過去の図書紹介
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令和6年
心を「道具化」する技術
元陸将・西部方面総監 小川清史著
(全国防衛協会連合会常任理事)
本書は、2016年熊本地震の災害派遣を指揮した元西部方面総監・元陸将、小川清史が教える一生使える心のトレーニング法。
「弱い自分を何とかして変えたい」「どうすれば強い心になれるのだろうか?」その“答え”としてたどり着いたのが、本書のタイトルにある「心を道具化する技術」と著者はいう。「心の道具化」とは「機械のような心の持ち主を目指す」のではなく、「心が“大切な道具”であることを認識し、人生をより良く楽しく生きるために使いこなす技術」。
人間関係や緊張・不安に振り回されない実践的な方法を百戦錬磨の元陸将が分かりやすく解き明かしていく。
■阪神淡路大震災の災害派遣で実践した部下のメンタル管理
■「戦闘未経験」の兵士が戦えるかは「心の準備」次第
など、現役時代の経験に基づく内容は大いに説得力がある。
また、「後悔を先に立たせる」、「すでになっている」の意識、嫌な出来事も「コレクション」すれば“楽”になる、どうせ思い続けるなら「大好きな人」などユニークな項目も目を引く。人に薦めてみたい一冊だ。
発行:㈱ワニブックス
定価:1540円(税込)
影響を受ける側からの問題提起
中国ファクター
アジア・ドミノの政治経済分析
あ
國分 良成 編著
日本経済研究センター 編著
台頭した中国はどのように影響力(パワー)を行使しているのか、インド太平洋の国や地域はどのように認識し、対応しているのか。
インド太平洋地域に対する中国の政治的影響力は、冷戦期においては限定的であった。しかし改革開放以後、経済的影響力が急速に拡大し周辺諸国に深く浸透したが、問題はそれが政治的影響力に転嫁するかである。その解明には受け手側の地域研究が必須である。
本書は、中国政治研究の第一人者である國分良成・慶應義塾大学名誉教授が中心となって、受け手側であるインド太平洋の地域と国家が、中国からの影響を具体的にどのように受容し、思考し、対応しているのかを、現地調査の結果なども踏まえて地域内の葛藤を分析するもの。山口信治、粕谷祐子、外山文子、相澤伸広、石塚二葉、山田周平、伊集院敦、山田剛、五百旗頭薫ら各地域の専門家と外交研究者が一堂に会して、中国の影響力(パワー)の実像に迫る。
発行:日本経済新聞出版
定価:3300円(税込)
財界人は自衛隊とどう向き合ってきたのか?
自衛隊と財界人の戦後史
―支援ネットワークの形成とその意味―
あ
中原雅人著
本書は、1990年代以降、自衛隊への支持が拡大したという通説に対して、その「前史」を描くことによって、「自衛隊研究」に新たな一面を提示するとともに、「日本人にとって自衛隊とは何か」という戦後日本社会の重要課題を考える材料を提供するものである。
1960年代初頭、全国の駐屯地周辺の地域を中心に、民間の自衛隊支援団体である「防衛協会・自衛隊協力会」が設立され始めた。自衛隊支援と防衛思想の普及を主な目的とするこの団体は、1960年代後半にはすでに全国で1090の協会と約49~60万人の会員を擁するまでに拡大した。
1963年2月に設立された大阪防衛協会では、初代会長の松下幸之助が自衛隊支援を呼びかけ、関西圏において自衛隊支援ネットワークの形成を促した。さらに、1966年3月に設立された東京都防衛協会では、初代会長の桜田武(日経連代表常任理事)が首都圏において支援ネットワークの拡大に尽力し、1969年には全国的にネットワークが形成された。
このように本書は、政界が防衛論議を避け、社会が自衛隊を「日陰者」扱いした1960年代に、積極的に自衛隊を支援し、防衛論議の普及に努め、全国各地で自衛隊支援ネットワークを形成した人々の軌跡をたどる。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以
降、自衛隊への期待は日に日に増している。こうした厳しい安全保障環境の中で私たちは自衛隊とどう向き合うべきなのだろうか。その手がかりを得るためにも本書は必読である。
発行:ミネルヴァ書房
定価:5500円(税込)
世界195か国の憲法を研究した私の履歴書
憲法一代記
駒澤大学名誉教授 西 修 著
本書は、憲法学の泰斗が自身の60年の研究生活を綴った「一代記」である。
著者の専門は比較憲法学であり、その対象は世界195か国の憲法になる。多くの憲法学者が日本国憲法だけを見て解釈する中、著者は世界中の憲法と比較して日本国憲法を論じることのできる唯一無二の存在である。
それは、長年の地道な研究の積み重ねの成果に他ならない。例えば日本国憲法はまだ一度も改正していないが、他国は、アメリカ18回、ドイツ68回、インド106回など頻繁に改正される。そのため、常に各国の憲法動向に目を光らせ、改正の度に更新していなかければならない。
また著者は、日本国憲法の成立過程の研究でも知られる。何と言っても、連合国総司令部(GHQ)で日本国憲法の原案を作成した8人へのインタビューは白眉である。日本国憲法の基になった「マッカーサー草案」作成の中心人物だった民政局次長ケーディス大佐への取材では、「もうどこかの条項が改正されているとばかり思っていました」との証言を引き出した。
本書は、448ページという大著にもかかわらず、軽妙洒脱な語り口で、小気味よく読ませる。大学時代から落語に親しみ、しろうと落語家として数々の高座をつとめてきた著者だからこそ成せる業だろう。
発行:(株)育鵬社
定価:2750円(税込)
■著者略歴
西 修 (にし・おさむ)
駒澤大学名誉教授。1940(昭和15)年富山市生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。同大学院修士課程修了、博士課程単位取得満期退学。駒澤大学法学部教授を経て、2011年より名誉教授。博士(政治学)、博士(法学)。専攻は憲法学、比較憲法学。メリーランド大学、プリンストン大学、エラスムス大学などで在外研究。第1次・第2次安倍晋三内閣「安保法制懇」メンバー。2019年、第34回正論大賞受賞。趣味は落語で、芸名は「またも家楽大(またもやらくだい)」。
著書に『憲法体系の類型的研究』『日本国憲法成立過程の研究』(以上、成文堂)、『憲法改正の論点』(文春新書)、『証言でつづる日本国憲法の成立経緯』(海竜社)、『憲法の正論』(産経新聞出版)など多数。
最強のインテリジェンス
シギント
茂田忠良 著江崎道朗 著
なぜアメリカは、ロシアによるウクライナ侵攻を半年近くも前に予見することができたのか?」
本書は、日本の安全保障において、もっとも重要視されているインテリジェンスの分野、特にシギントに焦点をあてた書籍である。聞きなれない言葉の「シギント」は、シグナル・インテリジェンスの略称。通信、電磁波、信号等などの傍受を利用した諜報・諜報活動のことである。シギント能力は現在のインテリジェンス分野の中心であり、この能力なくば国家の安全保障の戦略が瓦解しかねないほどの重要性を持つ。
しかしながら、この分野の書籍、特にシギントの一般書はほぼ皆無。それは、シギントが国家機密であるため、ほとんど公開されていないからである。スノーデンの告発資料などをもとに、ヒューミント、シギント、イミントの三分野を現場で体験した元警察官僚の茂田忠良と、麗澤大学客員教授で情報史学研究家の江崎道朗による最も日本に欠けているインテリジェンス能力を徹底的に議論した対談本である。
日本初の「シギント」を冠した本書は、安全保障の専門家はもとより国民の必読本であることはいうまでもない。
発行 ㈱ワニブックス
定価 1870円(税込み)
諜報国家ロシア
ウクライナ侵攻の裏には何があるのか?
諜報国家ロシア
保坂三四郎著
本書は、ロシアの行動原理を、KGBの極秘文書や資料、リーク情報から読み解いた一冊である。
2022年2月、ロシア はウクライナへの全面侵攻を行った。当時、その可能性は示唆されながらも、「さすがにそこまではやるまい」との見方も多かっただけに、その衝撃は大きかった。しかし、振り返ればロシアは、ウクライナに対して2013年からアクティブメジャーズ(政治・世論工作)を開始し、2014年にはクリミア併合、ドンバス地方への侵攻などを行っていたのである。
そこで表れる問いは、ロシアはいかなる行動原理で動いているのか、である。筆者は、その背景に、ソ連時代に国家の根幹を掌握し、かつてプーチンも所属した諜報機関「KGB」と、ロシア連邦でそれを継承した「FSB」があると指摘する。
本書は、ウクライナで近年公開されたKGBの極秘文書、反体制派やハッカーによるリーク情報、最新のインテリジェンス研究を駆使して、「諜報国家」ロシアの社会構造と行動原理に迫る。さらにアクティブメジャーズや偽情報など、その戦術・手法についても解説を行う。
筆者は現在、エストニアの国際防衛安全保障センターで、ロシアのインテリジェンスや、ウクライナの歴史的記憶について研究を進め、各国の防衛、外交関係者が助言を求める。ロシアの諜報機関についてここまでまとめられた書籍は欧米にもなく、組織の変遷や関係図は、ロシアの構造を知るためにも必見である。
発行:㈱中央公論新社
定価:1078円(税込)〔著者プロフィール〕
保坂三四郎(ほさか・さんしろう)
1979年秋田県生まれ。上智大学外国語学部卒業。2002年在タジキスタン日本国大使館、04年旧ソ連非核化協力技術事務局、18年在ウクライナ日本国大使館などの勤務を経て、21年より国際防衛安全保障センター(エストニア)研究員,タルトゥ大学ヨハン・シュッテ政治研究所在籍。専門はソ連・ロシアのインテリジェンス活動、戦略ナラティブ、歴史的記憶、バルト地域安全保障。17年ロシア・東欧学会研究奨励賞、22年ウクライナ研究会研究奨励賞受賞。23年『諜報国家ロシア』で山本七平賞を受賞。
海軍兵学校長の言葉
現代のリーダーが見習うべき校長としての将来へのビジョンと強い信念
激動の時代に信念を貫いた
海軍兵学校長の言葉
真殿知彦著
本書は、海上自衛隊幹部候補生学校(江田島)と、海上自衛隊幹部学校(目黒)の両方の学校長を務め、現在は海上幕僚副長の要職にある真殿知彦氏の初の書き下ろし作品である。
学校の開校、リストラ、校内暴力、外国人教師の招聘、地方移転、ゆとり教育、英語教育、オリンピックの延期・中止問題、戦争、そして閉校。明治から昭和の激動の時代に、海軍兵学校で起こったことは、現代に重ね焼きされるようだ。
◆「荒れた学校」だった兵学校を引き締めた、「親分校長」の中牟田倉之助校長(第2代)
◆軍艦を売って大講堂を建設した山下源太郎校長(第27代)
◆鉄拳制裁を禁止した鈴木貫太郎校長(第30代)
◆生徒の個性を重視し、自啓自発の「ゆとり教育」を行った永野修身校長(第35代)
◆教育参考館から歴代海軍大将の写真を外し、戦時下に英語教育を続けた井上成美校長(第43代)
これらの個性的な校長達の言葉や行動を通じて、激動の時代のリーダー像に焦点を当て、今を生きるヒン
トを探る。また本書では、兵学校の校長ではないが、勝海舟、榎本武揚、東郷平八郎、秋山真之、山本権兵衛といった、当時の有名人達も、個性あふれる行動をくり広げている。
リーダー論としても、兵学校の歴史書としても楽しめる1冊になっている。
発行:三和書籍
定価:2500円+税
〔著者プロフィール〕
真殿知彦(まどの・ともひこ)
1966年千葉県松戸市生まれ。1985年筑波大学附属高校卒業。1989年防衛大学校卒業後、海上自衛官に任官。2002年筑波大学大学院地域研究研究科修士課程修了。その後、アジア太平洋安全保障研究センター(ハワイ)、NATO国防大学(ローマ)の課程修了。海幕防衛課長、第2航空群司令、海自幹部候補生学校長、統幕防衛計画部副部長、横須賀地方総監部幕僚長、海自幹部学校長などを経て、現在海上幕僚副長。
令和5年
国の守りと自衛官の矜持~備えに隙はないか~
服務の宣誓はアンパンマンの決意
国の守りと自衛官の矜持
~備えに隙はないか~
元陸将・北部方面総監
千葉德次郎 著
現役時代、防衛庁(当時)高官に「警察や消防と、自衛隊では何が違うのか」と問われた著者は、「宣誓が違います」と即答したという。
自衛官の服務の宣誓には、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」とあるが、このような自己犠牲を前提とした宣誓は、他のどの職業にも見られないからだ。
自衛官の「矜持」の源ともいえるこの宣誓は、古代の防人から、武士、軍人、自衛隊に至るまで連綿と受け継がれてきた精神性を象徴しており、「これはアンパンマンと同じ」と著者は語る。
著者は幹部自衛官として要職を歴任し、退官後も後輩自衛官へのボランティア講話を精力的に続けている。
本書は、その講話内容を元に、防人以来の国防の歴史、時代の流れに対応する隊員教育、処遇改善のための憲法改正の必要性等を解説しており、自衛官や家族の心情を理解し、これからの国防のあり方、自衛官のホンネを知る格好の一冊である。
平和を守るために、いささかの隙もないことを見せつける「抑止という静かな戦い」に励む自衛隊、そして、斃れた隊員。国民一人ひとりが正しい理解に基づき、国を守る気概を養うために、是非本書をご一読頂きたい。
発行:㈱明成社
定価:990円(税込)
デンジャー・ゾーン
好戦的な中国の脅威に対する警鐘
デンジャー・ゾーン
迫る中国との衝突
奥山真司 翻訳
米中対立は激しくなるばかりで、アメリカでは対中強硬姿勢に超党派の合意がある。バイデン政権はどこに向かっているのか、本書を読めばわかる。昨年8月の原著刊行後、ワシントンDCの外交安保関係者に衝撃が走り、必読書といわれた。その後のアメリカの対中政策は本書の主張通りに展開している。内容を要約すると、経済減速と人口減少、戦略的包囲網に直面する中国共産党にとり、時間が味方だった環境は急速に終わりつつある。中国の国力は今がピークで、早く行動しないと台湾併合のチャンスは失われる。過去の歴史は「ピークに達し下り坂を意識した大国」が最も攻撃的になったと教えるが、実際に今の中国は対外的にかつてないほど攻撃的になり、国内では抑圧的になった。歴史と現実の両方が、米中衝突は2020年代に最大の危機を迎えると示唆しているのだ。
中国との長期にわたる新冷戦を戦い抜くには、日米は直近3~5年の「短期競争」に勝たなければならないと冷戦史が専門の著者は述べ、あらゆる利用可能な資源をかき集めて対抗しなければ負けると警鐘を鳴らす。今そこにある危機への備えから30年後の最終的な勝利まで、あらゆるレベルの戦略を具体的にわかりやすく提唱する。台湾が中国の手に落ちる破滅的事態を抑止するために、ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊。
発行:㈱ワニブックス
ステルス・ドラゴンの正体
来るべき米中戦争に備える警笛の書
ステルス・ドラゴンの正体
―習近平、世界制覇の野望
宮崎正弘 著
ステルス・ドラゴンとは潜龍、すなわち〝中国共産党中枢〟のことである。
習近平独裁の台湾侵攻がカウントダウンされるなか、西側社会、何よりも日本にとって不都合な真実が明らかになってきた。ステルス・ドラゴンが画策する洗脳工作、「認知戦(SNSなどや情報を用いた浸透相手国民のマインド・コントロール)」の毒牙に台湾がやられていることである。アジア版NATOもない台湾は実質“孤立”している。もうひとつはウクライナの惨状である。戦争の泥沼化は台湾国民にとってみたくない現実を突きつけられた形だ。日本もその限りではない、そもそも、これまでの中国への多大な援助、日本企業の中国進出、技術提供も、日本人の間違った確固〝贖罪意識〟から端を発したとすれば、日本はすでに認知戦で中国の毒牙にかかっているのでないかと著者は喝破する。
「ステルス・ドラゴン」という中国の正体を見破り、他国を侵略する「見えない戦争」の地政学を可視化することが必須だと警笛を鳴らす書籍である。
発行:㈱ワニブックス
定価:1650円(税込)
中国を封じ込めよ!
