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図書紹介

令和7年

防衛協会会報第172号(7.10.1)掲載

 

習近平の最大のターゲットは日本!

「台湾有事と日本の危機」

習近平の「新型統一戦争」シナリオ


峯村健司 著(PHP研究所)  

 

 朝日新聞で北京・ワシントンの両特派員の経験を持つ著者が、中国、台湾で20 年にわたり築いた人脈、情報網を駆使した取材によって習近平主席の思惑をあぶり出し、緊迫度が増す台湾情勢に対する日本のリスクヘッジについて緊急提言します。

 著者は、生前の安倍晋三元総理にも「台湾有事」を直接レクチャーしました。特に強調した次の2点について、安倍氏は「つまり台湾有事はまさに日本の有事なんですね」と低くつぶやいたと言います。

①中国人民解放軍の内部資料などには、中国軍は台湾侵攻の際、日本の排他的経済水域(EEZ)をはじめ、在日米軍基地や自衛隊基地にミサイル攻撃することが明記されている。

②中国の艦艇により台湾周辺を封鎖する海域は、日本のシーレーン(海上交通路)とほぼ重なり、日本のエネルギーや食料供給に深刻なダメージをもたらす。(本文より)

 さらに、中国の武力行使事態に備えていない日本政府・自治体のリスクを挙げ、日本企業と日本人が直面する悲惨な実態を詳細なシミュレーションの元、明らかにします。「政治家による迅速・果断な事態認定を」「「国民保護」を防衛省・自衛隊任せにしない」「自衛隊員の処遇改善」など8つの提言を、今後日本が検討すべき重要項目として挙げました。

発行:PHP研究所

定価:1188円(税込)

■著者略歴

峯村健司(みねむら・けんじ) キヤノングローバル戦略研究所上席研究員。

北海道大学公共政策大学院客員教授。1974年、長野県生まれ。朝日新聞入社後、北京・ワシントンで計9年間特派員を務める。ハーバード大フェアバンクセンター中国研究所客員研究員、朝日新聞編集委員(外交・米中関係担当)を経て現職。2011年、優れた報道で国際理解に貢献したジャーナリストに贈られるボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

 著書に『十三億分の一の男』(小学館)、『潜入中国』(朝日新書)、『ウクライナ戦争と米中対立』(共著、幻冬舎新書)など、監訳書に『中国「軍事強国」への夢』(劉明福著,文春新書)がある。






防衛協会会報第171号(7.7.1)掲載

 

元隊長が語る自衛隊音楽隊奮闘記

音楽隊に「敬礼っ‼」

元陸自中央音楽隊隊長

樋口孝博   

 

国賓を招いた式典や、オリンピックなどで国を代表して演奏を担う自衛隊の音楽隊。本書は、陸上自衛隊中央音楽隊など、各地で音楽隊長を歴任してきた筆者が、音楽隊の一般には知られざる姿を、端的で分かりやすい文章で紹介しているものである。

 例えば、東京競馬場で行われる日本ダービーでのファンファーレ演奏でのヒヤッとしたハプニングや、2002FIFAワールドカップの決勝戦でのブラジル国歌吹奏の裏話、昭和天皇の「大喪の礼」の奏楽曲《

哀の極み(かなしみのきわみ)》について、ほふく前

進の訓練をする著者の経験談など、とても興味深い逸話が満載の一冊となっている。

 もちろん、こうしたエピソードだけでなく、自衛隊の広報活動も担う音楽隊の魅力や、音楽隊員になるまでの道のり、隊員たちの駐屯地での日常生活の様子

も、あるがままに綴られている。

 いつもは表面的な部分しか見ることのできない音楽隊の真の姿を知ることで、その演奏も、またひと味違ったものになるだろう。ぜひ本書を読んで、自衛隊音楽隊の素晴らしい演奏をより楽しんでほしい。

発行:(株)音楽之友社

定価:1980円(税込)  

■著者略歴

樋口 孝博(ひぐち たかひろ)

 武蔵野音楽大学(トランペット専攻)を卒業後、中学校教諭を経て陸上自衛隊に入隊。第1混成団音楽隊(沖縄)、第12音楽隊(群馬)、北部方面音楽隊(札幌)、中部方面音楽隊(伊丹)の各隊長を歴任する。平成6年度東京藝術大学科目等履修生。

 在任中、多数の国賓・公賓に対する式典演奏を担任する。また、1998年長野オリンピック、FIFAワールドカップ、陸上自衛隊音楽隊初の海外公演となる《韓国国際軍楽祭》にも従事し、行事の成功に寄与した。2017年中央音楽隊長就任後は、英国《エディンバラ・ミリタリータトゥー》、モスクワでの国際軍楽祭《スパスカヤタワー》に参加し、国際交流の一翼を担った。またレコーディングも数多く、東芝、日本コロムビア、ブレーンなどからCDがリリースされている。

 陸将鋪として2023年3月退官した後は、埼玉県の中学校および高校で教鞭をとっている。 





防衛協会会報第171号(7.7.1)掲載

定説とほとんど真逆


陸将、海将と振り返る


「昭和大戦」

クリティカルシンキング(批判的思考)

著者  小川清史  伊藤俊幸    桜林美佐 

 

 元陸将・元海将が問う「本当の敗戦の本質」とは? 本書は、大東亜戦争のターニングポイントともいえる、ノモンハン事件、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島の戦い、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦と7つの戦いを取り上げる。

 議論はプロの軍人としての視点に加え・リーダーシ

ップ・フォロワーシップ・戦略思考と作戦術・インテリジェンス・組織論など多岐にわたる。そこで、浮かび上がるのは、誰も責任を

取らない組織運営や、官僚作文的な行き当たりばったりの全体計画の無さ、など現在の日本にも通じる問題点だ。また、通説の様に語られていたことは真相と大きく離れていたのではないかという点である。「真珠湾攻撃はメインの戦いではなかった」「ミッドウェー海戦は空母攻略戦ではなかった」「ノモンハンは牟田口に責任を押し付けた形」「沖縄戦の陸軍の奮闘」など、是非、読んでもらいたい。

 終戦からまもなく80年。祖国日本のために、尊い命を懸けて戦った英霊に、心からの感謝の念を捧げるためにも、先の大戦の問題点・教訓・研究は、振り返り続けたいものである。

発行:(株)ワニブックス

定価 1980円(税込)

【著者紹介】

◇小川清史:元陸将・西部方面総監、全国防衛協会連合会常任理事

◇伊藤俊幸:元海将・呉地方総監、全国防衛協会連合会常任理事

◇桜林美佐:防衛問題研究家

 

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