「自衛隊東京・大阪大規模接種センター任務完了」
防衛省・自衛隊が一丸となって東京と大阪で運営してきた新型コロナワクチンの大規模接種センタ―は、令和3年11月30日に任務完了式典を行い、約半年間にわたるその運営を終了した。同年5月24日に接種を開始して以来、自衛隊による接種回数は日本の全接種回数の約1%に該当する延べ約196万回(東京:約132万回、大阪:約65万回)に達した。
任務完了式典は、東京会場(東京都千代田区の「大手町合同庁舎3号館」)と大阪会場(大阪市北区の「府立国際会議場」)をオンラインで結んで行われた。
東京会場には岸防衛相・岩本政務官・菅前首相・島田事務次官・山崎統幕長・山村海幕長・井筒空幕長・森下陸幕副長ら約70人、大坂会場には鬼木副大臣・中曽根政務官・吉田陸幕長・中山前副大臣・松川前政務官ら約200人が出席した。両会場はオンラインのスクリーンで中継され、岸防衛相と鬼木副大臣(大規模接種対策本部長)が訓示し、隊員の活躍をたたえるとともに、民間のスタッフに謝意を表した。設置を指示した菅前首相も挨拶に立ち、「自衛隊大規模接種センターの設置・運営は、自治体による大規模接種の先駆けとなり、接種率の向上に対する大きな後押しにもなった」と隊員らに感謝し、労をねぎらった。
この後、任務完了報告が行われ、東京会場では東京センター長の水口靖規1陸佐(自衛隊中央病院診療技術部長)が運営担任官の福島功二中央病院長に、大阪会場では大阪センター長の小池啓司1陸佐(自衛隊阪神病院副院長)が運営担任官の阪神病院長の平山健一陸将補に対して報告した。
そして、岸防衛相から東京・大阪両センターに対し、第1級賞状が授与され、東京では水口センター長が、大阪では鬼木副大臣からの伝達で小池センター長がそれぞれ組織を代表して受け取った。
また、ワクチン接種に係る会場設営・受付等の各種支援業務を担った民間企業の代表者らに対し、岸防衛相から感謝状が贈呈された。
自衛隊による大規模接種センターの開設・運営は、自衛隊法第27条1項と自衛隊法施行令第46条3項に定める自衛隊中央病院等が果たすべき本来任務の一つとして行われたが、国家的な大プロジェクトの様相を呈した。活動人員は自衛隊を挙げて全国から派遣して充当し、民間の看護師や運営スタッフも多数活用した。
成果・教訓等
◆自衛隊がワクチン接種を大々的に行うことで、国民の間に接種に対する安全・安心感が広がり、それまで低調だった国全体の接種率を向上させる起爆剤となった。
◆センター運営のノウハウ・マニュアル等を、開設以来全てオープンにして自治体等に広く提供し、センター研修も積極的に受け入れ、各地の大規模接種センター開設・運営の大きな後押しとなった。
◆これまでの新型コロナ対策に係る活動などで得られた知見や経験等を生かし、国家的なプロジェクトを大成功に導き、自衛隊医療部門の実力を遺憾なく発揮できた。
◆官民連携事業を通じて数多くの貴重な教訓【ベクトルを揃えた目的意識・明確な任務分担・適材適所の配置・
良好なコミュニケーション・タイムリーな情報共有等】を得た。