いかにして戦争を抑止するか」の視点で元陸自トップが語る国家戦略
中国を封じ込めよ!
元陸上幕僚長 岩田清文著
ウクライナ戦争は冷戦後の国際秩序を根本から揺るがし、東アジアでもこれまでの常識が通用しない時代に入った。兵力からいって
も勝てるはずがなかったウクライナがなぜ善戦しているのか。ロシアの失敗に学んだ中国はどう動いてくるのか?
「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」という安倍総理の警告を今こそ心に刻む必要がある。日本もウクライナ戦争に学び、中台紛争に備えなければ国が守れなくなるからだ。
元陸幕長の著者は「日本有事」はすぐそこまで来ていると言い、次のような重い指摘をする。「日本は今、米中新冷戦の最前線に立たされ、戦後最も厳しい安全保障環境に置かれている。歴史的な蛮行に及んだプーチン大統領と同じ過ちを、習近平主席が犯さないという保証は誰もできなくなっている中、日本が太平の眠りから覚め、どうすれば戦争を抑止できるのかについて真剣に考え、行動を起こさなければ、私たちの子孫に対しての責任をとれなくなるほどの厳しい状況に直面している」。最新データを用いながら、自衛隊の強み、中国の弱点をわかりやすく解説した本書を読めば国防のすべてがわかる。
元陸自トップが書き下ろした衝撃的な「シン・防衛白書」。一人でも多くの方にぜひとも読んでいただきたい。
発行:㈱飛鳥新社
定価:1650円(税込)
参謀の教科書
才能はいらない。
あなたにもできる会社も上司も動かす「仕事術」
参謀の教科書
元海上自衛隊海将
金沢工業大学大学院(虎ノ門キャンパス)
イノベーションマネジメント研究科教授
伊藤俊幸 著
(全国防衛協会連合会常任理事)
本の紹介としてはかなり変化球だが、まず「おわりに」を読んでほしい。なぜなら、著者の伊藤俊幸氏が本書を上梓するに至った“想い”がそこに詰まっているからだ。防衛大学校を卒業し、潜水艦乗りとしてキャリアを積み、海将として呉地方総監まで務めた著者と聞けば、「エリート自衛官の成功体験に学ぶ本」と思い勝ちだろう。
だが、おわりにを読めば著者がエリートとは縁遠い、いわば“落ちこぼれ防大生”だったのがわかる。そんな著者は大きな挫折とある出会いを機に一念発起。「ちょっとひと手間」を積み重ねることで、上司や部下の信頼を勝ち得て海将まで上り詰めたのだ。
だからこそ、本書の中で繰り返し「参謀に天才は不要。誰でもなれる」と言うように、もし自分の能力に自信を失っている方でも、いまここから参謀=組織のキーパーソンになることができると著者は説くのだ。
そして本書には、実体験に裏打ちされた「ちょっとひと手間」の具体的なメソッド、専門的に言えば「フォロワーシップ(部下としてのあり方)」を発揮するための方法論が詰め込まれている。自分自身の働き方や所属する組織、さらには閉塞気味な日本社会にも風穴を開け活力を取り戻す助けとなる一冊だ。
発行:㈱双葉社
定価:1870円(税込)
参謀の教科書
最小の努力で最高の成果をあげる
組織・チーム・ビジネスを勝ちに導く
「作戦術」思考
元陸将・西部方面総監
小川清史 著
(全国防衛協会連合会常任理事)
「軍事」や「軍隊」と聞くと、いついかなる時も上官の命令には〝滅私〟で〝絶対服従〟しなければならない「究極のトップダウン型組織」をイメージするかもしれもしれない。
実はそれはひと昔前の話だと本書の著者の元陸将小川清史は論じている。今でも国によってはそういう〝前近代的〟な軍隊もあるが、先進諸国をはじめとする自衛隊や欧米などの近代的軍隊では、前線の兵士たちが現場の状況に応じて自主積極的に動く「ミッションコマンド」が重視されている。その核となっている理論をわかりやすく教示しているのが戦略と戦術をつなぐ本書、「作戦術」思考である。その理に適った考え方は軍隊だけにとどまらず、仕事・子育て・家庭内どこにでも当てはめられる。はたまた、国家観に関しても、その考え方の応用によって、日本の未来に関して、どの様に我々が行動すべきか、どの様に判断すべきか、ということも述べられててる。明日から即、実践してみたい目から鱗の1冊である。
発行:㈱ワニブックス
陸・海・空 究極のブリーフィング
宇露戦争、台湾、ウサデン、防衛費、安全保障の行方
陸・海・空
究極のブリーフィング
著者 小川清史 伊藤俊幸 小野田治 桜林美佐 倉山 満 江崎道朗
ロシアによるウクライナ侵略から早や1年が経過した。この間、日本を取り巻く環境も大きく変わった。特に、最重要課題の一つである安全保障に関しては、国民全体の真摯な取り組みが強く求められている。
本書は、軍事のプロフェッショナルである元陸将・元海将・元空将を招き、「ウクライナ侵攻をどう分析するか」というテーマでシリーズ化して配信しているインターネット番組を基に、大幅に加筆修正して書籍化した第二弾である。前作も「テレビなどのマスメディアでは絶対に報道されないプロの解説」と大変な好評を得ており、本書は期待の続編である。
時局とシンクロする様に本書のテーマは幅広い、防衛費増額から、ウクライナの戦局、ロシアの分析、インテリジェンス、国際法、ウサデン(宇宙、サイバー、電子戦)と様々である。あくまでオープンソースをもとにした高度な解説が、鼎談なのでより分かりやすく読むことができる。また、付録に昨年大ヒットした『トップガン マーヴェリック』をどう見るかというものまである。
著者たちが語る、非業の死を遂げられた安倍晋三元首相の安全保障への素晴らしい取り組みは、他では聞けない話があり必読の一冊である。
発行:㈱ワニブックス
定価:1650円(税込)
【著者紹介】
◇小川清史(元西部方面総監・陸将)、全国防衛協会連合会常任理事
◇伊藤俊幸(元呉地方総監・海将)、全国防衛協会連合会常任理事
◇小野田治(元航空教育集団司令官・空将) ◇桜林美佐(防衛問題研究家)
◇倉山満(憲政史研究家)
◇江崎道朗(評論家)
プーチンの「超限戦」
プーチンのプーチンによるプーチンのための戦争を、陸自・海自の元将官が徹底分析!
