過去の防衛省・自衛隊関連記事
令和6年
第1師団(当時の師団長・兒玉恭幸陸将)は5月8日から7月2日までの間、首都機能維持への寄与に必要な作戦遂行能力の向上を図ることを目的に、情勢の推移に応じた作戦準備から作戦行動について恒常の隊務と並行して約2カ月にわたり第1師団演習を行いました。
訓練は、自衛隊の駐屯地・演習場だけでなく、自衛隊以外の場所・施設なども利用し、関係機関等の参加も得て、より実際的な環境下で事態対処能力及び継戦能力の維持・向上を図ることができました。
6月10日(月)、都営大江戸線都庁前駅において第1特殊武器防護隊を主力として第1普通科連隊、第1後方支援連隊及び第126地区警務隊と関係各機関が化学剤対処の協同訓練を行いました。
訓練は首都機能を維持するために必要不可欠な地下鉄各線において、不審な液体が入った瓶が残置される事象が同時複数箇所で確認され、多数の乗客に痙攣等の症状が発生し、電車は各駅において緊急停車中であるとの想定の下に行われました。
1特防は駅構内の施設構造に応じた化学剤汚染地域の偵察、検知・検査及び除染を126警及び関係機関と協同・連携して行いました。同時に、傷病者の救出・搬送については1普連、1後支及び関係機関が協同して行いました。
参加した隊員からは「実際の駅構内で実際の関係機関と訓練したので、本当に起きているのではないかと錯覚をしてしまうほどでした。そのため緊張しすぎて勇みすぎてしまうところがありました。こういう時にこそ平常心で臨むことが大切だと痛感させられました」と、訓練環境及び状況がいかにリアルであったかを物語る声が多く聞かれました。
師団は今回、実際の地下鉄での事態対処訓練を通じて、その具体的な対処要領及び関係部隊・関係機関との連携要領等を確認・演練し、所期の訓練目的を十分に達成することができました。
師団は今後も、公安関係各機関と連携を強化するとともに、より強固な抑止力を構築し、首都機能の維持に貢献し得るよう、協同訓練を継続的に行っていく方針です。
徳島地方協力本部(本部長・袴田重征1等海佐)は、6月26日(水)、予備自衛官等協力事業所として防衛大臣から認定を受けた事業所「有限会社野田製作所」に対し、認定証の交付を実施して企業主等との更なる連携強化を図りました。
有限会社野田製作所からは「国の防衛に貢献していることが認定され、大変光栄です。引き続き協力をしていきます」との声をいただきました。
認定証の交付後、同企業で勤務し、長年にわたり予備自衛官として尽力されている方へ、本部長から永年勤続者表彰を伝達し、その功績をたたえました。
「申告します。川崎重工業株式会社古田健人他48名の者は、令和6年5月8日から同年5月9日までの
間、久居駐屯地にて実施される生活体験に参加を命ぜられました」私のこの一言から久居駐屯地での2日間の生活が始まりました。
弊社では、防需・民需ともに航空機の製造を行っております。航空機は空を飛ぶものであり、高い安全性が求められます。そのため、弊社の社員一人ひとりは人の命を預かる身として自分の仕事に誇りを持っています。自衛隊と弊社は全く異なる組織ではありますが、この2日間を通してどちらも「人の命を守る仕事」という根幹の部分は共通しているのだということを感じ、深い感銘を受けました。
また、自衛隊での心得としてご教授いただいた「一致団結」「時間厳守」「規律厳守」は弊社でも大切にされている考え方です。自社で学んだことを自衛隊という別の組織から学ばせていただいたおかげで、社会人に求められていること、社会人生活を見つめ直す良い機会となりました。
2日間という短い間ではありましたが、この2日間で得た学びは一生忘れることのない人生の宝になると確信しております。規律を厳守し厳しい訓練に耐えながら力を蓄え、有事の際にはその力を存分に発揮して下さる自衛官の皆様のお姿を拝見し、強く胸を打たれました。私も微力ながらも、一社会人として社会に貢献できるよう努力を重ねていく所存であります。
今回はお忙しい中、私達に貴重な体験をさせていただき誠にありがとうございました。
迫真の演習構成に、より進化し精強化する自衛隊への頼もしさ
5月26日(日)、今年で66回目となる陸上自衛隊最大の実弾演習「令和6年度富士総合火力演習(総火演)」が、静岡県の東富士演習場で行われた。
人気を誇る総火演は、部隊の人的資源を本来の目的である教育訓練に注力する必要性から、令和5年度以降の公開演習は中止された。また、ライブ配信は行わず、一般向けに分かりやすく編集した動画が後日配信される。
