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望映鏡

「望映鏡」は、都道府県協会会長からの寄稿記事です。

令和7年

                          防衛協会会報第172号(7.10.1)掲載

「30年の教訓を胸に、平和と安全を次世代へ

兵庫県防衛協会 会長 
川崎 博也

   

 防衛協会の皆様におかれましては、日頃より、防衛意識の高揚および自衛隊への支援・協力にご尽力なされておりますこと、兵庫県防衛協会を代表して、皆様に心より感謝申し上げます。

 本年、阪神・淡路大震災から30年という大きな節目を迎えました。1995年1月17日、未曾有の大災害が本県を襲い、6,000名を超える尊い命が失われました。あの日の記憶は、今なお私たちの心に深く刻まれています。

 震災直後、自衛隊は発災からわずか数時間で現地に入り、倒壊家屋からの救出、道路啓開、給水活動などに昼夜を問わず従事しました。特に、孤立した地域への物資輸送や仮設入浴施設の設置は、被災者の命と生活を支える大きな力となり、その献身的な姿は、県民に希望を与えるとともに、自衛隊と地域社会の絆を一層強める契機となりました。この経験は、防衛と防災が表裏一体であることを私たちに教えてくれました。

 本県は、日本海と瀬戸内海の両海域に面するとともに、淡路島を県域に含む、全国でも稀有な地理的特性を有し、古来より交通・物流の要衝として発展してきました。姫路城に象徴される歴史的防備の要衝であると同時に、現代では神戸港を中心に国際物流の拠点として、平時・有事を問わず重要な役割を担っています。

 また、県内には陸・海・空の自衛隊施設が整備されています。陸上自衛隊は、中部方面総監部を擁する伊丹駐屯地をはじめ、千僧駐屯地、川西駐屯地、青野原駐屯地、姫路駐屯地などが所在し、北陸、東海、近畿、中国、四国地区2府19県の防衛・警備・災害対応の中核を担っています。海上自衛隊は神戸市東灘区に阪神基地隊を置き、大阪湾、紀伊水道、四国沖の防衛警備を担当し、さらに航空自衛隊は近畿圏の防空網と連携し、兵庫の空を守っています。

 兵庫県防衛協会は、こうした自衛隊との信頼関係を基盤に、地域の安全を守るための活動を展開しています。具体的には、防衛懇話会の開催、自衛隊施設見学や研修の実施、会報誌や広報活動を通じた防衛意識の啓発などに取り組んでいます。また、災害時における自衛隊との連携強化訓練や、阪神・淡路大震災の教訓を伝える防災啓発事業も継続的に実施しており、今後もこうした活動を一層充実させてまいります。

 震災から30年を経た今、私たちは「備えの大切さ」を改めて胸に刻み、平和と安全を守るために何ができるかを問い続けなければなりません。兵庫県防衛協会は、全国の皆様と力を合わせ、未来に向けて確かな一歩を踏み出してまいります。

 引き続き、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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