プーチンの「超限戦」
―その全貌と失敗の本質―
著者 渡部 悦和 井上 武 佐々木孝博
昨年6月に刊行され、好評を博した『ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛』の言わば続編である。前作は開戦日の2022年2月24日から5月初旬までの戦況について分析しているが、今作はその後、5月中旬から9月末までの戦況に基づき詳細な分析を行い、戦争の終結までの道のりを予見させる内容になっている。
本書の特色は何と言っても、著者の一人、渡部氏がその重要性を訴えてきたオールドメイン戦(全領域戦)の観点からの分析である。そこでは、防衛省が重視する陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波の6つのドメインはもちろんのこと、さらに情報・認知・心理・経済・外交・歴史・エネルギーなどあらゆる領域で戦いが行われる。その渡部氏と近代兵器に詳しい井上氏、サイバー戦・情報戦に詳しい佐々木氏が鼎談形式で、緻密かつ平易に論を進め、最終章では、この露宇戦争が日本の安全保障態勢にとってどんな意味を持つのかという重要な考察が提示される。
「プーチンのプーチンによるプーチンのための戦争」(渡部氏)がどのような結末を迎えるのか、その答えが本書にある。
発行 ㈱ワニ・プラス
定価 1760円(税込み)
【著者紹介】
◇渡部悦和(元東部方面総監、陸将)
◇井上武(元富士学校長、陸将)
◇佐々木孝博(元下関基地隊司令、海将補)
吾輩は後期高齢者の日本国憲法である
憲法は75歳、あちこちガタが来ています
吾輩は後期期高齢者の日本国憲法である
駒澤大学名誉教授
西 修著
日本国憲法は2022(令和4)年に施行から75年を迎えた。人間で言えば後期高齢者になった日本国憲法は、すでにあちこちガタが来ている。しかし、一度も治療(改正)をしてもらえない――。本書はそんな日本国憲法の視点からユーモアたっぷりにその生い立ちと不具合を明らかにしている。
大きく第1編「吾輩はこうして生まれた」と第2編「紆余曲折の75年」の二部構成になっている。
第1編は日本国憲法の誕生を克明に描きつつ、落語ネタなどを多用し、肩のこらない読み物に仕立てられている。吾輩(日本国憲
法)が、最終決定権を有する極東委員会を「陰の主役」と呼ぶ理由は読みどころの一つ。また、第9条の「正史」は、第9条の意味を「静思」する上で必読といえる。
第2編は自衛隊の創設、日米安保条約の改定、PKO法の成立、平和安全法制など憲法がからむ諸問題を取り上げている。
現在、衆参両院に設置されている憲法審査会には、2021年度までに約30億円が消費されている。しかし、ほとんど効果をあげておらず、国費の壮大な無駄遣いである。
事実と証拠に基づいて編纂されている本書は、現今の憲法論議に欠かせない一冊だ。憲法の本といえば堅苦しい印象を受けるが、本書は面白く、わかりやすく、そして「ためになる」と3拍子そろっている。
発行:㈱産経新聞出版
定価:1760円(税込)
■著者略歴
西 修(にし・おさむ)
駒澤大学名誉教授。1940(昭和15)年、富山県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。同大学院修士課程、博士課程修了。駒澤大学法学部教授をへて、2011年より名誉教授。政治学博士、法学博士。専攻は憲法学、比較憲法学。メリーランド大学、プリンストン大学、エラスムス大学などで在外研究。第1次・第2次安倍晋三内閣「安保法制懇」メンバー。2019年、第34回正論大賞受賞。
著書に『現代世界の憲法動向』『日本国憲法成立過程の研究』(以上、成文堂)、『日本国憲法を考える』『憲法改正の論点』(以上、文春新書)、『証言でつづる日本国憲法の成立経緯』(海竜社)、『“ざんねんな”日本国憲法』(ビジネス社)、『憲法の正論』(産経新聞出版)など多数。趣味は落語で、芸名は「またも家楽大(またもやらくだい)」。
有事、国民は避難できるのか
「ウクライナ戦争」から日本への警鐘
有事、国民は避難できるのか
日本安全保障戦略研究所 編著
小川清史/浜谷英博/樋口譲次
「ウクライナ戦争」が日本に突きつけた課題、民間防衛のない日本は本当に安全・安心か。
2022年2月24日に勃発したロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、日本をはじめ世界中に深刻な衝撃を与えた。特に、戦後70数年、「戦争は起こり得る」という現実から目を背けてきた日本人にとって、その衝撃は計り知れないものがある。
ウクライナ戦争が日本人に突き付けた真実は、①戦争が始まれば国土全体が戦場となり、安全な場所などないという現実。また、②民間人を保護することによって、戦争による被害をできる限り軽減する目的で作られた国際法は安易に破られるという現実である。いま、国際情勢も安全保障環境も激変する中で、日本は空想的平和主義から現実的平和主義への大転換を迫られている。
戦争は、等しく主権をもつ対等平等の国家によって行われ、それを規律するのが国際法である。
グロチウスの著作「戦争と平和の法」では、第二編でJus ad Bellum(戦争法)を論じ、第三編でJus in Bello(戦争遂行中の合法性)を記述している。
ウクライナ戦争では、ロシアは「国連憲章第51条に基づいて『特別軍事作戦』を行う」と述べ、ロシア軍がウクライナ国領土に侵攻した。Jus ad Bellum(戦争法)に照らして大多数の国家が非合法であるとその意志を明確にしている。
ウクライナ戦争では、多数の民間人が犠牲になるとともに、国内外併せて1300万人の避難者が発生している。このロシア軍による攻撃は、ジュネーヴ条約第一追加議定書52条2項の軍事目標主義を逸脱している。つまり、Jus in Bello(戦争遂行中の合法性)の考え方に明らかに反している。
国際社会を律する世界政府のような組織ができない限り、各主権国家は戦争に対する備えと国民を防衛する体制を整備することが責務となる。
本書では、特にJus in Bello(戦争遂行中の合法性)に違反する民間人への戦争被害をいかに極小化するかについて民間防衛というテーマで考察している。
発行:㈱国書刊行会
定価:2970円(税込)
【著者紹介】
日本安全保障戦略研究所
共同執筆者略歴
◇小川清史(元・西部方面総監、陸将。全国防衛協会連合会常任理事)
◇浜谷英博(三重中京大学名誉教授。現在、防衛法学会名誉理事長。比較憲法学会名誉理事)
◇樋口譲次(元・陸上自衛隊幹部学校長、陸将)
令和4年
「防衛大学校」知られざる学び舎の実像
議員・官僚・教育関係者必読の一書
「防衛大学校」
知られざる学び舎の実像
第9代防衛大学校長
本書は、國分氏が国家公務員として国民に提出した「9年間の防大勤務報告書」とも言うべきものであり、主権者たる国民、特に学校教育関係者に一読を勧めたいものです。
一般的に大学とは学問を究める場ですが、國分氏は「防大は、国の安全を任せられる人材育成の唯一最高学府」と喝破され、全国から集まった普通の若者たちが、自主自律の精神のもと、僅か4年で、お互いに命を預けられる信頼関係を築き、部下の命を守り、国民の安心と安全を守る幹部への道を歩んでいるかを、教育者の視点で実態を紹介しています。
また、建学の本旨から卒業生の活動を評価するとともに、国内外の環境の変化を捉えて課題と将来への提言を述べています。「防大生を育てることは、国民の将来の安心・安全、平和を保障し、ひいては世界平和に貢献すること」という総括は、国防の本質の一つであり、国を担う国会議員・官僚・教育関係者には必読の価値があると思います。
【元防衛大学校幹事、全国防衛協会連合会常任理事 千葉德次郎】
発行:中央公論新書
陸海空軍人によるウクライナ侵攻分析
日本の未来のために必要なこと
陸海空軍人によるウクライナ侵攻分析
著者 小川清史 伊藤俊幸
ウクライナ侵攻が開始された約3週間後の3月17日、「チャンネルくらら」というインターネット番組で「陸・海・空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」という動画が公開された。テレビなどのマスメディアでは報道されない、プロの解説ということで、コメント欄には「日本にもこんなに頼もしい将軍がいたのか」「プロによるすごい考察。たくさん学べた」「ロシア軍の疑問と誤解をようやく解消できた」など感謝と賞賛の声があふれた。いまや本シリーズの累計再生回数は217万PV(ページビュー)を超える。
本書はその動画をもとに加筆、修正した書籍である。陸・海・空という視点に加え、鼎談という形をとっているので、それぞれの組織の在り方を考える上でも上質なテキストになっており、一般の国民にとっても安全保障を考える上でも読みやすい入門書になっている。国防は自衛隊だけで執り行う課題ではなく、国民にとっても広く意識をもって議論すべきテーマであることは言うまでもない。
本書をきっかけに、国防意識の更なる高まりを促したい一冊である。
発行:㈱ワニブックス
定価:1650円(税込)
【著者紹介】
◇小川清史(元西部方面総監・陸将)、全国防衛協会連合会常任理事
◇伊藤俊幸(元呉地方総監・海将)、全国防衛協会連合会常任理事
◇小野田治(元航空教育集団司令官・空将)
◇桜林美佐(防衛問題研究家)
ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛
ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛
著者 渡部悦和 井上武 佐々木孝博
著者は元陸将・東部方面総監、元陸将・ドイツ駐在武官、元海将補・ロシア駐在武官という顔ぶれ。それぞれ戦略、装備、サイバー戦などに精通する専門家3人の鼎談によってロシア・ウクライナ戦争の状況が詳細に分析されている。
特に情報戦の推移やそれによる戦況の変化、多くのロシア将官が死亡するに至った原因、UAV(ドローン・無人戦闘機)の奏功についても詳しい。
善戦するウクライナの戦術については、フィンランド冬戦争時の「モッティ戦術」との類似性も指摘していて興味深い。
侵攻以前の状況、侵攻直前~侵攻直後に起きたこと、そしてこの事態が世界と日本にどんな影響を与えるかについての提言には説得力がある。
ロシア軍の信じがたいほどにお粗末な戦いぶりと、ウクライナの官民一体となった反撃を検証しながら、我が国の安全保障態勢にきびしく警鐘を鳴らしている。日々、テレビやネットのニュースを見る上でも大いに参考になる1冊である。
発行:㈱ワニ・プラス
定価:1100円(税込)
【著者紹介】
◇渡部悦和(元東部方面総監・陸将)
◇井上武(元富士学校長・陸将)
◇佐々木孝博(元下関基地隊司令・海将補)
”ざんねんな” 日本国憲法
研究60年集大成の解決策
”ざんねんな” 日本国憲法
駒澤大学名誉教授 西 修著
日本国憲法が施行されて、今年でちょうど75周年。この75年間、日本国憲法は一度も改正されたことはない。このような憲法は世界でも日本だけ、まさに「世界の化石」憲法なのだ。
たとえば、アメリカ合衆国憲法は1787年に制定され、1992年までに18回の改正が行われている。世界の憲法常識では「国民の安全を守る憲法は、時代の変化に合わせて改変していくべき」と考えられている。
改憲に反対する人は、「日本国憲法は世界でもまれに見る平和憲法だから、これを変えてはならない」という。しかし、これはまったく根拠がなく、世界の憲法の実に85%が、「平和条項」をもっている。こうした憲法を神聖視する論調がなぜ生まれたのか調べていくと、GHQが徹底的な検閲を行って、憲法反対論を封じ込めたという事実に突き当たる。
その他、GHQは日本国憲法を「暫定的なもの」と考えていたことや、憲法改正がこんなに難しいのは、GHQ案では国会は1院制だったものが、日本側の要請で2院制になったためであるなど、日本国憲法のさまざまな“ざんねん”な部分が解説されている。
現代に生きる私たちにふさわしい憲法とはどのようなものか、考えるきっかけとしてお勧めの1冊である。
発行:株式会社ビジネス社
《西 修(にし おさむ)》
1940年、富山県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程(憲法専修)、同博士課程修了。政治学博士、法学博士。駒澤大学法学部教授をへて、現在、駒澤大学名誉教授。専攻は憲法学、比較憲法学。メリーランド大学、プリンストン大学、エラスムス大学などで在外研究。第一次・第二次安倍内閣安保法制懇メンバー。第34回「正論大賞」受賞。主な著書に、『“ざんねんな”日本国憲法』(ビジネス社)、『憲法体系の類型的研究』、『日本国憲法成立過程の研究』(以上、成文堂)、『日本国憲法を考える』、『憲法改正の論点』(以上、文春新書)、『図説日本国憲法の誕生』(河出書房新社)、『憲法の正論』(産経新聞出版)、『証言でつづる日本国憲法の成立経緯』、『知って楽しい世界の憲法』(以上、海竜社)ほか多数。趣味は落語で、芸名は「またも家楽大」。
自衛隊最高幹部が語る『台湾有事』
そのとき、日本はどうする?
台湾有事
著者 岩田清文 武居智久 尾上定正 兼原信克
ロシアによるウクライナ侵略が続く中、「次に狙われるのは台湾ではないか」との懸念も高まってきた。台湾有事が発生したら、日本も否応なく巻き込まれることは確実だ。
では、実際の有事の形はどうなるのか。それを探るために、本書の著者たちは「日本戦略研究フォーラム(JFSS)」において、台湾有事に関する政策シミュレーションを企画。このシミュレーションは、安全保障に関する知見を有する現職国会議員や、近年まで日本国に奉職していた政府関係者の参加を得て、昨年の8月に実施された。その様子は、同年12月に放映された「NHKスペシャル 台湾海峡で何が 〜米中“新冷戦”と日本〜」でも取り上げられた。本書は、その政策シミュレーションに基づいたシナリオを再掲する第一部と、著者たち4人による「振り返り座談会」を掲載した第二部の二部構成になっている。
第一部で用意したシナリオは全部で4本。
①グレーゾーンの継続
②検疫と隔離による台湾の
孤立化
③中国による台湾への全面的軍事侵攻
④危機の終結
シミュレーションの現場では、事態に対して決断を迫られる「国家安全保障会議」でのやりとりが何度も出てくる。限られた情報、刻々と変化する状況の中で、どのような決断を迫られるのか。高みの見物ではなく、近未来に起こりうるリアルな事態を想像しながら、「自分ごと」として読むことができる。
発行:株式会社新潮社
定価:990円(税込)
【著者紹介】
岩田清文:元陸将、陸上幕僚長。
武居智久:元海将、海上幕僚長。
尾上定正:元空将、航空自衛隊補給本部長。
兼原信克:元内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長
防衛外交とは何か
いま日本に最も必要な安全保障戦略
防衛外交とは何か
平時における軍事力の役割
渡部恒雄編
西田一平太編
冷戦後、欧米諸国は近隣国の民主化移行を支援したりして国際平和活動を行ってきたが、そこでは防衛当局や軍事組織の人的資源やアセットを積極的に使ってきた。これらは相手国との関係を強め、地域の安定化にもつながる。このような平時における安全保障協力は「防衛外交」と呼ばれ、自国の影響力確保の手段として用いられている。