当日、木原稔防衛相、森下泰臣陸幕長等が視察する中、富士学校長の中村裕亮陸将の担任で演習が行われ、隊員約3000名(搭載部を含む)、戦車・機動戦闘車等53両、各種火砲38門、航空機10機が参加した。演習は、昼間演習、夜間演習のほか、装備品展示及び付随教育が行われた。 (写真提供:矢野聡氏)
演習目的
総火演は、各学校の学生等に火力戦闘等の様相を認識させて学生教育の資とすることを主たる目的としており、今年の研修学生等は約5200名に及んだ。
また、情報発信の場としても活用し、国内外からの陸自に対する理解と信頼を獲得することも目的としている。招待者は約3000名で、特に昨今の厳しい募集環境を踏まえ、募集対象者、保護者、学校関係者を増加している。
演習構成
昼間、夜間演習をそれぞれ前段・後段に区分し、前段に火器等の性能・効果を、後段に諸職種協同による火力戦闘の実相教育を主眼に構成している。
【令和6年度演習の特色】
◆後段演習では、島しょ部における戦闘の場面を設定し、隠顕する標的(ポップアップ的)等を活用し、各級指揮官の戦闘指揮に基づく火力戦闘の様相を教育
◆UAV(狭域用)及び10NW(10式戦車ネットワーク)を活用した射撃要領を教育
◆隊員目線での臨場感を伝えるため、ウェアラブルカメラを活用
実戦を意識した迫真の演習
我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増し、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス戦争も終結の兆しが見えていない。このような状況下で、今年の昼間・夜間の後段演習では、従来の一般観客を対象として取り入れていた見せるための演出から、実戦を意識した迫真の演習内容に様変わりした。
約1万人の災害派遣体制で被災者に寄り添ったきめ細やかな生活支援活動等を実施中
1月1日 16時10分に石川県能登地方で発生した最大震度7の地震(M7.6)とそれに伴う津波は,石川県能登地方を中心に,広範囲にわたって甚大な被害をもたらした.
気象庁はこの地震を「令和6年能登半島地震」と命名した。
時系列で整理した自衛隊の災害派遣関連状況
◇1月1日16時45分
石川県知事から陸自第10師団長(守山)に対して災害派遣要請があり、同時刻受理
◇1月2日10時40分
陸自中部方面総監を長とする統合任務部隊(JTF)を編成
◇1月4日09時00分
富山県知事から陸自第10師団長に対して災害派遣要請があり、同時刻受理
◇1月9日
陸自第10師団長が富山県知事から災害派遣撤収要請を受け、富山県における活動を終了
◇2月2日08時00分
自衛隊は統合任務部隊から、地域に密着した陸自中部方面隊を中心とする約1万人の災害派遣態勢に移行。
引き続き、被災者に寄り添ったきめ細やかな生活支援活動等を実施中
防衛省・自衛隊の対応
防衛省・自衛隊は、災害発生直後から現在に至るまで継続して、人命救助・衛生支援(診療、患者輸送)
・輸送支援(糧食、飲料水、毛布、燃料)・給食支援・給水支援・入浴支援・道路啓開・民間船舶「はくおう」
の利用や、自衛隊音楽隊が各避難所において慰問演奏を行うなど、被災者の現状を踏まえたきめ細やかな活動
を行っている。
観閲式・観艦式・航空観閲式が、一年ごとの3自衛隊持ち回り開催となった平成8年に初めて開催された航空観閲式は、今回で9回目。前回2020年度の航空観閲式と同様、規模を大幅に縮小し、無観客で式典のみ行われた。当日は今季一番の冷え込みで、強風予想も発せられていたことから、式典は基地格納庫で執り行われた。
陸自特別輸送ヘリ隊(木更津)のEC―225LP特別輸送ヘリで、岸田首相は入間基地に10時20分頃に到着。航空自衛隊儀仗隊の栄誉礼を陪閲者の木原稔防衛相とともに受けた後、木原防衛相、宮澤博行防衛副大臣、増田和夫事務次官、吉田圭秀統幕長、小林弘樹陸幕副長、酒井良海幕長、内倉浩昭空幕長、執行者を務める中空司令官の門間政仁空将らとともに観閲台に登壇し航空観閲式が開始された。
部隊栄誉礼、国家独唱の後、観閲部隊指揮官を務める中警団司令兼入間基地司令の佐藤網夫空将補を伴って、空自4個大隊800名の隊員を巡閲した。
観閲台に戻った岸田首相は、整列した隊員を前に訓示(下記に全文掲載)。緊迫した中東情勢を受けて、邦人等の輸送のために派遣任務に携わった全ての隊員がワンチームとなって、プロフェッショナルな仕事を成し遂げたことを称賛した。
