勢が不安定なためシリア側での調達がなかなか思うようにいかず、分遣班の要望物品の調達に苦労しました。また派遣当初は、道も業者もわからず、交通マナー(逆走、無理な追い越し等)の違いにも困惑する日々が続きました。1ヶ月程経つと、どうにか業務に慣れてきました。  
 給養業務はUNDOF司令部への糧食の請求、食事支給台帳の作成、各種報告文書の作成・送付及び追送品の仕分・配布です。給養業務は未経験のため、分からないことも多く、経験のある隊員に教わりながら業務を進めています。  
 帰国まであと1ヶ月余り、油断せず笑顔で任務を遂行し、感謝の気持ちを日々忘れず、無事に日本に帰国するその日までしっかり頑張りたいと思います。
糧食の調達

海外任務、現地からの声(抄)

防衛協会会報第119号(3)(24.7.1)掲載

看護官(南スーダン) 野口 宣人 2等陸尉

 南スーダンでの任務は、派遣隊員が任務を完遂できるよう「健康面に関する環境作り」です。  
 まずスムーズな診療できるよう、例えば40℃を超える環境の中で任務を遂行している隊員が、熱中症等による体調不良を訴えた時は、医官の処置を予測し、速やかに治療が開始できるように先行的に準備し、医官の指示のもとに指示内容を治療を介助します。  
 当初応急的に開設した医務室では、プライバシー保護や医薬品の整頓は不十分な面もあり、診療の流れや勤務員の動線を考えた医務室内のレイアウト、勤務表など少しずつ改善し効率的に業務しています。  
 また常時砂が舞う環境では個人衛生の基本である手洗い、うがいは必須です。液体石鹸やうがい薬を設置するとともに、健康に不安な隊員を早期に把握し、早期受診を勧め、または相談に乗る等しています。  
 少人数ですが医師、薬剤師、看護師、救急救命士及び臨床検査技師など、各々が役割を理解し協力して健康管理をバックアップしています。衛生科は派手ではありませんが、各分野の医療専門職の地道な活動によって、派遣隊員の健康を守り、ご家族の安心を得ることでで南スーダンの発展に寄与できると思います。
(対特殊武器衛生隊所属)
患者から健康相談を受ける野口2尉
通信幹部(ジブチ) 崎田 琢磨 2等陸尉
 
 ジブチ共和国内の活動拠点で通信要員として、国際活動任務に従事しました。  
 ジブチには海賊の警戒監視に当たる航空機搭乗員、整備員、活動拠点等の警護員、司令部要員、そして衣食住及び各施設の運営・維持管理要員として海・陸自隊員が任務に服しています。  
 私は、6名からなる通信要員として、日本とジブチ活動拠点間の通信の確保及び通信システムの維持・運営等にあたりました。  
 海・陸自器材が混在し、実施上の根拠規則は海自のものであったりと、当初は戸惑もありましたが、一致団結し、お互いの知識・技能を補完し、切磋琢磨しながら業務を実施しました。  
 職務に違いはあれ、各隊員がそれぞれの持ち場で任務を完遂することで、警戒監視任務は達成されます。  
 日本から遠く離れた地でシーレーンを守ることが、日本の国益となり、愛する家族、友人のためになることに思いを馳せ、海・陸自衛隊の垣根を越え、一丸となって勤務できたこの経験は、自衛官として、また一人の男として、人生の大きな糧となりました。
(第1空挺団所属)
電話回線を点検する崎田2尉(右)