東アジアでも、日本が望ましい安全保障環境の創出に向けて防衛交流を展開する一方、中国の習近平国家主席が「軍事外交」を主導して対外的な影響力の増大を図ろうとするなど、各国による防衛外交の営みは急ピッチで進められている。アメリカの求心力に陰りがみえ、中国が国際秩序に挑戦するなか、軍事組織による防衛外交が日本の安全保障にとってますます重要になっているのである。本書は、日本の防衛を考える上で避けて通れないこの課題を、新進気鋭の研究者や防衛省・自衛隊の元幹部が多角的に検証していくものである。
【著者紹介】
◇渡部恒雄(笹川平和財団上席研究員)
◇西田一平太(笹川平和財団主任研究員)
◇鶴岡路人(慶應義塾大学准教授)
◇青井千由紀(東京大学教授)
◇武居智久(元・海上幕僚長、海将)
◇德地秀士(平和・安全保障研究所理事長、元・防衛省防衛審議官)
◇松村五郎(元・東北方面総監、陸将)
◇荒木淳一(元・航空教育集団司令官、空将)
◇佐竹知彦(防衛研究所主任研究官)
◇庄司智孝(防衛研究所アジア・アフリカ研究室長)
◇伊藤弘太郎(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)
◇合六強(二松學舍大学専任講師)
◇山口信治(防衛研究所主任研究官)
発行:株式会社勁草書房
定価:4400円(税込)
「日米台連携メカニズム」の構築
「日米台連携メカニズム」の構築
日本安全保障戦略研究所編著
中国の台湾・尖閣に対する軍事的冒険を抑止できるか。その鍵は日米台の連携強化にあり、具体的方策を説く国民必読書の決定版。
中国は、台湾の平和的統一を目指す努力は放棄しないとしつつも、武力行使を放棄していないことをたびたび表明し、軍事的威嚇を繰り返している。
中台間の軍事バランスは中国有利に傾き、その差は年々拡大しつつあり、中国の武力行使は実際に生起する可能性があり、その事態は切迫しつつあると考えなければならない。
他方、歴史的にも国際法上も日本固有の領土である尖閣諸島について、中国は「釣魚島(日本名は魚釣島)及びその付属島嶼(尖閣諸島)は…、台湾の付属島嶼」であり、「台湾とその附属島嶼である釣魚島は中国の不可分の領土の一部である」との独自の主張に基づき、中国海警局の艦船がほぼ毎日尖閣諸島周辺の接続水域において確認されるとともに、わが国領海への侵入を繰り返している。このように、中国の「力を背景とした一方的な現状変更の試み」はますます深刻化している。
つまり、中国の台湾統一に向けた武力行使の範囲には日本の尖閣諸島が含まれており、同諸島を焦点とした日本の南西地方有事は、台湾有事と同時に生起する可能性が高いと見なければならない。
まさに台湾有事は日本有事であり、その意味からも日本と台湾は「運命共同体」として死活的利害を共有していると言っても過言ではない。
「台湾が危ない・日本も危ない!」この危機に際し、日台双方はもとより、日米台3か国の協力連携の取り組みの必要性は、避けて通れない喫緊の課題である。
本書は、日本と台湾は正式の国交がなく、「非政府間の実務関係」という政治外交的困難の下に置かれているが、日米安保条約と台湾関係法を一体化させ、いまこそ日米台3か国の安全保障・防衛協力の強化に向
け、連携して今後の可能性を最大限に模索することが急務であることを説き、国民と共に考えるための情報
を提供する。
【著者紹介】
日本安全保障戦略研究所協同執筆者 ◆小川清史(元・西部方面総監、陸将)
※全国防衛協会連合会常任理事
◆小野田 治(元・航空教育集団司令官、空将)
◆邱 伯浩(元・台湾国防大学戰略研究所專任助教授、陸軍大佐)
◆髙井 晉(元・防衛研究所図書館長)
◆樋口譲次(元・陸上自衛隊幹部学校長、陸将)
◆矢野一樹(元・潜水艦隊司令官、海将)
◆矢野義昭(元・陸上自衛隊小平学校副校長、陸将補)
発行:株式会社国書刊行会 定価:3300円(税込)
米軍から見た沖縄特攻作戦
カミカゼvs.米戦闘機、レーダー・ピケット艦
米軍から見た沖縄特攻作戦
ロビン・リエリー【著】
小田部哲哉【訳】
《小田部 哲哉》
三菱重工業(株)航空機部門に勤務。退職後は航空関係誌に米国航空博物館訪問記、米海兵航空隊の歴史等の連載を行なった。母方の伯父が神雷部隊爆戦隊員として鹿屋から出撃、未帰還になったことから航空機、航空戦史に関心を寄せていた。
令和3年
戦うことは「悪」ですか
その核心とは「戦わない日本人」である。先の大戦終結後、GHQが日本に植え付けた「戦うこと=悪」という似非「平和主義」によって、どんな時でも「戦わない日本人」が拡大再生産され続けた。日本政府が「最重要課題」とする拉致問題が未解決なのは悲しくもその象徴である。著者は問う。「戦ってでも守りたいものは、ないのですか?」と。平和を守るために戦う覚悟、和を守るための武こそ先人から受け継ぐべき「大和魂」ではないかと。国民必読の書である。
発行:株式会社扶桑社
定価:1540円(税込)
≪葛城奈海(かつらぎ・なみ)≫
ジャーナリスト・俳優。防人と歩む会会長。やおよろずの森代表。
東京大学農学部卒業後、自然環境問題・安全保障問題に取り組み、森づくり、米づくり、漁業活動等の現場体験をもとにメッセージを発信。TBSラジオ『ちょっと森林のはなし』森の案内人(2008年〜2011年)。2011年から尖閣諸島海域に漁船で15回渡り、現場の実態をレポート。防衛省オピニオンリーダー。予備3等陸曹。予備役ブルーリボンの会幹事長。北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」でアナウンスを担当。日本文化チャンネル桜『Front Japan桜』レギュラー出演中。産経新聞『直球&曲球』連載中。共著に『国防女子が行く』(ビジネス社)、『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)、
解説書に『[復刻版]初等科国語 [中学年版]』(ハート出版)がある。
知って楽しい世界の憲法
極超音速ミサイル入門
自衛隊最高幹部が語る 令和の国防
極超音速ミサイルが揺さぶる「恐怖の均衡」
防衛協会会報第153号(3.4.1)掲載
日本の安全保障の大転換期
発行:株式会社扶桑社
定価:880円+税
有事のプロに学ぶ 自衛隊式自治体の危機管理術
防衛協会会報第153号(3.4.1)掲載
危機管理のノウハウ・スキルが満載
緊急事態は常に突然起こり、迅速にその対応を求められる。すぐに動ける組織体制を整えておくことは、どの組織にとっても急務だ。
本書はその組織づくりに焦点をあて、自衛隊と自治体両面の組織の違いを明らかにしながら、どう連携し災害対応に当たるべきか具体的に語る。
著者の越野氏は自衛隊時に阪神・淡路大震災に作戦部長として従事し、退官後、岩手県庁防災危機管理監を務めた。
その際に東日本大震災に対応した経験も持つ。そのリアルな知見から語られる危機管理術は、現場に応用できるノウハウに溢れている。必読の一冊だ。
近未来戦を決する「マルチドメイン作戦」 日本安全保障戦略研究所編著
防衛協会会報第153号(3.1.1)掲載
『変革の時代』の幕開けを告げる国民必読の書
すでにロシアは、ウクライナ、シリアで本作戦を試し、中国は「情報化戦争」の呼称で、平時からの戦いとして本作戦を展開している。この動きに乗り遅れた米国、さらにその後塵を拝する日本は、キャッチアップに必死だ。そのため、日本は、2018年策定の防衛計画の大綱(30大綱)で、「多次元統合防衛力」構想の中心的テーマして「領域横断(クロスドメイン)作戦」を打ち出した。
本書は、今後の日本の安全保障・防衛の行方を決定的に左右するマルチドメイン作戦を分かり易く解説し、日本の課題や問題点を国民と共に考えるための情報を提供するものであり、国民必読の警世の書である。
◇青木眞夫 (独立行政法人情報処理推進機構(IPA)J-CRAT/サイバーレスキュー隊隊長)
◇小川清史 (元・陸上自衛隊西部方面総監、陸将) ※全国防衛協会連合会常任理事
◇髙井 晉 (元・防衛研究所図書館長)
◇冨田 稔(元・陸上自衛隊関東補給処長、陸将補)
◇樋口譲次 (元・陸上自衛隊幹部学校長、陸将)
◇用田和仁 (元・陸上自衛隊西部方面総監、陸将)
令和2年
『国防と教育』-自衛隊と教育現場のリーダーシップ- 竹本三保著
組織を動かし、人を動かして任務にあたるという文化が、自衛隊と学校とでは大きく異なる。とはいえ、最終的には高い志、夢や希望が持てるという、やりがいのある職場環境づくりが大切だということには変わりない。そのために必要なのは、優れた見識のあるリーダーである。
ピラミッド式の組織である自衛隊とナベブタ式の組織である学校という、両極端の組織のリーダーとして様々な事案に取り組んできた著者が、その成功体験や失敗をもとに実学としてのリアルなリーダーシップ論を紹介する。
人心を把握し、結果を出すための統率とは何か。
企業や団体、地域、スポーツ界など、人と人が結びついて成り立っている、あらゆる組織で必ず役立てる一冊。
定価:1500円+税
『和をもって貴しとなす』 和貴の会編
安全保障のバイブル 防衛協会会報第151号(2.7.1)掲載
「憲法9条を正しく知ろう」 駒澤大学名誉教授 西 修 著
憲法9条論議の必読書 防衛協会会報第151号(2.7.1)掲載
「中国、日本侵攻のリアル」 元陸上幕僚長 岩田清文著
自衛隊元最高幹部の警告 防衛協会会報第150号(2.4.1)掲載
「憲法の正論」 駒澤大学名誉教授 西 修 著
第34回正論大賞受賞記念出版 防衛協会会報第149号(2.1.1)掲載
平成31年/令和元年
「日本の機甲100年」 防衛ホーム新聞社発行
「日本人のための『核』大事典」 日本安全保障戦略研究所編著
核兵器 核軍縮・不拡散 核政策・戦略など核に関する疑問に応える 防衛協会会報第147号(1.7.1)掲載
核兵器の原理や仕組み、核兵器の開発・発達の経緯、地球上に拡散した核兵器の実態、主要国の核政策・戦略や核をめぐる国際的な取り組み、そして日本への核脅威の実態と日本が取り得る核抑止のための選択肢など、幅広い内容をわかりやすく展開。
自衛隊の今が分かる本 菊池 雅之(軍事フォトジャーナリスト)著
憲法改正議論の前に知っておきたい平易な解説と写真で見る自衛隊の「素顔」 第146号(31.4.1)掲載
証言でつづる日本国憲法の成立経緯 西 修著(駒澤大学名誉教授)
第34回正論大賞受賞 「歴史の証人」45人へのインタビュー 防衛協会会報146号(31.4.1)掲載
中国人民解放軍 茅原 郁生著
習近平軍事改革の全貌が わかる必読の決定版 防衛協会会報145号(31.1.1)掲載
平成30年
●142号 30.04.01 (1) 日本国憲法と自衛隊 全国防衛協会連合会(調査研究チーム)
(2)現代の安全保障講座 全国防衛協会連合会編
●141号 30.01.01 (1)「『美し国』日本の底力」 加瀬英明・馬渕睦夫著 ビジネス社
(2)「海軍特別攻撃隊第5七生隊 『森丘哲四郎手記』」(公財)特攻隊戦没者慰霊顕彰会
リーダーシップは誰でも身に付けられる
「論理的思考」と「フォロワーシップ」を軸とし、どんな人材でも常にリーダーとして育成する海上自衛隊式ノウハウは、今まさに一般企業に求められているリーダー育成法に不可欠なもの。常に新たなリーダーを生み続けるサイクルを実現することが可能となり、リーダー個人のスキルアップだけでなく、ひいては組織力の向上に大きく貢献する内容となっている。
日本国憲法と自衛隊
憲法を改正すべきか否か、また、改正すべきであるとすればどのように改めるべきなのか議論を尽くすことは、誇りある日本の平和と独立を守るために間違いなくプラスに作用するのではないかと思われます。ご精読のうえ、ご議論の活性化を宜しくお願いします。
1.日本国憲法の誕生と再武装への道
2.自衛隊に関わる憲法解釈と自衛隊の歴史
3.なぜ、今、憲法改正が必要か
現代の安全保障講座
近日配布予定
本書は、平成29年11月に開催した防衛大学校教授による「現代の安全保障講座」の講演記録をまとめたものです。
全国防衛協会連合会は、その設立目的である「防衛意識の高揚を図り、防衛基盤の育成強化に寄与する」ことの一環として、安全保障に関する講演会を開催してまいりました。
今回は24回目となりました本書が多くの皆様に読まれ、防衛問題に関する認識を深める一助になることを願っております。
1 米国トランプ政権の安全保障政策
防衛大学校 人文社会科学群 国際関係学科 教授 石川 卓
2 北朝鮮の軍事戦略
防衛大学校 人文社会科学群 国際関係学科 教授 倉田 秀也
参考「防衛大学校の教育の概要」
「美し国」日本の底力
定価1,300円+税
【内容紹介】
2019年、平成の世は31年で幕を閉じることとなりました。そんな大きな転換期を迎えるにあたって、日本という国の本質、天皇のあり方、そして日本人の生きる道を、国際社会の虚実を知り尽くした博覧強記の論客が徹底激論したのが本書です。
本書の特徴は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教や、欧米、ロシア、ムスリム社会など、多岐にわたる角度の比較から、この国の力の源泉を探っているところにあります。
一例をあげると、古事記とビッグバン理論、ジョン・レノンと靖国神社の意外な関係、明治維新150年の虚実、そして天皇陛下の本当の意義などなど、今まで誰も触れてこなかったトピックを手掛かりに、2600年以上守り続けてきた〝私たちの強み〟の答えを解き明かしていきます。
誰よりも日本を愛するからこそ敢えて語った、厳しくも希望に満ちあふれた至言の数々が詰まった日本人必読の書の登場です。
海軍特別攻撃隊第5七生隊 『森丘哲四郎手記』
上製・B5版・総頁数686頁 定価:3,000円+送料
この手記は、東京農業大学のラグビー部部員であった森丘哲四郎学生が、海軍予備学生として学徒出陣され、海軍舞鶴海兵団に入団し、以後、飛行学生に選ばれて訓練を受け、特攻隊員として出撃、散華される直前までのことを本人自身が大学ノート9冊に記したものである。
東京農大で「大根の植え方」等の農作業から始まる日誌の、一冊、一行、一字たりとも削除する事なくそのままの形で残すことに拘ったもので、誰の手にも染まらず、本人がその時の気持ちを、素直にそのまま記している。
後世の人が手にする時、時代を超えて、「特別攻撃隊」の一つの真実が伝わるものである。
☎:03-5213-4593 FAX:03-5213-4596 Eメールアドレス: tokuseniken@tokkotai.or.jp
平成29年
(2)勇者は語らず(木本あきら著 株)幻冬舎メディアコンサルティング)
●139号 29.07.01 (1)岡部いさく&能勢伸之のヨリヌキ週刊安全保障((株)大日本絵画)
(2)自衛隊幻想 拉致問題から考える安全保障と憲法改正(㈱産経新聞出版)
●138号 29.04.01 自衛隊はISのテロとどう戦うのか(詳伝社)
●137号 29.01.01 「自分に自信がない人」を卒業する44のヒント((株)主婦と生活社)
《えほん》自衛隊ってなあに?
