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一筆防衛論

令和4年

常任理事 武内 誠一                防衛協会会報第160号(4.10.1)掲載

 

ロシアのウクライナ

侵攻と募集


ロシアのウクライナ侵攻から約半年、長期間の作戦を遂行するためには、戦闘員の補充も欠かせない要素です。ところで、今回の侵攻が日本の自衛隊員の募集に与える影響について現場の方々に尋ねてみました。侵攻後の世論調査において、「ロシアのウクライナ侵攻が、中国の台湾への武力行使など、日本の安全保障上の脅威につながると思う」と答えた人は81%であり、募集へのプラス要因になっているのではとの私の予想とは違い、マイナス要因になっているとのことでした。「あのような悲惨な状況に自分の子供が巻きまれるのは耐えられない」という親(特に母親)の反対から、入隊あるいは受験を控える人が多いとのこと。これを聞き、思い出したのは、東日本大震災後の募集の状況です。国民の90%を超える方々から高い評価受けた自衛隊、現場に迷彩服の自衛官がいてくれるだけで安心できると言われた状況ですから、さぞかし募集にも好影響との予想に反し、大変厳しい状況でした。それは、「あの災害派遣のような厳しい、辛い、大変なことを自分の子供にはさせたくない」という母親の反対が大きな要因だと聞きました。自衛隊に限らず将来の進路を決めるにあたり、母親の影響は極めて大きなものがあります。私は、防衛協会の一員として、「事に臨んでは危険を顧みず国家・国民のために尽くす」自衛隊員という職(任)が、いかに崇高であり重要であるかを、多くの方々特に女性の方々に伝える努力を続けていかなければならないと痛感しております。

それ以上に課題と感じることは、国を守る気概についてです。18歳以上の男女に対するアンケート「もし戦争が起こったら国のために戦うか?」という2017年の世界価値観調査において、日本は13.2%が「はい」と回答しております。これは、79カ国中最も低く、次に低い国(リトアニア)が、32.8%であり、突出して低い結果です。また、年齢層別に時系列で比較したデータでは、1981年から2017年の間、30歳以下は、11.5%から8.8%に減少しておりますが、50歳以上は、31.8%から16.6%に大きく減少しており、中高年の意識に問題がありそうです。この点も踏まえて、国民の防衛意識の高揚という防衛協会の目的達成のための活動を行っていくつもりです。

(元陸自富士学校長)

常任理事 伊藤 盛夫                防衛協会会報第159号(4.7.1)掲載

 

防衛3文書改訂に期待する


 昨年10月、岸田首相は就任時の所信表明演説で防衛3文書の改訂を表明、敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せずに改訂作業を行うよう関係閣僚に指示し、今年末までには新たな防衛3文書が策定されることになっている。

なお、防衛3文書とは、

①国家安全保障戦略(2013年12月策定)

②防衛計画の大綱(2018年12月策定)

③中期防衛力整備計画(2018年12月策定)

以上の3文書をいう。


 これらの改訂を急ぐ背景には、覇権主義的な動きを強めて軍拡に突き進む中国と、核・ミサイル開発に邁進

し、頻繁にミサイル発射を繰り返す北朝鮮の存在により、我が国を取り巻く安全保障環境が文書策定時の想定

を超え、悪化の一途をたどっていることがある。


 これに輪をかけるように、今年2月には「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」という、国際秩序の根幹を揺るがす重大事態が発生した。この大波乱の幕開けとなった今年は、国内外の節目となる重要行事・政治日程が続いている。

◇5月:「沖縄本土復帰50周年」(1972年5月15日に米国から返還)

◇9月:「日中国交正常化50周年」(1972年9月29日の日中共同宣言による)

◇10月頃:「5年に1度の中国共産党大会」(習近平政権が異例の3期目を目指す)

◇11月:「米中間選挙」(次期大統領選を占う11月8日)

 いずれも、日本の外交・安全保障政策に深く関わる重要な出来事といえよう。


 ロシアの一方的な侵攻により、多くの市民が犠牲になり、街が無残にも破壊し尽くされている様子が、ウクライナから毎日リアルタイムに映像となって映し出されている。この、現在進行形で起きている悲惨な現実は、我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさを日本国民自身に強く認識させ、ぬるま湯体質から脱却すべしという警告を与えていることは間違いない。その意味で、今回のウクライナ問題は、我が国に対し「安全保障政策に国民一丸となって真剣に取り組みなさい」という強い警鐘が鳴らされたものといえよう。


 いずれにしても、世界地図の安全保障体制の色分けが大きく変わろうとしている中で、防衛3文書の改訂作業が進行していることは確かだ。我が国の安全保障政策を大きく左右することになるであろう今回の防衛3文書の改訂には、よりスピード感を持った抜本的な防衛力の強化策が求めら

れ、その成果に大いに期待したい

 最後に、米元国家安全保障担当大統領補佐官マクマスター氏の「戦場としての世界」(BATTLEGROUNDS)の日本語版序文から引用したい。

 「我々はどのようにして自由世界を守り、来るべき世代のためにより良い未来を力を合わせて築いていけるだろうかー。」 

(元防衛省経理装備局長)