また、新たな国家戦略である3文書策定に至った経緯などにも言及。力強い外交に説得力と迫力を持たせるものこそ、我が国自身の防衛努力であり、我が国の安全保障を最終的に担保する力こそが防衛力であると言い切った。そして、この防衛力の中核を担う自衛隊員の役割は他の何物にも代替できない自衛隊員だけが果たしうる任務であると、整列している隊員だけでなく、国内外の各地で黙々と任務に当たっている全ての自衛隊員に向けて強くメッセージを発信した。
さらに、防衛力の抜本的な強化策などに言及したのち、ハラスメントを一切許容しない組織環境を作り上げ、ハラスメントを根絶して、仲間同士助け合い、励ましあって任務に臨むことを忘れず、厳正な規律の維持に努めるよう強く要望した。
式典終了後、岸田首相は、飛行場地区に展示された空自の各種装備品(ペトリオット、C2輸送機、F―15戦闘機、F―2戦闘機など)を視察。各展示品の前で、所管の各部隊指揮官からそれぞれ説明を受けた。(写真提供:特別会員矢野聡氏)
本日、ここ入間基地での航空観閲式に臨み、意気天を衝き、鋭気漲る隊員諸君の勇姿を目の当たりにし、自衛隊指揮官として大変頼もしく思います。
今から120年前に有人飛行機が初飛行して以来、航空機は瞬く間に世界をつなぎ、グローバリゼーションの象徴となりました。20世紀は空を制するものが世界を制する時代、エア・パワーの時代となりました。
今日も、航空機が経済や社会、そして国の防衛に果たす役割は極めて重要であり、日夜、航空機を運用し、空の守りと航空の安全に努める全ての隊員諸君に敬意を表します。
隊員諸君の頭上に広がるこの大空は、万里鵬翼の彼方、遠く中東の空までつながっています。今、緊迫した中東情勢を受け、邦人等の輸送のため、諸君の仲間と航空自衛隊の輸送機が派遣されており、既に2度にわたり計129名の邦人・外国人が自衛隊機で現地から出国し、日本に到着されました.
自衛隊機で出国された方々は、初め不安を抱えて搭乗されたと思いますが、機内や経由地において、真摯に任務に当たる隊員の姿と、退避者へのきめ細やかな配慮により、不安を大きく和らげることができたと
聞いています。
多くの子供たちも自衛隊機に搭乗して出国しましたが、隊員たちが声をかけ、一緒に折り紙で遊んだりして、常にリラックスできるよう努めたので、保護者から「子供が遊ぶ姿を見てホッとした」との声があり、子供たちの中からは「どうやったら自衛隊になれるの」と、隊員たちに質問があったと聞いています。
正に、隊員たちはプロフェッショナルの仕事をし、国民の期待と信頼に応えてくれました。これは、輸送機を運航した隊員だけではなく、情報収集から飛行計画、機体の整備や警備、現地での調整などに当たった全ての隊員たちがワン・チームとなって成し遂げた成果であり、引き続き現地で待機している隊員たちを含め、諸君の働きを高く賞したいと思います。
今、隊員諸君が直面している世界は、歴史の転換点と言うべき大きな変化を迎えています。
ロシアによるウクライナ侵略は、明白な国際法違反であり、核兵器による威嚇とともに、国際秩序を根幹から揺るがす許し難い暴挙です。
我が国周辺においても、一方的な現状変更の試みが強化されており、また、中国とロシアが爆撃機を共同飛行させるなど、軍事活動を活発化させています。
北朝鮮も核・ミサイル開発を進展させるとともに、昨年以来80発近くのミサイルを日本海に向け発射しており、我が国にとって、より一層重大かつ差し迫った脅威となっています。
このように、日本は戦後もっとも厳しく複雑な安全保障環境のただ中にある。こうした難局を乗り切り、国民の命と安全、国の平和と繁栄を保つため、政府は、昨年末、新たな国家戦略である3文書を策定いたしました。
我が国に望ましい国際環境を生み出すためには、国家安全保障戦略に示したとおり、まず外交努力が欠かせません。
本年、我が国はG7広島サミットを主催し、私自身ウクライナを直接訪問するなど積極的な外交を行って、平和と安定に向け世界をリードする役割を務めてまいりました。
力強い外交に説得力と迫力を持たせるものこそ、我が国自身の防衛努力です。
防衛力は、我が国を守り抜くという不屈の意思と能力を示すものであり、安全保障を最終的に担保する力です。すなわち、防衛力の中核を担う隊員諸君の役割は、他の何物によっても代替できない、諸君だけが果たし得る任務です。
今、こうした唯一無二の役割を持つ防衛力の強化が必要不可欠です。私は、従来の延長ではなく、我が国を守り抜くための防衛力を積み上げ、必要な予算水準を確保して、防衛力を抜本的に強化することといたしました。
