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【お知らせ】新刊『自衛隊と財界人の戦後史:支援ネットワークの形成とその意味』(中原 雅人 著)のご案内
本書は、1990年代以降、自衛隊への支持が拡大したという通説に対して、その「前史」を描くことによって、「自衛隊研究」に新たな一面を提示するとともに、「日本人にとって自衛隊とは何か」という戦後日本社会の重要課題を考える材料を提供するものである。
1960年代初頭、全国の駐屯地周辺の地域を中心に、民間の自衛隊支援団体である「防衛協会・自衛隊協力会」が設立され始めた。自衛隊支援と防衛思想の普及を主な目的とするこの団体は、1960年代後半にはすでに全国で1,090の協会と約49~60万人の会員を擁するまでに拡大した。
1963年2月に設立された大阪防衛協会では、初代会長の松下幸之助が自衛隊支援を呼びかけ、関西圏において自衛隊支援ネットワークの形成を促した。さらに、1966年3月に設立された東京都防衛協会では、初代会長の桜田武(日経連代表常任理事)が首都圏において支援ネットワークの拡大に尽力し、1969年には全国的にネットワークが形成された。
このように本書は、政界が防衛論議を避け、社会が自衛隊を「日陰者」扱いした1960年代に、積極的に自衛隊を支援し、防衛論議の普及に努め、全国各地で自衛隊支援ネットワークを形成した人々の軌跡をたどる。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、自衛隊への期待は日に日に増している。こうした厳しい安全保障環境の中で私たちは自衛隊とどう向き合うべきなのだろうか。その手がかりを得るためにも本書は必読である。
発行:ミネルヴァ書房
定価:5500円(税込)