令和6年年頭挨拶 防衛協会会報第165号(6.1.1)掲載
全国防衛協会連合会 会長 大宮 英明

新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては、ご家族と共に清々しい新年を迎えられたこと、心よりお慶び申し上げます。旧年中は、新型コロナウィルス感染症の各種規制から漸く解放される中、全国防衛協会連合会の活動へのご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
旧年中は、新型コロナウィルス感染症の各種規制から漸く解放される中、全国防衛協会連合会の活動へのご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
さて世界情勢に目を向けますと、一昨年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵略は、まもなく2年を迎えようとしていますが、依然として戦闘が継続しています。ロシアによる一方的な軍事侵攻は、武力により現状変更を図ろうとするものであり、断じて容認できるものではありません。
また、昨年10月7日に発生したイスラム主義組織ハマスによる突然のイスラエル侵攻により、中東地域においても不安定な情勢が増大しています。
一方、我が国周辺の安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑な状況にあります。中国は、東シナ海や南シナ海において、力による一方的な現状変更やその試みを続け、さらには習近平主席が台湾問題について武力行使も辞さない姿勢を繰り返し主張するなど、台湾有事の懸念が高まっています。
ロシアは、ウクライナ侵略後も北方領土を含む極東での軍備強化と我が国周辺の海空域における中国軍との活発な軍事活動を継続しています。
北朝鮮は、国連決議に違反した弾道ミサイルや変則軌道で飛翔するミサイルの発射を頻繁に繰り返すなど、国際社会に対する挑発を継続しています。
斯かる状況において、国民一人一人が「自分の国は自分で守る」という姿勢を堅持することは非常に重要であり、それこそが他国からの侵略に対する抑止力になるものと考えています。
国防の最前線に立つ自衛隊は、周辺海空域の情報収集・警戒監視、対領空侵犯措置などの防衛任務に加え、国際平和協力活動、海賊対処、在外邦人等輸送など、世界各地で活躍しています。また国内においても、各種災害派遣活動など全国各地で活動し、国民の自衛隊に対する期待と信頼は益々大きくなっています。
これからも当連合会は、「事に望んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努める」という自衛官の方々の熱い気持ちに応えることができるよう、時代の風を感じながら前向きに活動し、会の目的である「防衛意識の高揚」と「自衛隊の活動への支援・協力」を推進して参ります。また、各都道府県防衛協会と連携し会勢拡大にも努める所存です。
最後になりますが、当連合会に対する皆様のより一層のご理解とご協力をお願い申し上げますと共に、各協会の益々の充実と発展ならびに皆様のご多幸とご健勝を祈念して、新年の挨拶とさせていただきます。
防衛大臣 木原 稔

す。
1つ目は、令和4年12月に策定された国家安全保障戦略等に基づく、防衛力の抜本的強化の着実な実現です。スタンド・オフ防衛能力や無人アセット防衛能力といった将来の中核となる能力の強化に優先的に取り組むほか、持続性・強靱性の強化等重要な課題に取り組んでまいります。
2つ目は、同盟国・同志国等との連携です。既存の国際秩序への挑戦が続く中、我が国は普遍的価値と戦略的利益等を共有する同盟国・同志国等と協力・連携を深めていくことが不可欠になっています。
3つ目は、人への投資です。防衛力の中核は自衛隊員であり、人材の確保は大きな課題です。厳しい募集環境の中でも優秀な人材をしっかりと確保していくため、募集能力の強化のみならず、処遇の向上や生活・勤務環境の改善等を通じ、全ての隊員が高い士気と誇りを持って働ける環境を整備してまいります。
4つ目は、防衛生産・技術基盤の強化です。防衛生産・技術基盤は、いわば防衛力そのものと位置付けられるものであり、その強化は必要不可欠です。
そして、ハラスメントは人の組織である自衛隊の根幹を揺るがすものであり、ハラスメントを一切許容しない環境を構築することが必要です。防衛大臣として、ハラスメント防止対策に全力で取り組んでまいります。
防衛省・自衛隊の活動、取組は国民の皆様から御理解と御協力があって全うされるものであります。全国防衛協会連合会並びに全国各地の防衛協会・自衛隊協力会の皆様方には、これまでも様々な形で自衛隊を支えていただいておりますが、本年も防衛省・自衛隊に対し変わらぬ御支援を賜りますようお願いいたします。皆様方の益々の御発展と御多幸を祈念しまして、新年の挨拶とさせていただきます。
統合幕僚長 陸将 吉田圭秀

時代の責任を果たす
一昨年から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵略に引き続き、昨年10月、ガザ地区におけるハマスとイスラエルの軍事衝突が勃発しました。
欧州及び中東における戦火を、インド太平洋地域に波及させないために、我が国及び日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、インド太平洋地域に同盟国・同志国を結集する必要があり、その最前線にある我が国は、正に正念場の時代に入ったと感じています。
本年も統合幕僚監部は、当面の作戦任務を完遂するともに、将来に向けた統合運用態勢の抜本的強化を進めて参ります。
当面の作戦の完遂については、警戒監視・情報収集、対領空侵犯措置、ミサイル対処、在外邦人等輸送、災害派遣、海賊対処やPKO等の国際任務などを、「複合事態が常態化」する中、大局観を持ちながら完遂して参ります。
統合運用態勢の抜本的強化については、①戦略レベルと作戦レベルの融合、②防衛力整備と防衛力運用の融合、③統合・日米共同・多国間連携・省庁間協力の融合の三つの「融合アプローチ」を推進し、国家防衛戦略で示された「2027年度までに我が国が主たる責任をもって、我が国への侵攻を阻止・排除できるように防衛力を強化する」という目標達成に寄与して参ります。
特に、本年の焦点は、令和6年度末に新設される常設の統合司令部の準備であり、平時から有事までシームレスに領域横断作戦を遂行できる体制を構築し、新設と同時に実効的に運用開始できるよう、全力で準備を推進して参ります。
統合幕僚監部は、本年も、我が国を取り巻く波濤を超えて、統合運用態勢の抜本的強化に邁進し、「時代の責任を果たす」ことをお誓い申し上げますとともに、皆様にとって心穏やかな一年になるよう心からお祈り申し上げ、年頭のご挨拶と致します。