特に、我が国への攻撃を抑止し、万一攻撃があった場合には更なる攻撃を防ぐため、反撃能力の保有を決定しました。このため、スタンド・オフ・ミサイルの整備を速やかに進めます。
また、次世代の翼となる次期戦闘機を、初めて日英伊で国際共同開発します。3か国の技術を結集し、航空優勢を確保できる優れた戦闘機の開発を期待します。
この大空は宇宙にもつながっています。今や、情報収集・監視・通信など、宇宙空間の利用は戦略的に極めて重要であり、21世紀はスペース・パワーの時代になりつつあります。自衛隊の宇宙作戦能力を強化し、令和9年度までに航空自衛隊を航空宇宙自衛隊とします。
今この瞬間も、諸君の仲間である多くの隊員たちが、各地で任務に当たっています。
人知れぬ海上や空中で、国境の離島で、暗黒の深海で、雪中の山頂で、灼熱の大地や外洋で、そして全国の駐屯地・基地で、24時間365日、弛むことなく、黙々と任務に当たる隊員諸君一人一人が流す汗こそが、国民の命と、日本の平和を守ってくれる。
私は、このことを片時も忘れることなく、諸君の先頭に立って、自衛隊指揮官としての重責を果たしてまいります。
諸君におかれても、高い士気と誇りをもって国の防衛という任務に当たってもらいたい。この崇高な任務に取り組む隊員諸君同士は、軍種、階級、職種、性別の区別なく、志を一つとして取り組む仲間である。共に任務に当たる仲間に対するあらゆるハラスメントを一切許容しない組織環境を作り上げ、ハラスメントを根絶して、仲間同士助け合い、励ましあって任務に臨むことを忘れないでいただきたい。
同時に、社会における自衛隊の役割と責任についても、隊員一人一人が自覚して、常に品位を重んじ、そして厳正な規律の維持に努めてください。
最後に、国民は、隊員諸君に、国民の命と平和な暮らし、日本の領土・領海・領空を断固として守り抜くことを期待し、日本の繁栄と未来を諸君の双肩に託しています。
国民の期待に応え、託された使命を全うすべく、各員が勇往邁進し、一層奮励努力されんことを切に希望し、私の訓示といたします。
令和5年11月11日 自衛隊最高指揮官
内閣総理大臣 岸田文雄
自衛隊中央病院(以下「中央病院」という)は、新型コロナウイルス感染症の発生直後から政府チャーター便への検疫支援や感染患者の受け入れなど、日本における感染症対策を常にリードしてきた。特に、政府の要請に基づき担任官として開設した東京大規模接種センターでは、その運営ノウハウが、自治体等が開設して運営する接種センターのモデルケースになる等、自衛隊医療レベルの高さを国内外に知らしめることとなり、まさに、有事における最後の砦として国民から絶大な信頼を得た。
本紙面では、自衛隊衛生の中枢として自衛隊の多様な任務の遂行に寄与し、地域医療にも貢献している中央病院の概要を、同病院から資料提供等の全面的な協力を得て紹介する。
任務
中央病院は自衛隊衛生の中枢として、平素は診療、健康管理、研究・教育訓練などの任務を担い、有事には各種事態に対応する衛生支援任務がある。(表2参照)
地位
中央病院は、防衛大臣の指揮・監督を陸上幕僚長を通じて受ける「陸・海・空自衛隊の共同機関で自衛隊の最終後送病院」の地位にある。
編成
現在の編成は、病院長を筆頭に、二人の副院長(陸将、海将)、2室・1官・5部・29診療科・1所・2センターがある。約千名近くの自衛官及び事務官・技官が所属し、このうち、8割以上を自衛官が占めている。(図1参照)
役割
中央病院は、自衛隊の最終後送病院としての機能を有するだけでなく、海外派遣部隊へ医官を派遣する等、各種支援を実施する病院として位置づけられている。(図2参照)
官邸医療支援
総理官邸医務室におい
て、常時、医官・看護官がローテーション勤務により、24時間態勢で総理大臣の健康管理及び診療支援を行っており、国内外の出張時にも医官・看護官が随行している。(図3参照)
入院診療機能
29の診療科を標榜しており、500病床を保有している。トイレ・シャワー付きの病床は118室あり、療養環境への配慮がなされている。また、集中治療室には8床あり、重症患者や術後患者の治療環境にも万全を期している。(表3参照)
施設・設備
病院本館は、地上10階、
地下2階建てで、北側に職業能力開発センターを設置している。
地下2階と地下1階の間に免震層を設置しており、地震の揺れを吸収する。
屋上のヘリポートは、重さ20tの大型ヘリが離発着できる仕様となっている。
