安全保障講座
令和2年度 第27回現代の安全保障講座
国際人の教養としての軍事学、日本の安全保障と軍事科学を学ぶ講座として、全国防衛協会連合会は、防衛省の後援並びに防衛大学校同窓会及び(公財)防衛大学校学術・教育振興会の協賛を得て、令和2年11月24日(火)グランドヒル市ヶ谷において、第27回目となる「防衛大学校教授による現代の安全保障講座」を開催。講座会場への入場前検温、手指の消毒及びマスク着用を徹底するとともに、聴講定員は例年の半数程度に制限し、座席間隔は十分なソーシャルディスタンスを確保する等、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期した。
講義に先立ち、主催者を代表して金澤博範理事長が挨拶。講座は、防衛学教育学群 国防論教官室 河上康博教授、システム工学群 航空宇宙工学科 田中宏明教授の順で行われた。
今回は、大学が行っているアクティブ・ラーニングの一環としての申込等、団体申込が複数あったこともあり、早い段階で定員に到達。当日は防衛協会会員を始め、防衛省関係者、企業、大学生及び予備自衛官補等、若い聴講者を中心に124名が聴講した。
なお、講座内容の詳細については、冊子にして印刷し、関係者に後日配布の予定である。
『現代の国防論』
―現代の日本の防衛に必要不可欠な作戦術について―
教授 河上康博一等海佐
わが国を取り巻く安全保障環境は、様々な課題や不安定要因がより顕在化・先鋭化してきており、一層厳しさを増している。特に、純然たる平時でも有事でもないグレーゾーンの事態は、国家間の競争の一環として長期にわたり継続する傾向にあり、これに対処している自衛隊は、まさにグレーな戦いの真っ只中にある。その対処次第では、国家間の戦いに至る可能性も秘めている。これは、戦術が直接戦略に影響を及ぼす事態であることから、現場部隊は、現場で的確な戦術を執ると同時に戦略についても深く理解しておく必要がある。こうした情勢から、今後求められる国防、その中でも防衛について、現場で対処する自衛官のみならず安全保障関係者にとっても戦略と戦術の双方を理解するとともに双方を総合的に捉えることが更に求められている。
この戦略と戦術の橋渡しをしているのが「作戦術」である。それ故に、「作戦術」は、今後の防衛に必要不可欠な方法論である。
本講座では、今後、日本の防衛に携わる関係者にとって、「戦略」と「戦術」、そして「学」と「術」の双方が必要不可欠であり、それを繋ぐ役割を有している「作戦術」の重要性について、具体的事例を用いながら解説した。
【プロフィール】
1988年3月 防衛大学校理工学専攻電気工学卒業
2001年3月 海上自衛隊幹部専攻科(機雷掃海)課程修了
2005年8月 第46掃海隊司令
2009年3月 海上自衛隊幹部学校幹部高級課程・統合幕僚学校統合高級課程修了
2009年3月 海上幕僚監部訓練班長
2011年8月 第51掃海隊司令(国際掃海訓練(中東)派遣部隊指揮官:連続2回)
2013年3月 海上幕僚監部服務室長
2015年1月 掃海業務支援隊司令
2016年12月 掃海隊群(機雷戦・水陸両用戦)司令部幕僚長
2018年9月 現職