南スーダンPKO

防衛協会会報第118号(24.4.1)掲載
 
南スーダン派遣国際平和協力隊、現地で活躍中
 国連からの要請を受け、南スーダン共和国における国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に対し、国際平和協力法に基づき、自衛隊は1月に先遣要員及び現地調整所要員を、2月に施設隊主力第1波を南スーダン派遣国際平和協力隊として派遣中である。  
 3月5日現在、南スーダン現地支援調整所長生田目徹1佐以下約30名及び南スーダン派遣施設隊長板間輝男2佐以下約180名を派遣中である。  
 3月下旬には施設隊主力第2波約30名をを派遣し、施設隊は合計210名となる予定である。これまでのところ物資及び派遣隊員は順調に到着し、ジュバでは宿営地の整備を行っている。  
 交代要員となる2次の派遣施設隊は330名程度が予定されているが、交代時期は未定である。
宿営地での国旗掲揚式
茫漠とした宿営地で測量

正月は海外派遣任務中

防衛協会会報第117号(4)(24.1.1)掲載
 
ハイチ

 平成22年1月に発生したハイチ大地震災害に対する緊急の復旧、復興、安定化に向けた努力を支援するため、同年ハイチ派遣国際救援隊が派遣された。
 現在は、西部方面隊を中心に第5次要員(司令部2名、工兵部隊約350名)が活動している。
 部隊は、ドーザや油圧ショベル、クレーンなどの重機類を含む多数の車両を装備し、瓦礫の除去、難民キャンプの造成・補修作業、道路の補修作業、倒壊した行政庁舎の瓦礫の片付け、孤児院施設の建設といったハイチの復興・復旧のための活動を実施している。
5次隊の雄姿

ゴラン高原

 ゴラン高原派遣輸送隊は生活物資などを、イスラエル、シリア、レバノンの港湾、空港、市場などからUNDOFの各宿営地まで輸送している。  
 また、道路の補修や、山岳地帯での除雪などの後方支援業務を行っている。  
 更にインド部隊などと同一宿営地に居住し、隊員の給食業務などを共同で行っている。現在第32次要員43名が派遣されている。  
 司令部要員は3名で、輸送などの後方支援分野に関する企画・調整や広報や予算関連の業務を行っている。司令部要員は、1年交代で、現在16次の要員が派遣されている。
第31次隊と第32次隊の交代

ソマリア沖アデン湾

 この海域は、通年多数の日本関係船舶が通行し日本の暮らしを支える重要な海上交通路であるが、近年機関銃やロケット・ランチャーなどで武装した海賊による事案が多発・急増している。  
 海賊対処法に基づき、派遣海賊対処行動水上部隊(護衛艦2隻)が派遣され、船舶の護衛を実施するほか、派遣海賊対処行動航空隊(固定翼哨戒機2機)を現地(ジブチ共和国)に派遣して海賊の監視警戒を実施している。
 陸上自衛官が固定翼哨戒機やその装備品の護衛をしているほか、司令部要員としても活動しており、海外に派遣する部隊としては初めて陸海の統合部隊として編成されている。  
 現在は約580名の自衛官と8名の海上保安官が派遣されている。
海賊の警戒監視

東ティモール

東ティモールの騒乱に対応するために国際連合東ティモール統合ミッションとして派遣されている。 現在は軍事監視要員として中央即応集団司令部の自衛官2名を派遣している。
2次要員(中央)と3次要員