全頁カラー・32頁 定価700円+税
東日本大震災被災地における自衛隊の目覚ましい活動はマスメディアを通しても多く伝えられ注目を集めるところとなった。しかし、そうした救援活動も自衛隊の任務の中のほんのひとこまでしかない。
本書は、自衛隊の主たる任務である国防から、被災地での救援活動の他、海外での支援活動、南極の調査協力などに至るまで、自衛隊の様々な活動事例を「えほん」として子供にもわかりやすく紹介している。
携帯に便利な、薄くて軽いコンパクトな一冊だが、中身は充実。日本の平和を守る自衛隊への理解をより多くの国民に深めてもらうには格好の本である。
勇者は語らず
日本(ふるさと)から遠く離れたインドネシアの地に、骨を埋めた兵士たちがいる。
これは、異国の独立戦争に命をかけた日本兵の、汗と血と涙の記録……。 アジア激動の時代を駆け抜けた男たちを描く、ノンフィクション小説。
【著者紹介】
木本あきら(キモト アキラ) 昭和17年中国北京に生まれ、北海道斜里郡清里町で育つ。
6年間の陸上自衛隊勤務を経て、アメリカミシガン州マキノウカレッジでMRA(道徳再武装)研修。東洋大学、拓殖大学で学ぶ。
その後、プラントエンジニアとしてトリニダード・トバゴ、リビア、カタール、エジプト、アルジェリア、インドネシアなどで約25年間駐在。
現在、拓殖大学客員教授(国際関係論)、短歌結社「まひる野」同人、予備役ブルーリボンの会幹事。
著書「歌集アラビアの詩(うた)」(角川書店)「日本の女は死んだ」(日新報道)など。
岡部いさく&能勢伸之のヨリヌキ週刊安全保障
自衛隊幻想
荒木和博 特定失踪者問題調査会代表、予備役ブルーリボンの会代表、拓殖大学海外事情研究所教授
荒谷 卓 陸上自衛隊特殊作戦群初代群長。
伊藤祐靖 海上自衛隊特別警備隊初代先任小隊長。
予備役ブルーリボンの会
自衛官OB、予備自衛官等で構成する民間団体。拉致問題に関する自衛隊内外への啓発 活動、拉致被害者救出に貢献することを目的としている。 荒木和博氏は同会代表、伊藤祐靖氏は幹事長、荒谷卓氏は幹事。
自衛隊はISのテロとどう戦うのか
「日本人に虐殺をもたらし続けるだろう。日本の悪夢を始めよう」とのISの宣言を見れば、現地の自衛隊が彼らのテロの対象になる可能性は大いにあるのだ。
「大が小を制する」という軍事常識が通用しないテロとの戦いに、正規軍からの攻撃に備えて訓練を重ねてきた自衛隊は、いかに対処するのか。勝算はあるのか。
陸・海・空の元自衛隊幹部の軍事評論家三人が高度なデータ分析の上に予測。
これが、日本が備えるべき戦闘!
祥伝社新書 定価 本体840円+税 ISBN978-4-396-11466-4 C0231 発行所 詳伝社
著者 西村金一(元陸自幹部学校戦略室副室長)
岩切成夫(元航空総隊幕僚長)
末次富美雄(元海上自衛隊情報業務群司令
「自分に自信がない人」を卒業する44のヒント
本書は四章構成になっています。
第1章は「己を知る」
第2章は「人を知る」
第3章は「仕事を知る」
第4章は「術(すべ)を知る」
それぞれのテーマに合わせ、一つひとつを読みやすいように簡潔にまとめています。
平成28年
●135号(28.07.01) (1)「指揮官の条件」(高嶋博視)
(2)「わが国防衛政策の現状と今後」(全国防衛協会連合会)
●134号(28.04.01)「国防女子が行く」(河添恵子/葛城奈海/赤尾由美/兼次映利加)
●133号(28.01.01)「東アジアの軍事情勢はこれからどうなるのか」(能勢 伸之)
戦争が大嫌いな人のための正しく学ぶ安保法制
【定価】定価:本体価格1,400円+税 ㈱アスペ 【発行所】株式会社アスペクト
【紹介文】
安保法制で日本の平和と安全は高まる。「戦争法」というデマを信じてはいけない。 平和な暮らしを守りたかったら、集団的自衛権と平和安全法制について正しい知識を身に付けよう。著名軍事アナリストがQ&A形式で語る、日本人の8割が知らない「安保法制の真実」。
【目次概要】
第1章 集団的自衛権で日本の安全は高まる 集団的自衛権で「他国の戦争に巻き込まれる」って本当ですか?
第2章 読めばわかる平和安全法制 国民の8割が「政府は説明不足」
第3章 日本の平和主義を実行する国際平和協力活動 日本が「戦争する国」になる?
第4章 自衛官が「戦死する」というデマ 自衛官の家族を不安に陥れる報道
第5章 若者は徴兵されるのか? そもそも徴兵制とは?
第6章 憲9条こそ憲法違反だ! 憲法第9条の問題点
『指揮官の条件』
責任を取ろうとしないリーダーが組織を率いれば、組織に属する人間たちも忠誠心、帰属意識を持ちようもない……。東京五輪関連の問題や、大企業の不祥事など、「もろい組織」の存在が続々と明らかになっています。
強い組織を作るにはいったいどうすればよいのか? リーダーとはどうあるべきか? 著者は元海上自衛隊幹部。
東日本大震災という近年最大の国難に際して、被災者救援活動や福島第一原発事故後の対応で、海上自衛隊の指揮官を務めた人物。さかのぼってイラク戦争勃発のときには、インド洋で護衛艦隊を率いていました。先の見えない荒海を行く「船長」として、部下をまとめ、確たる実績を残しています。
「組織への忠誠心は一朝一夕で醸成できない」「有事に信用できる人間は、細部まで誠実である」「厳しさこそ優しさである」「自分の言葉で話せないトップは責任を取らない」「組織はどんどんシャッフルするべき」「想定外など甘い」「物事は地球儀とともに考えよ」・・・・・・。
真のリーダーなき時代に、正面から「リーダーの条件」「強い組織の作り方」を考察するシンプルで力強い1冊です。
▼目次
第1章 指揮官の振る舞い
1『戦艦大和ノ最期』 2非常事態における指揮官(東日本大震災 I:指揮所移転)3非常事態における指揮官(東日本大震災II真水作戦)4インド洋派遣 5平時における指揮官 6責任感と使命感 7士気 8指揮官の引き際 9優しさと厳しさ
第2章 指揮官の在り方
1価値観の逆転 2点と線 3言葉 4不可侵の領域 5悪い情報 6たかが電話 7健康 8整列5分前
第3章 強い組織
1サービス 2強い組織 3有事即応 4栄枯盛衰 5任務達成の手順 6任務の付与 7独断専行 8情報
第4章 持続する組織
1危機管理 2帰属意識 3形骸化 4地球儀 5充電 6端末処理 7艦長の椅子 8防衛大学校の教育 9人材確保
第5章 人として
1人間の弱さ 2人間が食する意味 3ご先祖様を祀る 4伝説の海軍士官 5運命を引き受ける勇気
『わが国防衛政策の現状と今後』
(細部は、HP(www.ajda.jp)をご覧下さい。)
目 次
1 わが国を取り巻く安全保障環境
(1) アジア太平洋地域の安全保障環境
(2) 中国のわが国周辺空域・海域における最近の活動
(3) 北朝鮮の核開発と弾道ミサイルの脅威
2 防衛政策と防衛力整備の変遷
(1) の基本方針(昭和32年5月国防会議及び閣議決定)
(2) 第1次防衛力整備計画(1次防)~4次防衛力整備計画(4次防)の策定
(3) 防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画
(4) 自衛隊の任務・活動の拡大と有事法制等の整備による運用面の改善
3 防衛力の現状と防衛政策の変化
(1) 「国家安全保障戦略」の策定
(2) 「25防衛計画の大綱」(25大綱)、「25中期防衛力整備計画」(25中期)の策定
(3) 平和安全法制の整備
4 日米安全保障体制の充実・強化
(1) 日米安全保障体制の意義
(2) 「日米防衛協力のための指針」とその実効性を確保するための施策
5 今後の防衛力の方向
国防女子が行く
(著) 河添恵子/葛城奈海/赤尾由美/兼次映利加 本体価格1,100円 判型B6 ビジネス社刊
序 章 愛国女子の履歴書 第1章 女子が考える国防 第2章 経済から考える国防
第3章 国防女子の教育提言 第4章 メディアの罪と罰 第5章 “日本の生命線”沖縄の異変
抱腹絶倒! 毒舌トーク炸裂?天下国家しか語れない男たちも平和ボケした女たちも滅多切り!
世界を駆け巡り激動の時代を見つめ続けるノンフィクション作家、才色兼備で体育会系のキャスター兼俳優、赤尾敏氏の姪で一円玉を製造する日本唯一の企業社長と上京後も沖縄のために尽力する駆け出しライター4人の国防女子が見参?
現代の大和撫子が語る日本の未来とは。日本は女性が変える!
「東アジアの軍事情勢はこれからどうなるのか」
能勢 伸之著 金額【864円(本体価格800円)】PHP新書
櫻井よしこ氏推薦!
一見、バラバラに起こっているかのような東アジアの安全保障をめぐる出来事は、じつは深いところですべてつながっている。しかし、残念なことにいまだ、その全体像を読み解くためのキーワードがメディアで大々的に語られることはない。
そのキーワードを提示しながら東アジアの最新軍事情勢を読み解き、集団的自衛権、日米ガイドライン改定、安保法制、そして日本の安全保障の未来を本書は描いていく。
そのキーワードとは、「国籍を超える防衛上の仕組み」を支える「データリンク」という言葉だ。
冷戦終結後、旧ソ連からの武器流出を伴いながら、東アジアの軍事情勢は悪化しつづけた。恐るべき北朝鮮や中国の軍拡に対抗するため、いわゆる「西側諸国」は国籍を超えた軍事情報の共有化を図り、イージス艦を中心として効率的に防衛を行なう仕組みを構築してきた。
しかし、そうした軍事情報のやりとりは、「武力行使」という観点からどのように位置づけられるのか。具体的には、わが国の集団的自衛権行使とどう関係するのか。改定された日米ガイドラインにおける扱いはどのようなものか。安保法制のなかでそれがどこまで議論されるのか。
「ハードが分からないまま外交を語るのは、アルファベットが読めないのに英語が話せるといっているに等しい」という軍事・防衛技術のスペシャリストが、最新の知見をふんだんに盛り込みながら、いま絶対に知っておくべき安全保障の核心を語る。
平成27年
「警察予備隊と再軍備への道」
第一期生が見た組織の実像 佐藤守男 著
1950年6月の朝鮮戦争勃発によって日本駐留米軍は全軍朝鮮半島に出動。日本の防衛兵力が不在となったことから、GHQはそれまでの非軍事化から日本の再軍備へと政策を転換し、同年8月、警察予備隊が75,000人規模で発足。1952年に保安隊(現在の陸上自衛隊)に改組。
目次
序 章 再軍備への坂道
第1章 警察予備隊の創設
1.創設準備とGHQ 創設準備の段階から曖昧な性格だった/GHQ軍事顧問団が指導
2.緊急体制下での隊員募集 国家地方警察により隊員募集を開始/募集計画の骨子/募集開始から採用までわずか10日/短い広報期間にもかかわらず応募者殺到/異例の速さで管区警察学校へ入校(入隊)/私が入隊した動機
3.部隊の配置 GHQの指示で指定地(キャンプ)へ移動/部隊の編成と階級の付与/岐阜、善通寺、姫路と移動
第2章 警察予備隊の訓練
1.米軍指導下で行われた初期の訓練 基本訓練は米軍新兵教育と同じ/武器のなかった警察予備隊に米軍がカービン銃を貸与/善通寺・姫路で人事・渉外業務を担当
2.教材の整備も付け焼き刃 教育訓練の教材は米軍教範に依存/米軍教範の翻訳業務に従事/特科学校の開設と英語教育
第3章 警察予備隊員の福利厚生
1.共済組合の活動 共済組合が発足/駐屯地売店の経営と機関紙『朝雲』の創刊
2.厚生施策の重視 劣悪な居住環境の改善/盛んに行われたスポーツ
3.衛生、医療の充実 隊員の健康管理に力を注ぐ/苦労した医官の確保
第4章 警察予備隊の発展
1.保安隊への移行 発足の経緯/警察色の払拭を鮮明にした保安隊
2.基幹要員の育成 (1)保安大学校(防衛大学校) 設立の経緯/社会人としての教養を身につけた幹部養成が目的/開校時の競争倍率は二九倍 (付記)一般幹部候補生(大学卒)制度 (2)自衛隊生徒(少年工科学校→高等工科学校) 設立の経緯/「明朗闊達」「質実剛健」「科学精神」が教育目的/第一期生は40倍の狭き門 (3)調査学校(小平学校) 設立の経緯/語学・情報を扱う基幹要員の育成が目的/ロシア語課程一期生としての私の情報勤務
終 章 再軍備の行方
集団的自衛権に付会の議論はいらない/核武装への道を進むべきではない
関係略年表
関連資料
マッカーサー元帥の吉田首相宛書簡(25.7.8渉外局特別発表) 警察予備隊令(25.8.10 政令第260号) 警察予備隊施行令(25.8.24 政令第271号) 保安庁法(27.7.31 法律第265号) 保安庁法施行令(27.7.31 政令第304号)
参考文献
著者 佐藤守男 1932年三重県生まれ。
北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター研究員。博士(法学)。
著書『情報戦争と参謀本部』『情報戦争の教訓』(ともに芙蓉書房出版)。
平成26年
●125号(26.01.01)憲法改正の論点(西 修)
「武人の本懐」
平成23年、東日本大震災で獅子奮迅の働きを残した海上自衛隊1万6000人の記録! 武人の本懐
昭和27年香川県生まれ。 昭和46年、香川県立三本松高等学校卒業(22回生)。
昭和50年、防衛大学校卒業 (第19期生)。
四六判ハードカバー260ページ 定価1,700円(税別) 平成26年2月14日発売!
