図書紹介
令和7年
「中国を刺激するな」が日本を滅ぼす
防衛「チーム安倍」が封印を解く
著者 岩田清文 島田和久 武居智久
中国軍の行動を見ると、安倍晋三総理が遺した政治的な対中抑止力は失われ、中国は日本政治の流動化を見透かして、力による一方的な現状変更を加速しているのかもしれない——。
安倍政権で陸上幕僚長、防衛事務次官、海上幕僚長を務めた防衛「チーム安倍」が、日本の政治が語らない中国、台湾、核、憲法、靖国問題の封印を解く。以下本文より抜粋。
◆ある国会議員が「台湾問題は靖国問題より重いのだ」と呟かれたのを
聞いたことがあります。
◆岸田総理は(三文晝の)報告の中で、中国に関する「最大の戦略的な
挑戦」という重要な部分には言及しませんでした。
一方、首脳会談の後、2024年1月の国会における施政方針演説で
は、中国との関係は「戦略的互恵関係を包括的に推進する」と宣言し
ています。
◆(十段線が)日本の領海の中に引かれているのですよ。ところがわが国政府はこれに対して、一切文句を言
っていない。
過剰なまでに中国に気を遣ってきた現実が浮き彫りになる。タブーを排した衝撃の書。
発行:産経新聞出版
定価:1210円(税込)
【著者紹介】
◇岩田清文(元陸上幕僚長)
◇島田和久(元防衛事務次官。全国防衛協会連合会副会長兼理事長)
◇武居智久(元海上幕僚長)
第2次世界大戦、最後の全面戦争
日ソ戦争
帝国日本最後の戦い
麻田雅文著
日ソ戦争は、8月15日の玉音放送後も続けられた戦いだ。
すでに日本が敗北必至の8月8日、ソ連は満洲をはじめ南樺太、千島列島に攻撃を仕掛けてきた。9月上旬まで続く1ヵ月ほどの戦いながら、両軍の参加兵力は200万人を超え、第2次世界大戦最後の全面戦争となる。
これまで日ソ中立条約破棄、非人道的な戦闘など断片的には知られてきたが、この本では米国のソ連への参戦要請から、各地での戦闘の実態、終戦までの全貌を一書で描き切った初の作品である。
敗戦前後、日本は膨大な公文書を破棄したため、この戦争は未解明な部分が多かったが、この本では、ソ連が持ち去った「鹵獲関東軍文書」など、新たな史料を駆使して、未解明だった部分も描き出している。
敵の人権を無視し、支配地の人々を連行するソ連=ロシアの「戦争文化」は、第2次世界大戦中の独ソ戦でも、またこの日ソ戦争でも顕著であり、現在のウクライナ戦争の悲劇を示唆する。ロシアの戦争を知るうえでも手に取って欲しい。
発行:中央公論新社
定価:1078円(税込)
ボーン上田賞受賞記者渾身の書き下ろし
独裁が生まれた日
習近平と虚構の時代
大熊 雄一郎著
憲法に規定された国家主席の任期制限を撤廃して、長期支配の道を邁進する習近平指導部。この全体主義国家は、いつ、いかなるかたちで生まれてきたのか? また、この新たな独裁は毛沢東の時代といかなる連関があるのか?そして、独裁はいつ終わるのか?
本書は、党・国家の中枢から翻弄される市井の人々まで、一人ひとりの声に耳を澄ませながら、新たな独裁が生まれた節目や出来事に焦点を当てていく。独裁者に墨をかけた日、拷問いすに縛りつけられた日、毛沢東になり損ねた日、侵略を支持した日――。その多くは中国共産党の正史はもちろん、今後も歴史書や学術書にも記録されることはない。なにげない一日だ。
権威主義と先端技術の結合、党内の権力バランスなど新たな独裁については様々に分析されてきた。ただ、権力の日常浸食プロセスは、そんな大げさなものではないかもしれない。本書はそう問いかける。
独裁体制下、身の危険も顧みず、習近平指導部に肉薄して次々スクープを放ち、ボーン・上田賞を受賞した記者渾身の書き下ろし。
発行:白水社
定価:2750円(税込)
憲法学者のもうひとつの落第人生
ユーモアの玉手箱
駒澤大学名誉教授
西修(芸名:またも家楽大)著
改憲派の憲法学者として憲法のみならず国防問題など多数の著作を持つ著者のもうひとつの顔が「しろうと落語家」。大学時代に入部した落語研究会がきっかけで本格的に落語の沼にハマり、そのキャリアは60年以上にもわたる。本書は、その芸名=またも家楽大としてのアナザーサイド自伝とともに、これまで作り溜めたショートジョークやアレンジ落語を集大成したもの。
冒頭、マクラ代わりのアナザーサイド自伝では、早稲田大学落語研究会時代に若手時代の七代目・立川談志、五代目・三遊亭圓楽両師匠から教わった話や、『わせだ寄席』での三代目・古今亭志ん朝との接点、地元の富山に巡業して母の前で一席演じたりといった楽しくも興味深いエピソードの数々が披露される。
そして本編。軸となるのは全5本のアレンジ落語で、これらを「日本一周ドライブ旅行」「世界の旅」「いろはカルタ・ことわざ」など、テーマ別のショートジョークやギャグ集が彩る構成。いずれも読み進めると自然に頬が緩んでくるものばかりだが、五代目・古今亭志ん生が得意としていた『火焔太鼓』のアレンジ版『かえる憲法』など、随所に改憲派憲法学者の顔を垣間見せて本書全体を引き締める隠し味にしているところは著者の本領発揮といったところだろう。
発行:㈱産經新聞出版
定価:1430円(税込)