定期総会
令和5年 防衛協会会報第163号(5.7.1)掲載
全国防衛協会連合会第34回定期総会
佃和夫会長退任、新会長に大宮英明氏就任
全国防衛協会連合会(佃和夫会長)は6月1日、ホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)において、第34回定期総会を開催した。総会には連合会役員及び都道府県防衛協会・自衛隊協力会等の会長ら約60名が全国から参集した。総会では、13年の長きにわたって在任し、連合会の発展に多大の貢献をされた佃会長が退任。後任の会長には、佃氏と出身母体を同じくする三菱重工業株式会社相談役の大宮英明氏が選任された。
総会先立って4年ぶりに開催された表彰式と、総会に引き続いて開催された講演会及び懇親会の一連の定例行事も滞りなく終了した。
定期総会
総会では次の6項目の案件が審議され、全て原案通り承認された。
1 令和4年度事業報告
2 令和4年度収支決算書
3 令和5年度事業計画(案)
4 令和5年度収支予算書(案)
5 役員人事(案)
15名の役員が交代(会長、副会長4名、常任理事5名、理事5名)
【新体制は本ホームページの役員欄参照】
6 「令和5年度防衛問題に関する要望書」(案)【下に全文掲載】
講演会
総会後、防衛装備庁長官官房審議官の春日原大樹氏による「防衛産業を取り巻く課題と抜本的強化」をテーマとした講演が行われた。まさに時宜を得たテーマであり、参加者は高い関心をもって聴講していた。【下記に概要を掲載】
懇親会
講演会終了後は、4年ぶりに懇親会が催された。会場には、井野防衛副大臣をはじめ、南雲統幕副長・森下陸幕長・酒井海幕長・内倉空幕長等の防衛省・自衛隊の最高幹部、久保防大校長、四ノ宮防衛医大校長、講師の春日原防衛装備庁長官官房審議官、友好団体の会長・理事長等多数の来賓が足を運ばれ、100名を超える出席者を得て大盛況であった。
懇親会冒頭の佃前会長による退任の挨拶後、全国防衛協会連合会を代表して、同女性部会の竜田会長から佃前会長に対し、長年のご功績に対する感謝の意を込めて花束が贈呈された。
続いて、大宮会長の就任挨拶、井野防衛副大臣と森下陸幕長による祝辞、来賓・表彰状受賞者の紹介、浜田防衛大臣からの祝電披露と進み、折木隊友会理事長による乾杯のご発声で歓談がスタート。そして、宴もたけなわの中、全国防衛協会連合会青年部会の辻会長による万歳三唱の音頭でお開きとなった。
佃 和夫前会長退任挨拶
大宮 英明会長就任挨拶
令和5年6月1日付をもちまして、全国防衛協会連合会会長に就任いたしました大宮英明でございます。伝統ある全国防衛協会連合会で活動できますことを光栄に感じております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
さて、皆様ご承知のとおり国際情勢は、パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の激化に伴い、国際秩序は重大な挑戦に晒されております。特に、現状は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を尊重する民主主義諸国と権威主義諸国との対立が顕在化しております。そして、我が国周辺においては、一方的な現状変更及びその試みが継続しております。
このような中で我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると認識しております。
これまで自衛隊の皆様方は、主たる任務である国防はもとより、国際平和維持活動、国際緊急援助活動、アデン湾での海賊対処などの国際平和協力活動等への参加、最近ではスーダンからの邦人輸送任務を完遂されました。また、国内おいては多岐に亘る災害派遣活動などで活躍されていますが、その献身的な活動に対して心から敬意と感謝を申し上げます。