「憲法改正の論点」
世界各国との憲法比較を踏まえ「護憲vs.改憲」議論に終止符を打つ決定版!
7月の参院選における大きな争点となった「憲法改正」問題。これまで戦後60余年、自衛隊の存在をめぐる、いわゆる「9条問題」を中心に、国論を二分する大論争を巻き起こしてきたのは、ご存知のとおりです。しかし、自民党の圧勝を受けて、憲法改正に向けた動きが加速するのは間違いありません。
では、改めるべき条項は、第9条と、改正手続きを定めた第96条だけでよいのでしょうか。
現在の日本国憲法が制定されたのは戦後間もない1940年代後半のこと。そこに盛り込まれているのは、当時の社会通念に照らした権利です。「知る権利」や「環境権」「プライバシー権」など、現代生活において守られるべき諸権利は、当然ながら日本国憲法には明示されていません。
憲法学者で、安倍首相の諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)のメンバーでもある駒澤大学名誉教授の西修さんが、1990年以降に制定された世界の「新憲法」の動向を精査した上で、21世紀の日本にふさわしい憲法の姿を明示したのが本書。
天皇の位置づけや安全保障のあり方、非常事態への対処など、憲法改正議論の問題点を鋭く突きます。
平成25年
●121号(25.01.01)日本の未来を託す! (小野田寛郎 俵孝太郎 米盛幹雄 土居征夫)
「日本のリーダーは武器を持つ覚悟があるのか」
『日本のリーダーには、武器を持つ覚悟 はあるのか!?』
大川豊(大川豊興業総裁)×佐藤正久(防衛大臣 政務官):著
過激なトークで知られる芸人ジャーナリストの“総裁”大川豊氏が、防衛大臣政務官に昨年末就任したばかりの“ヒゲの隊長”佐藤正久議員に、「国防軍」について、「尖閣諸島防衛」について、そして「憲法改正」について政治的爆弾トークを仕掛ける!
「佐藤さん、政治家に武器を持つ覚悟はあるのでしょうか?」
『日本の未来を託す!』
今こそ戦後の時代を生き抜いた人々の経験に耳を傾け、知見から学び取るのが為すべき順序であろう。 元陸軍少尉の小野田寛郎、政治ジャーナリストの俵孝太郎の二人を中心に、行政の総合情報誌「時評」の主幹米盛幹雄、元通産省生活産業局長の土居征夫を交えての議論をまとめたものである。
甘さも、うわべだけの励ましも、不必要な慰めも存在しない。時代を切り開いてきた者のみが語り得る直言と提言だけが峻烈なまでに綴られる。
聖路加国際病院院長の日野原重明氏も、次世代が傾聴すべき内容としてエールを送っている。
発行所 時評社 価格 1,500円+税
平成24年
●119号(24.07.01)任務完了ー海上自衛官から学校長へー (竹本美保:元1等海佐)
F機関(藤原岩市)
『F機関』の「F」とはFreedom(自由)のFであり、Friendship(友情)のFであり、そしてFujiwara(藤原)のFである。この「F」こそが、英国の植民地であったインドを独立させた重要な起爆剤であったと認識するインド人・英国人が居るのである。
戦後、英軍の尋問において「貴官の工作は、真にグローリアス・サクセスであった。しかし、貴官のような語学もできない情報の素人がこのように成功した理由が分からない。どんなテクニックを使ったのか、その成功の原因について回答してくれ」と言われ、「テクニックなどない、ただ、現地人に対する、敵味方、民族の相違を越えた愛情と誠意を、硝煙の中で、彼らに実践感得させる以外になかった。そして、至誠と信念と愛情と情熱をモットーに実践これをつとめたのだ」と藤原が答えると、尋問官が「解った。貴官に敬意を表する。自分はマレー、インド等に二十数年勤務してきた。しかし、現地人に対して貴官のような愛情を持つことがついにできなかった」としんみり語ったと云う。
戦後は陸上自衛隊の調査学校長となり後輩情報関係者の教育に当たったが、教育方針として「智・魂・技」の三文字を掲げた。旧陸軍時代に「魂」だけで務めた自らを反省し、戦中は敵の英国から学び、戦後は友邦たる米国から学んだ「智と技」を加えたのか。
この書は、シンガポールの英獄から釈放帰国早々の昭和22年頃書かれ、昭和41年以来再々出版された。
なお著者藤原岩市元陸将は防衛協会創設者の一人である。
(東京都防衛協会初代理事長、元第1師団長)
発行所 バジリコ(株) 価格 2,200円+税
任務完了ー海上自衛官から学校長へー
女性ゆえの能力を発揮できる分野が自衛隊の中にもきっとあるー女性自衛官の草分けとして、男社会のパワハラ・セクハラを持ち前のバイタリティではね返し、女性初の地方協力本部長も務めた海上自衛隊1佐の型破りな人生。
東日本大震災では即応予備自衛官を招集し救援活動を支え、退官後は大阪府立の学校長として「教育」にチャレンジ。
男女は社会的に平等であるものの、異質な存在として区別しつつも、男女とも人間の営みに必要な資質を分かち合っているという「男女区別平等論」の観点から働く女性にエールを送る。
平時の自衛官生活は、砲煙弾雨とは言えないものの、妻として母として「とりあえず」か「一応」か任務遂行しつつ、婦人、いや女性自衛官として堂々と正道を歩んでパイオニアとして道を切り拓いた著者の自衛官生活は十分波瀾万丈といえる。
女性海上自衛官の草分けとして、暗中模索しつつも、存在し続けること自体が難しかった時代に、様々な時代の制約の中でも、好奇心を満たす事が次々と起こる。生き残りをかけた戦いの中から、「後輩が歩む道を切り開くこと」がいつの間にかミッションになり、パイオニアとして、継続することの大切さなど、伝えたいと考える。女性の生き方としても参考になることがあると思い、30数年の自衛隊生活をエッセイ風にまとめたもの。
著者略歴
昭和54年奈良女子大学卒業 同年海上自衛隊入隊
平成23年12月退官(1等海佐)
(並木書房・定価1,600円+税)
平成23年
●114号(23.04.01)(1)2.26帝都兵乱( 藤井非三四)
(2)ハンニバルに学ぶ戦略思考 (首都大学東京講師 奥出阜)
国際安全保障データ 2010-2011
日本は安全なのか?防衛費は?防衛装備は?日本の防衛努力は世界に通じるのか?日本の防衛を具体的に論議するためには軍事の基本データの分析は必須である。
本書は財団法人デフェンスリサーチセンターが、上田愛彦・井川宏・新治毅・杉山徹宗・鈴木健・高山雅司・中村暁・廣瀨清一・藤本晶士・安村勇徳・吉田暁路という錚々たる専門家集団の力を結集して内外のデータを収集・分析し、数字と図表で安全保障に関する「世界の中の日本」を位置づけた貴重な一冊である。
またデータのみならず、収録されている「用語解説」は単なる用語集を超え、簡潔に本質をついた解説は、それを読むだけで何故その用語が必要かまで理解でき、安全保障に関する新聞記事や論文を正確に読み解くためには是非とも必要な基礎知識である。
特に巻末付録の「2008年韓国国防白書(抄訳と解説)」は、あらゆる分野で我が国との関係が深まっている韓国が北朝鮮をどう認識しているか、日本をどのように理解し、竹島問題をどう表現しているかを知る貴重な資料である。
(鷹書房弓プレス・定価1,400円+税)
2・26 帝都兵乱
「疲弊した農村の窮乏に悲憤慷慨した青年将校たちが君側の奸を排除に立ちあがった」的な観点から語られることが多かった二・二六事件を、本書は軍事行動即ち戦史として、戦場の環境、決起側、鎮圧側各々の戦略方針、戦闘経過の流れを考究する。
五・一五事件や永田軍務局長斬殺事件から続く本事件を知ることは大東亜戦争における日本側の戦争生起の背景を理解する手掛にもなり得る。
更には多種多彩な史料から要点を大胆に取り出した本書は単なる戦史をはみ出し、軍隊内部の人事関係や特有の組織構造まで語り、昭和前期の日本陸軍の文化を詳細に知るものだけが書ける無類に面白い事件史であり読みものである。
北一輝はかなり怪しげな人物として描かれ『国家改造法案』も青年将校はろくに読んでいなかったこと、東京の第一師団を満州へ移駐することが直接のきっかけだったこと、また事後の維新政府への計画がまったく欠けていたことが失敗の原因だったことなど、目からうろこが落ちるような指摘、エピソードに満ちている。
事件を中世の僧兵による「強訴」に近いものと位置づけているのも興味深いし、東京在住の中堅将校のおごりとコンプレックスで動かされた兵隊に同情的なのも面白い。
(草思社・定価1,800円+税)
ハンニバルに学ぶ戦略思考
今日でもさまざまな戦略論があるが、古くは孫子の兵法やクラウゼヴィッツの戦略論が広く知られる。しかし、欧米ではそのクラウゼヴィッツが規範としたナポレオンや、ロンメル将軍が「師」と仰いだ、古代カルタゴの英雄・ハンニバルが「戦略の父」と言われ、いまなお彼の考えが受け継がれている。
本書では、そのハンニバルの戦略力を11の原則にまとめて紹介する。ハンニバルは、古代ローマ大国の天敵と言われ、第二次ポエニ戦争で戦ったことでも知られる。戦力で圧倒的に劣るカルタゴ軍がカンネーの戦いで大国ローマ軍を打ち破ることで、ハンニバルの名声は確固たるものとし、カルタゴが滅びた後も、ローマ帝国最大の敵として後世に語り伝えられてきた。何よりも恐れられ注目されたのは、彼の戦略家として能力で、その後の欧州の戦略研究の基礎になっている。
本書では、第二次ポニエ戦争での4つの戦いを具体的に説明し、ハンニバルがどのような状況分析をし、いかに戦略を策定して実践したかを著す。そこには現代の国家や企業が学ぶべき戦略の基本概念が集約されている。 部隊指揮官として防衛大学校教授として、戦略の理論と実践に精通した著者の説得力が滲み出た一冊。
(ダイヤモンド社・定価1,800円+税)
平成22年
●110号(22.04.01)日本の大義と武士道 戦うもの達へ(明治神宮武道場「至誠館」 館長荒谷卓著)
●109号(22.01.01)福沢諭吉の日本皇室論 ( 平沼赳夫監修・池田一貴現代語訳)
輿論と世論 日本的民意の系譜学
ウォルター・リップマンの『輿論』には「如何なる政治も、輿論を無視しては持続性を有し得ない。君主専制の下に於てすら、盛衰の跡を顧みれば、時間を超越した本質的考察に於て輿論が政治の窮極の死命権を握って居ることを首肯し得るであろう。輿論は政治の基底を為すものでなければならない」とする。「世論」は気分や雰囲気の表出で感情的なものであり、「輿論」は理性的に議論され公衆の社会的意識が組織化されたものであるといえる。
しかし、大衆の政治参加と新聞の大量発行と同時並行的に、「輿論の世論化」が進展し、辞書でも両者の区分が明確でなくなり、戦後は「常用漢字表」から「輿」が消えてしまった。こうして郵政選挙や年金選挙に見たように、国家をどうするかという総体的な議論の集約としての輿論ではない、一、二のテーマだけの感情表出で動かされてしまう。
輿論の復権こそ、今まさにアクチュアルなテーマではなかろうか。
福澤諭吉は『文明論之概略』で、「世に多き者は智愚の中間に居て世間と相移り罪もなく功もなく互に相雷同して一生を終る者なり。世論は此輩の間に生ずる議論にて、正に当世の有様を模出し、前代を顧て退くこともなく、後世に向て先見もなく、恰も一処に止て動かざるが如きものなり」という。
(新潮選書 1,470円)
日本の大義と武士道 戦うもの達へ
日本国家のあるべき姿形、その国家を継承していく国民の心のあり方というような、高度な内容であるにも拘らず理解し易いのは、日本建国の歴史と著者自身が諸外国・諸国人と心の接触をしたところから来ているのであろう。
冷戦崩壊後、多様な脅威が出現した国際環境に対応出来るようにするため、著者は自衛隊の改革を目指す。その象徴とも言える特殊作戦群を作り、初代の群長として隊員を真摯に教育・訓練した。その隊員たちがイラク派遣自衛隊を裏で支えたのである。
世界最強の自衛隊を心中に抱き、中心的存在として活躍してきた著者が、意半ばにして自衛隊を去ったのは何故か。端的に言えば、日本全体が戦争放棄を謳う憲法9条と人権思想の美名の下で、官僚化した自衛隊には戦う戦士の養成という意識が希薄であること、また、最高指揮官である首相をはじめ、防衛大臣等の政治家には国家が直面している現状を認識しようとしない頭隠して尻隠さずのダチョウそっくりであるという焦燥感を憶えたからに他ならない。
