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過去の防衛省・自衛隊関連記事

令和5年

防衛協会会報第163号(5.7.1)掲載 令和5年度富士総合火力演習(令和5年5月27日)
                          防衛協会会報第163号(5.7.1)掲載

   安保三文書策定を踏まえ、

   進化した〝総火演〟

5月27日(土)、今年で65回目となる陸上自衛隊最大の実弾演習「令和5年度富士総合火力演習(総火演)」が、静岡県の東富士演習場で行われた。

人気を誇る総火演が、最後に一般公開されたのは令和元年度である。令和2年度以降はコロナ禍がターニングポイントとなって、一般には非公開とされてきた。そして、「令和5年度以降の総火演については、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しく複雑になる中、防衛力を抜本的に強化していく必要があることを踏まえ、部隊の人的資源を本来の目的である教育訓練に注力するために一般公開は行わず、例年同様ライブ映像を配信する」と、3月31日、今後の総火演を非公開とする旨、陸幕から公表された。

今年度の総火演は、浜田靖一防衛相、鈴木敦夫事務次官、森下泰臣陸幕長等が視察する中、富士学校長の中村裕亮陸将の担任で演習が行われ、隊員約3400人、戦車・装甲車約70両、各種火砲約70門が参加した。総火演は例年通り、昼間演習(前段と後段の2部構成)と夜間演習が行われた。      (写真提供:矢野聡氏)

昼間演習(2部構成)

◎前段:各種情報収集手段及び各種火力等


◆各種情報収集手段

 自衛隊は、各種事態に迅速かつシームレスに対処するため、領海・領空とその周辺の海空域や宇宙領域・サイバー空間・電磁波領域・認知領域を含むあらゆる領域における能力を活用して、継続的に領域横断作戦に資する情報収集及び警戒監視を実施している。

 空自は全国各所のレーダーサイトと、E―2C早期警戒機・E―767早期警戒管制機(AWACS)、さらにRQ―4Bグローバルホークなどにより、我が国とその周辺の上空を24時間態勢で監視している。 

海自は平素からP―3C及びP―1固定翼哨戒機並びにSH―60回転翼哨戒機により、我が国周辺海域を航行する多数の船舶の状況などを監視している。

 また、主要な海峡において沿岸部に配置された陸自の沿岸監視隊と海自の警備所などが24時間態勢で警戒監視活動を行っている。

 このように陸海空、宇宙、サイバー、電磁波、認知の、各領域における能力を有機的に融合し、全領域において間隙のない情報収集を実施している。

 また、将来的に陸自は衛星コンステレーションや準天頂衛星を活用した多層的な宇宙利用により、情報収集・通信などの能力を強化する。(以上はスクリーンで紹介)

 次に、陸自の保有する情報収集手段が紹介された。

 固定翼タイプの小型無人偵察機UAV中域用スキャンイーグルは作戦地域上空を飛行し、光学・赤外線・合成開口レーダーにより、昼夜を問わず地上及び海上の監視・捜索が可能。また、UAV狭域用スカイレンジャーは、各普通科連隊などが運用し、比較的近距離の細部の敵情を上空から解明する。両方とも実際に会場に進入し、それぞれが撮影した映像がスクリーンで紹介された。

 さらに、広場に展開しているネットワーク電子戦システム(NEWS)を搭載した車両について、スクリーンでその機能を紹介。NEWSは4種類あり、それぞれの周波数帯域に応じた電子戦支援を行い、電磁波情報を収集・分析して目標の特定に寄与する。また電子攻撃は、敵の電子機器などの使用効果を低下させ、指揮・統制機能の混乱を図る。

 将来、陸自は島しょ部などにおける情報収集や電子戦機能の強化のため、電子戦能力を有する多用途UAVを装備した無人航空機部隊を新編するとともに、対空電子戦部隊の新編、師団・旅団等の電子戦能力の強化を進める。

 また、小型無人機に対処する車両搭載型レーザー装置の運用を開始するとともに、高出力レーザー・高出力マイクロ波などの指向性エネルギー技術の早期装備化を図る。【研究開発中の高出力レーザーシステムのイメージとその威力をスクリーンで紹介】 