常任理事 小川 清史                防衛協会会報第158号(4.4.1)掲載

 

 台湾の防衛構想について

2017年から採用されていた台湾の対中防衛戦略であるODC(Overall Defense Concept)の文字が、台湾2021QDR(四年期国防総検討)から消えた。

 この台湾の防衛構想ODCは、2008年米側発表の戦略と足並みをそろえて策定された防衛構想であった。その防衛構想が、台湾側から突如一方的に破棄されたかのような状況である。

 米側は、この事実を受けて、ODC構想に戻るように台湾を説得するとともに、もし異なる構想を採用するのであれば、新たな構想を早期に米側に提示すること、それに応じて米側ODCも軍事戦略を見直すことが必須になる旨が報じられている。

 一方、台湾側の発表によると、ODC構想を捨てたのではなく、2021QDRにある軍事戦略には、ODCは含まれているとの見解である。

 どちらが正しいのかは、その舞台裏を知らないので判定はできないものの、明らかに米台間には防衛構想を巡って認識の不一致があることが見て取れよう。

 台湾が構想を修正もしくは変更したのは明らかである。台湾が構想を見直した理由を2点あげてみよう。

その一つは、「中国と台湾の軍事力構成があまりにバランスを欠いた非対称状態にとどまるような防衛構想であり、中国の侵攻に対して必要な期間持ちこたえ得るのか確信が持てないこと」であり、あと一つは、「中国による超限戦、情報戦(欧米ではマルチドメイン作戦と命名)に対応できない防衛構想であること」が挙げられるのではないだろうか。

 米側は、これに対して、ODCに基づいた作戦によって、米軍来援まで台湾は持ちこたえ得る、超限戦や情報戦は国土防衛にとっては死活的ではないと台湾に主張しているようである。

こうした両者の認識がずれている状況は、冷戦期のNATOの大量報復戦略に反対した旧西ドイツの主張が思い出される。

 西ドイツは自国領土が戦場となる可能性が極めて高い中、米国の核兵器の拡大核抑止に疑問を呈したのであった。協議の結果、あらゆる脅威レベルに対応できる「柔軟反応戦略」へとNATOの戦略は修正されたのであった。そして、通常戦力で劣勢であった米陸軍は、欧州正面の旧ソ連軍のOMG(作戦機動軍)を阻止するために、エアランドバトルドクトリンを1982年に確立した。

 現在、東アジア地域の中距離核戦力バランスは中国優位である。更に、通常戦力においても台湾と台湾海峡周辺における即時使用可能戦力は中国側が上回っている。

 台湾にとっては、冷戦期のNATO加盟の西ドイツとは異なり、同地域に台湾の所属する集団安全保障の枠組みは存在しない。更には、第一列島線諸国や東・南シナ海諸国の足並みも完全には揃っていない。

 台湾の抑止力を向上することが当事国たる台湾のみならず日本にとっても最重要課題である。

 日本にとって台湾有事は自国有事であるとの認識が深まりつつある。

 台湾の防衛構想の見直しを巡る一連の協議が米と行われる中、日本もより積極的に取り組むことが期待されよう。

(元陸自西部方面総監)

常任理事 吉田 浩介                防衛協会会報第157号(4.1.1)掲載

 

 自衛隊が本来任務に

  専念できる改善措置を

 

新型コロナウイルスとの闘いは2年が経過しようとしています。この間、防衛省・自衛隊はクルーズ船対応、感染拡大防止のための各種活動、大規模ワクチン接種会場の設置・運営等様々な場面において極めて重要な役割を果たしてくれました。

 クルーズ船やホテル等施設に隔離された人々に対する生活支援、あるいはクルーズ船から医療機関への輸送支援等の自衛隊が行った活動は自衛隊でなければできない、あるいは自衛隊がやらなければならない業務だったとは思えません。担当すべき部署が不明確、あるいは本来的に担当すべき部署が作成する対処計画に必要な活動が盛り込まれていない等、緊急性という理由から防衛省・自衛隊が引き受けざるを得なかったというのが実態だったと思います。厳しさを増す安全保障環境を踏まえれば、自衛隊が活動を開始したとしても、本来的に担当すべき部署が遅れても、然るべき対応を取り、自衛隊から業務を引き継ぐ等、自衛隊が本来の任務に専念できる措置が取れられる必要があったと思います。

今次コロナウイルス対応の教訓を活かし、防衛省・自衛隊が主体的に対応しなければならないようなことが繰り返されないよう、また、従事する自衛隊員が誇りを持てる業務を付与する等、将来も起こり得る感染症を見据えて早急な改善措置が講じられることを切に願います。

加えて、ワクチン接種について、医療従事者や高齢者等は優先接種者に指定されましたが、自衛隊員(一部の自衛隊医療従事者等を除く)は優先対象者に指定されませんでした。諸外国のように国防、治安、消防等社会生活・活動の基盤を提供する業務に従事する人々が優先接種者に指定される必要があると考えます。

                                      (元空自補給本部長)

過去の一筆防衛論(一筆防衛論:平成27年~、ひとりごと:平成18年~27年)

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