それは「自衛隊を運用する気構えもない政治指導者と実戦に使われることなど考えることもしない自衛隊上層部に管理されて、自衛隊の中の真の戦闘者たちは日々悶々とした状態にあった」という文言に伺われる。
こうして、著者は日本建国の基本に帰り、世界に轟く日本精神の拠り所である武士道を体現する先達になり、「身を賭して己の魂の理想を貫こう」と決意したのである。
表題の「戦う者たちへ」は〝信ずることをやり通す″真に「戦う者」になろうではないかと訴えている。それは武器を持って戦う自衛隊や警察、海上保安要員よりも、自己保身しか考えていないような政財界人、更には日本国民に対してである。
福沢諭吉の日本皇室論
財団法人無窮會編
福澤は国会開設や憲法発布(明治22年)を歓迎する一方で民主主義に期待と危惧を抱いていた。「自由民権甚だ大切なりと雖も、自由民権を伸ばしたる国を挙げて不自由無権力の有様に陥りたらば如何せん。守旧保守亦大切なりと雖も旧物を保守し了をはりて其ままに他の制御を受けたらば如何にせん。相闘いて勝敗容易ならず、全身の全力は既に尽くして残す所なし。何ぞ他を顧みて之が謀はかりごとを為すに遑いとまあらんや」(自由だ、民権だと騒いで国内が騒然となっては、外国からどんな謀略が働くかもしれない。それに対応する力を結集できなかったらどうするのだ)と警句を発したのである。
このことを、殻の中で安心していたサザエが、外が騒がしいのでそっと頭を伸ばしてみたら殻共々魚市場の俎板の上にいたという寓話を以って示している。
また、「国会は二様の政党相争ふて、火の如く水の如く盛夏の如く厳冬の如くならん。政府より頒布する法令は冷ひややかなること水の如く、情の薄きこと紙の如く」で殺風景である。政治は国の外形を整える道具に過ぎない。これに対して、「帝室は独り万年の春にして人民これを仰げば悠然として和気を催ふす可べし」。また、「帝室は偏なく党なく政党のいずれをも捨てず、又いずれをも援けず」に「政治社外(政治の世界外)」にあって、国民の心の拠り所となることが望ましい、こうした皇室の存在が重要であるという。
130年も前に書かれたものであるが現代語訳も付いて読み易い本書は、民主主義と政党、更には皇室の存在意義が問われている今こそ、必読の書ではなかろうか。帝室の恩徳は甘きこと飴の如くして人民これを仰げば以て慍いかりを解く可べし」
平成21年
●107号(21.07.01) (1)防衛情報雑誌『MAMOR』(マモル) 扶桑社
(2)『ふがいない政治家よ 歴代総理 議員に学べ! 愛書連代表 天国太平
(3)全国防衛協会連合会創立20周年記念誌 連合会プロジェクトチーム
(4)日本の防衛Q&A「わかりやすい国の守り」
●106号(21.04.01)いつまでもどこまでも果てしなく危ない朝鮮半島 DRC朝鮮半島研究会
●105号(21.01.01)F機関インド独立に賭けた大本営参謀の記録(藤原岩市)
軍用鉄道発展物語
書名どうり、軍用としての鉄道の建設・運用・維持を、主に日本軍との関りで述べており、鉄道連隊の編成や泰緬鉄道・クワイ川橋の話から、天皇お召の御料車のことまで広くカバーしている。
鉄道は技術の開発と国家戦略が絡んで発達したわけで、戦争ばかりでなく、社会の変化に対応してどのように利用されたかも面白い。 鉄道敷設に当たっては軍事的要素も考慮して内陸部がいいか海岸沿いがいいか、民営か国営かなど、侃侃かんかん諤諤がくがくの議論が交わされていることはいうまでもない。鉄道敷設時の風土や生活習慣、食糧事情、戦時疎開にも利用された窮状などが淡々と語られ、世相物語にもなっている。
シベリア出兵で、日本はロシア革命軍が使用していた装甲列車を分捕り、更に補強して使用している。操縦ばかりでなく、線路の復旧も行いながら戦闘地域に真っ先に入って行く鉄道連隊はシベリア版西部劇の主役さながらの活躍である。
鉄道は軍用ばかりでなく、満州事変が柳条湖の満鉄爆破によって引き起こされたように、平時における謀略などにも利用された。こうしたことが平易な文章で綴られ、思わず世界史の裏面を覗き込むようである。
また、民営化以前の国鉄ばかりでなく、私鉄の多くが戦争との関係で敷設され、戦後はどのような運命を辿ったかなども克明に記されている。
日清戦争時の大本営が何故広島に設けられたか、日露戦争の長期化を日本が嫌い、開戦時から早期終結と講和を期待していた理由も、鉄道事情に大いに関係していた。
関門トンネルが開通すると、下関・釜山間の連絡船を介して、シベリア鉄道に接続する国際列車も検討するなど、大きな夢も描いており、興味は尽きない。
(光人社刊・1,800円+税)
防衛情報雑誌『MAMOR』(マモル)
創刊は平成19年1月。前年9月まで防衛弘済会が発行していた『セキュリタリアン』の後継雑誌である。
より多くの一般国民、なかでも若い読者に、国防を考える情報誌を読んでもらえるように、との目的からフジサンケイグループの出版社である扶桑社が編集・発行をして一般書店で発売されている。
国防に興味のない人でも、気軽に手に取って読んでもらえるように、あえて表紙や巻頭グラビアでは、テレビや雑誌で活躍するアイドルを起用。「それをきっかけに安全保障や自衛隊に興味をもってもらえれば」というのが編集の狙いで、実際に編集部には「グラビアのタレントが目的で初めて購入しましたが、自衛隊を紹介するページもおもしろかったので毎号購入します」といった内容のハガキが多数寄せられている。
入り口は柔らかいが中身は、毎月、時事に即応した特集と、各部隊の訓練レポート、世界各国で活躍する防衛駐在官からの現地ルポ、技術研究本部の最新研究報告、日本各地の基地・駐屯地がある自治体の紹介、防衛省・自衛隊の最新ニュースなど、硬軟取り混ぜた情報が満載(7月21日発売予定の9月号では「防衛協会20周年記念行事開催」のニュースも掲載予定)。
一般読者からは、「自衛隊の普段の活動を始めて知った」、「隊員の苦労を知って頭が下がる」、「自衛隊に興味をもった。将来は入りたいと思う」といったお便りが届いている。
また、現役自衛官や、その家族からも「ほかの部隊の活躍をくわしく知ることができて役立つ」、「離れて住む息子の仕事がよくわかってうれしい」という声が寄せられている。
毎月21日に、定価530円で全国の一般書店で発売されているが、売り切れなどの場合は、どこの書店でも無料で取り寄せが可能。また、会員向けに配布する目的で一括購入する組合・団体もあり、その場合は割引購入ができるので編集部に問い合わせていただきたい。
(マモル編集部・直通電話03-5403-8887)
『ふがいない政治家よ 歴代総理 議員に学べ! 』
こうした趣旨から、初代の伊藤博文から71代の中曽根康弘まで45人の総理、更に井上馨や陸奥宗光、重光葵などの大臣・議員23人の「政まつりごとの言葉」を取り上げている。
「政治は趣味道楽であってたまるものか、命懸けでやるものだ」(浜口雄幸)、「自己の生命は一度死んでいる!」(鈴木貫太郎)、「身は数創を被るも志は未だ灰かいせず」(井上馨)、「俺が戦争にしてやる」(陸奥宗光)、「わが国は尽くすべきを尽し、忍ぶべきを忍んできた」(山本権兵衛)、「なすは、なさざるに勝る」(加藤高明)、「日本自身の実力、政策又は精神を以て解決するの外はない」(重光葵)
ここで取り上げた数人の言葉からも、政治家となった以上は身を犠牲にして「政」を行なうこと、諸外国からの無理難題には忍びに忍ぶが、我慢も限界を超えれば決然として戦争に打って出ること、同盟などは結んでいても夫々に国益が絡んでおり、最終的には自国のことは自国で解決しなければならないこと、こうした「政治家の志」が沸々と感得されるではないか。
国家の消長は国民の意思を汲み上げるべき政治家と共にあり、本書が出版され、「いま、政まつりごとの言葉が必要である」(「まえがき」冒頭)所以も、ここにある。
今日の政治屋たちに〝喝〟を入れ、本当の政治家となって国民に〝政の言葉を吐いてみろ〟と訴えている。
国民の政治離れが甚だしい今日、日本の将来を考えるべきノーブレス・オブリージュの人々にとり、必読の書である。 (春日出版 1,500+税)
全国防衛協会連合会創立20周年記念誌
日本の防衛Q&A「わかりやすい国の守り」
いつまでもどこまでも果てしなく危ない朝鮮半島
題名が明示するように、未来永劫に亘って目が離せない朝鮮半島である。それは韓国と北朝鮮に分断されている当面の政治・軍事情勢からだけではなく、過去に由来する歴史や民族形成の過程にも大いに関係している。
近年は韓国との間の竹島問題、並びに北朝鮮との拉致や核兵器問題などがクローズアップされているがそれらは表面的で、問題の一部でしかない。より本質的には、朝鮮半島に内在する歴史観や民族感情に由来している。
こうした本質的な問題には歴史的・民族的視点から、また核・ミサイルには技術的・軍事的視点から、更に国家の並存については政治・外交的な視点から隈なく、かつ記述の重複も厭わず、読者に分かり易くオムニバス的に提示している。
中でも、当面する安全保障に重点を置き、両国間に起きる分断や統一のシナリオ、それに対処する米中露の動き、更には対岸の火事では済まない日本のあり方など、専門家たちが叡智を集めて幾つかのシナリオを描いている。
重病を患った金正日も活動を再開している。ミサイル発射の予告もしており、日米は状況次第で撃墜する準備も進めている。過去には大国から翻弄された半島が、今では逆に周辺国を翻弄する国になろうとしている。日本はどう対処するか、必読の書である。(S)
F機関 インド独立に賭けた大本営参謀の記録
当事者自身が語るドキュメンタリー。
フリーダム・フレンドシップ・そして藤原の頭文字を取った「F機関」は、インドをはじめ東南アジア諸民族の民族的悲願に発する自発的決起を促し、日本側の近視眼的工作からの強制を厳に戒めた。 その結果インド人やマレー人から進んでF機関に協力・提携の申出が続出、F機関は全マレーの救世主と畏敬された。
扇動工作はマレー進攻作戦やスマトラ進撃にも功を奏し、日本軍進撃が民族解放軍と言われる程に民衆の間に人気が上がっていった。
著者は武力なくしてインド独立はないと確信、マレー・シンガポール作戦で日本軍と戦い、捕虜となったモハンシン大尉を誠心誠意説得、捕虜の中から師団兵を選抜させ、インド国民軍(INA)を創設させた。
その後、この軍隊はドイツから戻ってきたチャンドラ・ボースに引渡され、遂にはインドの独立をもたらす。
(日本及び東南アジアの歴史(特に近現代史)に興味のある方)日本の国際貢献・協力のあり方に興味のある方にお勧め。 なお、著者は東京都防衛協会の初代理事長を務められた。
平成20年
●103号(20. 07. 01)(1)日本の核論議はこれだ (郷友総合研究所編)
(2)知っておきたい現代軍事用語( 高井 三郎)
●102号(20. 04. 01) 日本人は戦略・情報に疎いのか (太田 文雄)
●101号(20. 01. 01)(1)新テロ対策特措法ー石破防衛大臣に聞く(防衛知識普及会)
(2)江上女性部会長料理本2冊 (江上栄子)
平成20年度版防衛白書
激動する世界 立ち遅れるわが国の防衛力
中国やロシアの経済発展を背景にした軍事力増大や領海領空侵犯の増大等を報告する一方で、日本の防衛費は6年連続して減少し、主要装備のゼロ査定が続いているとしている。
不祥事が予算獲得を困難にしているようであるが、日本の立ち遅れは許されない。クラスター爆弾禁止条約についても「積極的に貢献する」としているが、日本の安全保障に穴が開くデメリットをどう防ぐのかの説明がない。
日本の核論議はこれだ
政治家が問題提起しても、多くのマスコミが議論さえさせないような非核5原則を形成する日本である。曲がりなりにも戦後60年を日米同盟の下で生き延びてきた。しかし、米国の戦力が相対的に低下する近未来にあって、日本への核の傘はさし続けられるのだろうか。これが本書2章までの問題提起である。
対米関係を最も重視しつつも、アジアの戦略環境、日本の国内事情などを総合的に勘案して提案するのが第3章である。