佃前会長からしっかりとバトンを受け取り、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務める」という自衛官の皆様の熱い心に応えることができるように、時代の風を感じながら前向きに活動し、当連合会の目的である「防衛意識の高揚」と「自衛隊への支援・協力」を推進して参りたいと考えております。
佃前会長同様、引き続きご指導・ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。
各都道府県防衛協会の益々の充実・ご発展をお祈りいたします。
講演会 講師 防衛装備庁長官官房審議官 春日原大樹氏
防衛産業を取り巻く
現状と抜本的強化(抄)
本日は「防衛産業を取り巻く課題と抜本的強化」と題し➊防衛産業を取り巻く現状、➋防衛生産基盤の強化、➌開発生産基盤強化法案、➍防衛技術基盤の強化、➎防衛装備移転の5項目についてお話しします。
➊防衛産業を取り巻く現状について
2020年のデータで、世界における日本の防衛支出のシェアは2.5%で9位ですが、GDP世界第3位の日本としては決して十分な金額とは言えません。我が国の防衛関連調達額は約2.5兆円で、自動車産業の62兆円規模に比べ、防衛産業の規模は足元にも及ばない状況です。また、世界の防衛関連企業の売り上げ規模は、防衛売り上げの割合が高くなっているのに対し、我が国は防衛以外の売り上げの割合がはるかに高くなっています。防衛事業の利益率も全社の利益率に比べ、極端に低いかあるいはマイナスになっている企業が多く、防衛産業は非常に厳しい現状です。
防衛産業を取り巻く課題としては、「事業としての魅力の低下」「産業全体の活力の低下」「様々なリスクに満ちた事業環境」「販路の限定性」など、直面する様々な課題があります。
特に、我が国の防衛産業の特性として、膨大な数のサプライチェーン構成企業を抱えており、潜在的なサプライチェーンリスクが存在し、相次ぐ事業撤退による供給途絶も懸念されます。
➋防衛生産基盤の強化について
新たな三文書の最上位である国家安全保障戦略で「我が国の防衛生産・技術基盤は、いわば防衛力そのもの」と明確に位置付けられています。装備品のライフサイクルを担う防衛産業なくして我が国の防衛力は発揮し得ず、経済安全保障の観点から我が国の自立性の確保及び不可欠性の獲得が喫緊の課題となっている現在、防衛生産・技術基盤を国内に維持し、強化する必要性が一段と高まっています。
➌開発生産基盤強化法案について
「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律(案)」が正式名称であ
り、次の7項目を施策の柱として、10月の施行を目指しています。①防衛産業の位置づけ明確化、②サプライチェーン調査、③基盤強化の措置、④装備移転円滑化措置、⑤資金の貸付け、⑥製造施設等の国による保有、⑦装備品等の秘密保全
➍防衛技術基盤の強化について
新たな三文書には防衛技術基盤の強化策についていろいろ示されています。官民の先端技術研究の成果の防衛装備品の研究開発等への積極的な活用・早期装備化・我が国主導の国際共同開発の推進・企業等の予見可能性を高める戦略的な発信・新たな研究機関の創設などを柱に、抜本的な強化策が示されています。
➎防衛移転の推進について
防衛装備品・技術移転協定は13か国と締結、UAEと5月に署名しています。
全国防衛協会連合会は、当連合会の目的達成に率先尽力するとともに組織の拡大強化に努め、当連合会の使命達成と発展に多大な貢献をされた20名及び1団体に対し、長年の功績を称えて表彰状を授与した。当日は、代理を含め14名が出席された。
受賞者(敬称略) ※青太字は出席された方々
【個人】
(北海道)池田 拓、山中 忠典、若林 雅敎
(宮 城)宮部 和夫
(群 馬)塩谷 輝行
(埼 玉)神戸 廣通
(千 葉)西村 幸吉
(神奈川)大貝 憲三
(長 野)伊藤 光春
(静 岡)高柳 好美
(兵 庫)小泉 星児
(徳 島)田岡批呂子
(香 川)石原 俊輔、(故)千葉 昭
(愛 媛)大塚 岩男
(佐 賀)德島 利昭
(長 崎)児島 伸
(宮 崎)森 新彌(代理 三森 政雄)
(鹿児島)谷川 洋造
(沖 縄)島袋 吉和
【団体】