1階救急室は救急患者受入を24時間態勢で維持している。
8階は感染症病室で、汚染空気が病室・病棟外に出ないよう3段階の陰圧が施され、専用エレベーターで他の患者と交差しない動線を設定している。
さらに、有事・大規模災害に備え、外来待合室の椅子をフラットにして増床ベッドとして活用する等、病床数の拡張が可能となっている他、設備・運用の両面で中央病院ならではの各種対策が施されている。(図4参照)
取組の概要
中央病院は臨床研修病院として臨床教育に当たるとともに、二次救急医療機関として地域医療に参画している。また、自衛隊衛生の中枢として、全国の医療情報を統括して隊員の壮健性の維持増進を図っている。
さらに、戦傷医療対処能力や感染症対処能力を向上させるため、訓練を中期的に計画し、年度の状況に応じた課目を選定して継続的に能力向上を図り、自衛隊の多様な任務の遂行に寄与している。
医療支援等における最近の主な取組事例は次のとおり。
◆令和3年5月17日~11月30日までの間、担任官として東京大規模接種センターを運営し、国民の約1%に当たる130万人以上に予防接種を実施
◆令和5年5月17日~22日までの間、G7広島サミット会場に医療支援要員を派出
◆在京ウクライナ大使からの要望を受け、ウクライナ傷病兵各2名を受入
れ、治療・リハビリを実施中
・第1回:令和5年6月8日~7月29日
・第2回:令和5年9月21日~
自衛隊の最終後送病院として、今後益々、戦傷病治療等の能力を高め、の責務を果たすべく努力してまいります
自衛隊中央病院長 防衛技官 福島 功二
のご理解、ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
当院は、陸・海・空自衛隊の共同機関として1956年に三宿駐屯地に創設され、自衛隊員の壮健性の維持、向上に深くかかわって参りました。1993年に は、一般開放され地域の中核病院としての顔も持つようになり、2009年には、現在の新病院に建て替えが行われ、現在に至っています。その間、東京都から2次救急医療指定機関、第1種感染症指定医療機関に指定されており、2019年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおいては、その初期から武漢からのチャーター便への検疫業務支援、クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号からの患者の受け入れや、船内での調剤支援に始まり、市中感染患者の受け入れと逼迫する2次救急への対応、自衛隊東京大規模接種センターの運営等、国や東京都の指示・方針に従い、多くの任務を遂行して参りました。
また、免震構造や水、燃料の確保、屋上にCH―47でも着陸できるヘリポートを備える等、震災時の対処能力も有しており、各種事態時に備え、年1回、大量傷者受け入れ訓練や感染症患者受け入れ訓練等を実施し、その対応能力を高めるべく励んでいるところです。
その他、当院は自衛隊の医官、看護官、薬剤官をはじめとする医療従事者の様々な教育訓練を行う場でもあり、加えて、診療放射線技師養成所、公務によって障害を負われた隊員に対する研修を行う職業能力開発センターも併設し、多くの隊員の教育研修を行っております。
一昨年末の安保関連3文書の改訂において、自衛隊衛生は、有事において隊員の生命・身体を救う組織への変
革が謳われており、当院も自衛隊の最終後送病院として、今後益々、戦傷病治療等の能力を高め、その責務を果たすべく、努力して参る所存です。
今後も引き続き自衛隊中央病院へのご厚情、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
用する協力企業等5社8名が参加の「令和5年度就職援護広報」を行いました。
同就職援護広報では、協力企業等に対し、予備自衛官招集訓練研修、体験喫食、乃木館等の見学を通じ、自衛隊の活動への理解並びに退職自衛官の有用性及び予備自衛官・即応予備自衛官制度に関する一層の理解を深めてもらうことにより、就職援護基盤の充実を図りました。
駐屯地見学等を終えた協力企業等からは、「予備自衛官について、漠然とした理解しかなかったが、実際の
イメージがしっかりできて良かった」「乃木館は、外観からも非常に歴史とロマンを感じた」などの声が寄せられました。
徳島地本は、これからも協力企業等に対し、創意工夫を凝らした効果的・効率的な就職援護広報を実施していきます。
(1~9/9件) |