NATOの核抑止体制を紹介し、ミサイルの共同研究開発などと言う技術的なこと以上に、戦略思想のすりあわせや、核の傘がどのように機能し、また機能しないかなど、より戦略的な高位レベルの調整機構が求められているのではないかと主張する。
日本が「自国の安全は自分で守る」決意と努力をしないことにははじまらないことを説き、核被害の実態を知る人類初で唯一の被爆国であるからこそ、感情的な忌避よりも、積極的な防衛策をとる必要があるのではないかと苦言。
具体的にはイギリス型を提示して現実的議論を期待している。また、価値観を同じくする豪州、印度までも含めた核戦略同盟の提案も、今までにない踏み込みで、議論誘発の一書である。
(S) (展転社発行 本体1,500円)
知っておきたい現代軍事用語
こうした国々を見ると、政治・経済も然ることながら、それら支える軍事力、それも国民の信を得た軍隊を持っていることが分かる。
本書は発刊の趣旨で、「武力紛争は各地で起きており、各国は軍備を不用意に廃止できないのが国際社会の偽らざる現状である。(そうした中で)日本の国民だけが各国民に比し、軍事に寄せる関心も軍事知識も低調な状態が許されるのか?」と反問、JR四谷駅付近に建つ千代田区史跡案内図に「旧近衛師団指令部庁舎」の注記に気づき、「指令部」は「司令部」が正しいと担当部署に指摘したエピソードを紹介しながら、正しい知識の必要性を説いていく。
本書の特性は、軍事用語の単なる解説ではなく、最終的には「兵器と技術」まで踏み込むが、「国家」とは何か、「安全保障」や「危機管理」はなぜ必要なのかに始まり、「戦争」・「紛争」について述べ、「軍事機構」や「軍事原則」などを歴史的な経緯や各国の考え方などにまで踏みこんで解説している。
外交と軍事は相互補完の関係にある。日本の生きる道が、外交によって国家の存在感を示すことであるとするならば、北朝鮮の核開発とミサイルの実用化、中国の異常な軍近代化と戦力向上が伝えられる環境の中にあって、外交を支える軍事について、国民が正しく理解する必要性が増大していると言える。(S)
日本人は戦略・情報に疎いのか
日本は建国以来、「戦略」的思考と、謀略などもふんだんに駆使した「情報」を見事に使いこなしてきたことを高天原と出雲の駆け引きから説明するところは圧巻である。
また、戦国時代の有力武将たちが「孫子の兵法」の真髄を習得し、遺憾なく応用してきたことを浮き彫りにする。
日本人の戦略眼、情報眼が曇っていなかったこと、決して欧米人に劣っていなかったこと、いやそれどころか、日本の先人たちがリードさえしていたことを、外国人との豊富な接触や部隊経験等から割り出し、日本人に自信と誇りを取り戻させる好著である。
アメリカナイズされた戦後思想で、日本の永い歴史に隠された日本人の良さ、偉大さを忘れてしまった。自虐史観が戦略や情報における先人たちのすぐれた業績までも蔑ろにする状況に警告を発しているのが本書である。
国民に愛読され自信を与えた功績の大きい『坂の上の雲』などで、人物像が過って描かれたり、過小に評価されていることなども指摘して、正しい理解に導こうとする。
「青い鳥」は日本に居る。「灯台下暗し」を教えてくれる本著で日本を見直す縁とするためにも、多くの人に読まれることを期待したい。
新テロ対策特措法・石破防衛大臣に聞く
「お隣の韓国、あるいはスイスなど、多くの国がこのテロとの戦いに参加しています。ですから、決して、アメリカの戦争に加担するものとか、憲法に違反して集団的自衛権の行使になるとか、そういうようなご批判は当たらないと思います。」
右のように、Q&Aの形で、分かりやすい解説で、自衛隊(日本)の国際協力活動の必要性と重要性を訴えている。会員にとっては啓蒙の参考にして欲しい一冊である。 内外出版。価格630円。
江上女性部会長料理本2冊
防衛協会女性部会の江上栄子氏(江上料理学院院長)指導による『絶対役に立つ、料理の基本』と『これだけは作りたい、人気のおかず』が(株)角川SSコミュニケーションズから出版された。
「初めて台所に立つ人のために」書かれたもので、鮮明な写真とつぼを押さえた説明は「目からウロコのコツ満載」で、「よし! 料理を作ろう」という気持ちにさせる。 どちらも税込みで630円。=S=
平成19年
(2)ルワンダ難民救援隊ザイール・ゴマの80日 (神本光伸)
●098号(19. 04.23) 軍事システムエンジニアリング(大熊康之)
人間 山口信夫
日本商工会議所会頭・旭化成会長の重責を担う男の実情にせまる渾身のノンフィクション
ラーゲリからの帰国、宮崎輝社長の秘書を経て、住宅事業部の立上げ、新会長として全事業部の再編へ、そして会頭として経済と地方の再生に取り組んだ日々
<帯タイトル(裏表紙)から>
山口信夫を取り上げたのは、柔らかな人触りながら、自らの信念を曲げない「強さ」の根源を探りたかったからだ。高向巌日商副会頭は「山口さんの人間形成の過程を是非知りたい。あれだけの包容力のある人物が、どんな屈折を経、自己鍛錬をしてきているのか、それは私らにも大いに興味がある」と語っている。山口と接した経験のある人のほとんどが、「あの人間性はどうやって培われたのか?」と思っているようだ。(あとがきより)
かつて旭化成会長であり全国防衛協会の初代会長でもありました宮崎輝氏が山口さんのことを、「わが社にはとびきりの英才がいる、陸軍士官学校のトップだ」と評していましたが、そんな偉人伝ではなく全編を通じて信念の人、包容力の人という人物像が浮かびます。
著者は、山口さんの「人を魅了してやまない心遣い、人を大事にする優しさ」が、シベリア抑留時代の一人では生きていけなかった過酷な体験から生まれたと分析。山口さんご自身も、このときの苦難に比べたらどんな努力でもできます、と読者に自信と目標を与えてくれます。
商工会議所会頭就任に際して、会頭職に専念するため、数多く持っておられた役職を殆んど辞退されたなかで、「防衛協会会長だけは私に課せられた責任です」ときっぱり。それは国を守ってくれる自衛隊への支援と、自らの国を守る気概を国民に持って欲しいと願う強い思いからです。
本書には、希薄化した日本人の国を愛する心を考え直すよすがともなる山口さんの言葉が随所に出てきます。会員の皆様にも、そして部隊を率いる自衛隊幹部の方々にも、一読をおすすめしたい一冊です。
(紹介者 大北常任理事)
ルワンダ難民救援隊 ザイール・ゴマの80日
緊張感をもたらすのは派遣先の状況ばかりではなかった。友人と思っている同行のマスコミ人が、法令を楯に指揮官を地獄苦に落しかねない報道をする様が書かれている。
こんな欠陥態勢で送り出したのかと驚くと共に、無事に任務を完了し、帰国できたのが不思議で僥倖以外の何者でもない。
ルワンダ派遣から既に13年過ぎ、この間にPKOや国緊隊、更にはテロ特やイラク特などで自衛隊が何度も派遣されが、最終章で「現場からの意見」を書かざるを得なかったことが問題だ。
科学技術創造立国を標榜し、言うまでもなく法治国家を確信する日本であるが、その実、こと自衛隊に関しては枝葉末節、重箱の底にある針先程のゴミを在った無かったというだけで、憲法を初めとする法体系は手付かずの状況である。
国家の威信と派遣された隊員の生命に関わる大事であるにも関わらず、政治家たちの深層には「何とかなるだろう」という古来からの神頼み的な潜在意識が潜んでいるに違いない。法治国家の「環境の整備」とは、畢竟法体制の整備であり、本書は立法者たちの怠慢への諫言である。
(本紙編集担当)内外出版 本体価格二千円
軍事システムエンジニアリング
(大熊 康之 著)
従来は戦車や火砲などの重厚長大な兵器が正面でぶつかり、勝敗を決したが、IT技術の進歩がc4ISR機能を格段に向上させ、精密誘導兵器の発達を促し、今日ではピンポイント攻撃能力に優れた巡航ミサイルや誘導爆弾など小型軽量で機動容易な兵器が多用されるようになった。
これは、脅威の対象が国家ばかりでなく、非国家主体の国際テロ組織などが加わり、不特定正面に不特定な形で対処しなければならない、すなわち、迅速に兵力の機動展開が求められる軍事上の要請にも符合する。
こうした「戦闘シナリオの大転換期に、先見性のある『コンセプト』を考え、費用対効果性のある『プロジェクト』を立ち上げ、指導し、一貫して全米軍の軍事革命及び大変革を先導しているのは海軍のリーダーたちである」(「はじめに」より)と言われる。
北朝鮮が核・ミサイルの開発に注力し、中国のミサイルは日本に目標を定めていると言われる状況下において、日本のイージス艦にもミサイル防衛(MD)システムが導入され始めた。
陸・海・空自の統合運用を効果的にするためには、今後開発される装備のシステム・コンセプトをまず確立する必要があり、本書は格好の手引書である。著者はイージスの父と慕われるマイヤー、軍事革命理論の草案者オーエンス、ネットワーク中心の戦闘の指導理論を編み出したセブロウスキーの3提督に直接指導受けた斯界の第一人者である。
(かや書房出版、本体2,500円+税)
平成18年
国民保護のマニュアル
日本人拉致や9.11無差別テロ等の事案を受けて、永年の懸案であった有事法制の整備とともに国民保護法が制定され、昨年度(注:平成17年度)は、全都道府県が「国民保護実施計画」を定め、今年度(注:平成18年度)は各市町村が実行性ある計画を作成することになっています。
肝心なことは、国民一人ひとりが、自分の身は自分で守り、自分の街は自分たちで守る意識と 用意がなければ行けないということです。
本書は有識者に依頼してこれを分りやすく纏めたもので、貴方の安全のために、是非一冊をお手元に。市町村の実効性ある計画立案のために、是非とも計画担当者にご紹介ください。 (防衛協会会報第96号18.10.23から引用)
災害やテロ、極東アジアの国際緊張など・・・・・・何が起きてもおかしくない時代。
有事に備え、どう対応すればよいかを示す、 平和と安全を守るための羅針盤!
第1章 国民保護とは?
第2章 諸外国の国民保護体制は?
第3章 どんな事態が起こるのか?
第2次大戦後60年余にわたり、幸いにもわが国は外国から侵害されることなく、平和と繁栄を享受してきました。しかし、現実の国際情勢をみますと、今後ともそのような緊急事態が起こる可能性が全くないと言い切れるものではけっしてなく、現に最近では世界の各地で紛争やテロが頻発しています。
このような情勢を踏まえ、漸くわが国でも、平成15年から16年にかけ、武力攻撃やテロなどが発生した場合これに有効に対処するための、いわゆる有事法制が整備されました。またその一環として、有事の際国民の生命、身体、財産などを守るための国民保護法が平成16年6月に制定されました。
17年3月には政府の「国民の保護に関する基本指針」が策定され、各都道府県の「国民保護計画」が18年3月には出揃い、それを受けて現在、全国の市町村が「国民保護計画」の、そして指 定地方公共機関が「国民保護業務計画」の作成に取り掛かっており、武力攻撃事態や緊急対処事態に対する国民保護の体制が着々と整いつつあることは実に心強いことであります。
これを機に全国防衛協会連合会では、その目的とする「防衛意識の高揚と防衛基盤の育成強化活動」の一環として、有事の際の国民保護のあり方について有識者に調査研究を委嘱し、その成果の概要を「あなたと街を守るために-国民保護のマニュアル-」として本書にまとめました。
本書では、国民保護法の仕組みにはじまり、諸外国の国民保護法制、想定される各種の緊急事態とそれに対する措置、国民の協力のあり方、更には今後の課題にまで及び広範にわたって解説しています。その際、防衛庁(現防衛省)防衛局事態対処法性室から資料提供、助言など多大のご尽力を頂きましたことを、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
本書が、国民保護の実施に当たって重要な役割を担われる地方公共団体の方々に参考とされ、また広く一般の方々に読まれて国民保護の重要性が認識され、ひいては国民の防衛意識の普及、高揚に役立つことができれば幸いです。