海賊対処活動

防衛協会会報第114号(4)(23.4.1)掲載
 
海賊が日本のタンカーを襲撃 海上自衛隊の展開海域以外
3月15日海賊対処に出港する「いなづま」、「さざなみ」
 
 インド洋のオマーン沖を航行していた商船三井が運航するタンカー「GUANABARA」(5万7千屯、バハマ船籍)が海賊に襲撃された。  
 3月5日午後9時ごろ不審な小型船がタンカーに接近。タンカーは速度を上げて逃げようとしたが、同10時ごろ4人が乗り込んできた。  
 救難信号を出し、乗組員は船の避難室で待機。近くにいた米海軍やトルコ海軍の艦船が急行し、スピーカーで投降を呼び掛けたところ、翌6日午後5時20分ごろ投降に応じ、米海軍が自称ソマリア国籍の男4人の海賊の身柄を拘束した。乗組員24人は全員外国人で、怪我はなかった。  
 現場は、ソマリア沖で海上自衛隊が海賊対策を展開する海域の外だった。タンカーはウクライナから中国へ重油を輸送。油の流出はなく、自力航行に支障もない。  
 海賊の処罰は2009年7月に施行された海賊対処法では、船舶強奪などの海賊行為の罰則を無期または5年以上の懲役と定めており、初めての事例となる。  
 米軍は11日、4人の身柄をオマーンに寄港している海上自衛隊の護衛艦に引き渡し、護衛艦が海賊対策の拠点としているジブチまで運んだ。ジブチから日本への移送は、海上保安庁の航空機を使い、13日朝羽田空港に到着した。
 海賊が日本に移送されるのは初めてのことであり、起訴されれば、裁判員裁判の対象となる可能性 がある。

海外で新年を迎える隊員達

防衛協会会報第113号(2)(23.1.1)掲載
 
ハイチ派遣国際救援隊
 
 22年1月ハイチ共和国で起こったM7.0の地震は規模の大きさや政情不安定に起因する社会基盤の脆弱さが相まり、死者が20万人程に及ぶなど単一の地震災害としては、スマトラ島沖地震に匹敵する近年空前の大規模なものとなった。
 大地震に関し、防衛省はまずハイチ国際緊急医療援助隊を同国レオガン市に派遣した。診療者数は累計で約3千人に及んだ。
 その後救援活動は、約350名からなる陸上自衛隊のハイチ派遣国際救援隊に引き継がれた。
 同隊は土木重機類を含む多数の車両を装備し、地震によって発生した大量の瓦礫の除去や被災民キャンプの整地など、ハイチの復旧・復興のための活動を行うことを任務としている。
 部隊はボルトーフランス空港内の国連世界食糧計画の用地の整地、避難民キャンプの造成・補修、ドミニカ共和国に通じる道路の補修、市内道路や倒壊した行政庁舎の瓦礫の片付けなどの活動を実施して いる。
 その他、現地司令部に2名が任務に就いている。
瓦礫を撤去する隊員

 
南極地域観測協力
 
 海上自衛隊の新砕氷艦「しらせ」は文部科学省の第52次南極地域観測に協力するため、艦長中藤琢雄1佐以下180名が大勢の家族や関係者に見送られ11月11日晴海埠頭をを出航した。  
 海上自衛隊が南極地域観測協力を担当することになったのは昭和40年からであり、初の任務には砕氷艦「ふじ」が就いた。現在の砕氷艦「しらせ」については今回で2回目の協力となる。 
 協力の概要は、51・52次越冬隊員など往復で150余名のオーストラリアから昭和基地への人員輸送。 観測器材、設営資材、燃料、食料等、往復で約2000トンの物資輸送。なお復路には約270トンの廃棄物をも持ち帰る含んでいる。 
 その他、観測隊の計画する海洋観測等、艦上で行われる定常観測及び研究観測の支援、野外観測における人員及び機材等の空輸、昭和基地における建設作業等の支援を実施する。
家族に見送られ出港する「しらせ」(写真・記事は朝雲新聞提供)

 
ゴラン高原派遣輸送隊
 
 派遣輸送隊は、国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)の活動に必要な日常生活物資などを、イスラエル、シリア、レバノンの港湾、空港、市場などから各宿営地まで輸送している。また、道路の補修や、山岳地帯での除雪作業などの後方支援業務の他、カナダ隊に代わって任務についたインド部隊などと同一宿営地に居住し、隊員の給食業務などを共同で行っている。  
 空自は、派遣輸送隊に対する物資輸送のため、輸送機や多用途支援機を半年に1度派遣している。  
 また、司令部要員は、輸送などの後方支援分野に関する企画・調整、全体の広報や予算関連の業務を行っている。
 第30次は司令部3名及び輸送隊43名が派遣されて、96年からの延べ派遣人員は1300人に及んでいる。
兵力引き離し地区を見る隊員