 昨年末の安保三文書策定を踏まえ、今演習では、陸自の将来の戦い方や新装備品等の具現化に向けた取り組みの紹介に多くの時間が割かれていた。


◆各種火力等

 最初に、日米共同対処態勢強化が重要ということで、米軍が保有する攻撃用の装備品の一端として、スイッチブレード・ジャベリン・HIMARSによる射撃の様子がスクリーンで紹介された。これらはウクライナに供与され、実戦で成果を上げていることもあり、マスメディアにも度々登場、知名度の高い装備品である。

 陸自の各種火器・火砲による実弾射撃(演習場内での実弾射撃ができない短SAMなどは事前収録した射撃の様子をスクリーンで紹介)は、例年同様、統制のとれた厳格な射撃規律の下で整斉と行われ、射撃精度も高く、「学生教育」という本来の目的は十分に達成できたであろう。


◎後段:島しょ部における領域横断作戦に係る諸職種協同による戦闘行動

 後段作戦では、領域横断作戦環境下における島嶼部に事前展開した即応連隊基幹による敵の上陸阻止から

動師団主力による敵の撃破について次の3つの場面に区分して実施された。

①統合による対艦戦闘及び即応機動連隊基幹による敵の着上陸侵攻阻止

②水陸両用作戦・空挺作戦による敵撃破のための条件作為

③機動師団主力による敵撃破

 今回、2021年度陸自配備の「多用途ヘリコプターUH―2(はやぶさ)」が初参加した。双発エンジン・自動操縦装置・自己防護装置などが装備され、機動性・操縦性・乗員の生存性などが向上している。


夜間演習

 暗視装置を使用した射撃・各種戦場照明及び照明下の射撃・夜間における敵の侵攻阻止の、一連のシナリオが展示された。


迫力あるネットでのライブ配信
 演習(昼間)の模様は、陸上自衛隊の広報チャンネル(ユーチューブ)でライブ配信されている。ここでは、戦車等への近接映像や空撮俯瞰映像など、機動的な映像も多く取り入れられており、ネット配信ならではの迫力を味わいながら視聴することができる。
 

総火演は自衛隊の精強さを国内外にアピールできる絶好の機会

 総火演のライブ配信を通じ、画面に登場する隊員一人一人の自信あふれるきびきびとした所作には、一様に目を奪われた。例えば、火砲による射撃準備・射撃・撤収・陣地移動にあたる隊員の射撃規律を遵守した迅速・安全・確実な連携動作を見ているだけでも、その精強さがひしひしと伝わってくる。与えられた任務に愚直に取り組み、高い意識を持ってその任務を全うしようとする姿勢には感動を覚えた。まさに、信頼に足る自衛隊である。

 演習を通じ、シナリオに沿った的確な演習運営能力・高い命中精度を有する射撃能力・隊員の高い意識等により、自衛隊の精強さが実証され、自衛隊の存在感を国内外に十二分にアピールできたと言えよう。このことは、総火演の最大の成果の一つだと言い切っても過言ではないだろう。

臨場した浜田防衛相(防衛大臣旗の右側)に対して報告する中村富士学校長(右から2人目)。中央は防衛相に同行した鈴木事務次官
  訓練視察中の浜田防衛相(中央)と森下陸幕長(左)
   UAV狭域用スカイレンジャーによる偵察行動
軽装甲機動車(LAV)積載の01式軽対戦車誘導弾(01ATM)の射撃
      中距離多目的誘導弾(中多)の射撃
        120ミリ迫撃砲RTの射撃
     19式装輪自走155ミリ榴弾砲の射撃
対戦車ヘリコプターAH―1S(コブラ)20ミリ機関砲の射撃
  CH―47JAチヌークから降下する先遣部隊の隊員
   初参加のUH―2から偵察用オートバイが展開
  水陸両用車(AAⅤ)から展開する水陸機動団の隊員
  今年度末退役予定の74式戦車105ミリ砲の射撃
                    16式機動戦闘車105ミリ砲の夜間射撃
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