 
ソマリア沖・アデン湾海賊対処
 
 ソマリア沖・アデン湾の海域は、年間約2000隻の日本関係船舶が通行するなど、日本の暮らしを支える重要な海上交通路だが、近年この海域では、機関銃やロケット・ランチャーなどで武装した海賊による事案が多発・急増している。  
 自衛隊は護衛艦2隻(陸上自衛官50名、海上保安官8名を含む約550名)を派遣し、この海域を通行する船舶の護衛を実施するとともに、広大な海域における海賊対処をより効果的に行うため、航空隊(固定翼哨戒機2機)をジブチ共和国に派遣して海賊の監視警戒を実施している。  
 航空機の護衛等及び司令部要員の必要ため、陸上自衛官が派遣されており、陸海の統合部隊として編成されている。このほか、空自も、本活動を支援するため、空輸隊を編成している。  
 アデン湾東方において、海賊事象が増加する傾向にあり、防衛省として関係機関と調整し、検討を行った結果、モンスーン期以外については護衛航路を東に100海里延長することを決定している。
飛鳥Ⅱを護衛する海自部隊

国連ネパール政治ミッション
 
 ネパールにおける軍事監視として平成19から陸上自衛官6名を派遣している。 また現地との連絡調整・情報収集のため防衛省と内閣国際平和協力本部事務局から各2名派遣している。  
 派遣隊員は武器を携行せず国軍兵舎等で武器および兵士の管理の監視などを行っている。

国連東ティモール統合ミッション
 
 東ティモール政府に対する民主的社会構築のための支援や大統領選挙、議会選挙等の支援及び治安維持等への貢献をする任務に、各国が文民警察要員や軍事監視要員を派遣しており、日本も平成22年から陸上自衛官2名を司令部軍事連絡要員として派遣している。
国連スーダン ミッション
 
 停戦監視などの軍事部門に加え、選挙支援や人道支援調整を行う文民部門を有し、約1万人を超える大規模な本活動に、平成20年から司令部要員2名が兵站幕僚と情報幕僚として、在スーダン日本国大使館に防衛駐在官として自衛官1名が非武装で個人単位で派遣されている。

首相訓示 インド洋補給支援部隊帰国行事

防衛協会会報第110号(2)(22.4.1)
 
海自のインド洋補給支援終了
首相 プロフェショナリズムを賞賛

陸自PKO、ハイチで活躍

防衛協会会報第110号(3)(22.4.1)掲載
 
陸自PKO ハイチで活躍
 政府は2月5日、「ハイチ国際平和協力業務実施計画」を閣議決定、同日自衛隊行動命令を発出した。これは安保理決議に基づくもので、「ハイチ国際救援隊」として国連ハイチ安定化ミッションへの派遣となる。期間は11月30日まで。
 活動内容は瓦礫除去、被災民キャンプ建設用地の整地、道路補修、軽易な施設建設等で、約190名の施設部隊とそれを支援する管理要員約160名の、約350名で編成されている。
 1次要員約200名は緊急展開が可能な中央即応集団から派遣されており、施設活動をやりながら、宿営地の造成も実施する。2次要員は約1カ月後を目途に北部方面隊から派遣され、順次1次要員と交代しながら、本格的な施設活動を実施

海賊対策で護衛艦が出港

防衛協会会報第106号(21.3.14)掲載
 
 出港を見送る家族ら  アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、自衛隊法に基づく海上警備行動発令を受け、海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」(艦長溝江和彦2海佐)と「さみだれ」(同松井陽一2海佐)の2隻が、3月14日午後、呉基地(広島県)を出港した。
 海警行動で自衛隊の海外派遣は初めて。  
 麻生首相は「任務を果たし全員無事で帰国することを心から祈る」と訓示した。
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