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防衛時評

令和2年

常任理事 山田真史                 防衛協会会報第152号(2.10.1)掲載

 航空輸送の自由と制約
 
 本年1月末、中国武漢市がコロナ流行の為に都市封鎖となった。日本政府は、中国湖北省に在留し、帰国を希望する全ての日本人とその御家族を帰国させるため、民間航空会社にその任を委ねた。当該会社は当日乗務が可能な社員の中からクルーを指名・編成し、計5機のチャーター機を運航、合計828名を帰国させた。民間航空会社が緊急時に在留邦人を輸送した事は多くの国民にとって新鮮だったのではないだろうか?
 企業はSocial Responsibilityを認識し社会貢献を行う意識がある。ただ、今回は感染リスクのある他国に取り残された邦人を輸送するという国の危機管理に関わる事だった。国への貢献という当該航空会社の意識及びその行動は大変印象深く好評価を受けた。一方で、なぜ国の機関、自衛隊が動かなかったのか?と疑問に思った人も少なくないだろう。
 
 空の世界には5つの自由がある。
①相手国の領域を無着陸で無害横断飛行する自由
②相手国の領域に、給油、整備等の目的で離着陸する自由
③自国領域内で積込んだ貨客を相手国の領域内で取りおろす自由
④自国の領域に向かう貨客を相手国の領域内で積込む自由
⑤相手国の領域内で第3国の領域に向かう貨客を積込み、又は第3国の領域で積込んだ貨客を取りおろす
 自由
           【国際航空運送協定(IATA:International Air Transport Agreement)第1条】
 
 この協定の対象はあくまで民間航空機であり、自衛隊等、国が使用する航空機にはこの「自由」は保障されていない。国が使用する航空機の「他国への乗り入れ」「他国が管理する飛行情報区の通過」には相手国の承認が必要であり、二国間による煩雑な手続きと時間を要する。今回の輸送については「あらゆる手段を講じる」との総理発言もあり、自衛隊機の派遣も日中間で調整がなされたものと推察するが、定期路線を有する民間航空会社との調整は容易であり、加えて民間航空会社が輸送に関して承諾していれば極めてスムーズに実行できる。
 2008年、中国四川省で発生した地震に対して日本からの支援物資を送るため政府は自衛機を派遣するべく調整をしたが実現しなかった。当時、「中国国内で『援助には感謝するが、日本軍(自衛隊)の飛行機が入るのは困る』などといった否定的世論や『地震よりひどいニュース』といった批判などが中国国内に表れ始めたため、自衛隊機による輸送は見送られ民間チャーター便で支援物資が輸送された」と報道された。また、当時の官房長官は「できるだけ早く必要な物資を運べるよう検討していたし、中国側もそういうことで相談をもちかけてきたのだろうが、摩擦が起きてまでやるようなことではない」とも述べている。自衛隊機は国際的に軍用機であり災害時の救援であっても相手国の世論や外交関係に大きく影響を受けるのは必然である。
 もし、仮に韓半島で南北間に軍事衝突が発生した場合、約4万人の在留邦人の輸送を如何にすべきか?戦闘開始前や戦闘の烈度が低い場合は民間機による邦人救出が可能である。しかし、戦闘の烈度が高くなり、自己防御の術を持たない民間機では乗員の安全も確保できないと判断された場合は自衛隊機による輸送しか残っていない。その時、韓国は自衛隊機の乗り入れを承諾するだろうか?  
 他国における災害や紛争発生時に自国民の生命を守ることは国家の責務であり、その方法や手段は国の事情や国家間の関係に大きく依存する。緊急時に自衛隊が動くのは道理だが、我が国の希望通りに相手国が動くとは限らないのも事実である。官ができない事を民で、民ができない事を官で担当するのは勿論、状況によっては官民協同で実施することも研究を進め、具体的な計画に反映することが肝要であろう。
 旅は人間のDNAに刻み込まれた欲求との説もある。旅は好奇心を煽り、癒しも与えてくれる。今後、コロナ禍を克服した時、スタイルに変化はあるものの旅する機会が戻ってくる。海外を訪れる際は、日本と訪問国との関係を知ることも安心安全な旅行に寄与することを十分に心得ておく必要がある。

常任理事 伊藤俊幸                 防衛協会会報第151号(2.7.1)掲載

米軍人は国内派遣を拒否する
 
 5月末の白人警察官が、黒人男性フロイド氏の首を押さえつけて死亡させた事件をきっかけに、全米で大規模な抗議運動が巻き起こったことはご承知の通りです。抗議運動の初期に略奪や暴力行為が発生したことから、トランプ大統領は各州知事に対し「支配せよ」と号令、「州兵」だけでは鎮圧できないと思ったのか「連邦軍を投入する」と発言しました。
 一方エスパー国防長官は、「現段階では(連邦軍を動かす)反乱法を適用する段階にない」と発言。また、大統領に同行しているうちに、教会前での写真撮影に同行してしまったことに対し、「私はあの場にい
るべきではなかった。あの瞬間、あのような状況に私がいたことは国内政治への軍の関与という認識を作り上げてしまった」と、ミリー統合参謀議長は謝罪しました。
 今回は、米国における政軍関係について考えてみます。
 米軍は米国市民に絶対銃を向けない
 「連邦軍」と日本で報じられましたが、これは在日米軍などのいわゆる「米軍」のことです。「米陸軍を動かすためには関連法令が、この部屋の壁一面に並ぶほどの数の法律がある。海軍はこの一冊だけどね」また、「南北戦争の反省から米陸軍は絶対に米国民市民に銃を向けない」20年前、在米防衛駐在官だった筆者に米軍の知人が言ったことを思い出します。
 約140年前の「1878年陸軍歳出法」、いわゆる「民警団法」という法律には「陸軍又は空軍の一部を、民警団又はその他(国内)法執行のために故意に使用する者は、本法に基づき罰金もしく2年以下の懲役、又はその双方を科す」とあり、これが今も有効なのです。
 だからこそ、マティス前国防長官は「約50年前、軍に入った時、私は憲法を支持し擁護するとの宣誓をおこなった。同じ宣誓をした部隊が、いかなる状況であっても同胞市民たちの憲法上の権利を侵害する命令を受けようなどとは夢にも思ったことはない」と、トランプ大統領を非難したのです。
臆せず正しいことを発言する軍高官
 その後、マレン元統合参謀本部議長、ケリー前大統領首席補佐官、パウエル元統合参謀本部議長などの元米軍大将による政権批判が続きました。シビリアンコントロール上、軍隊は大統領の命令に絶対服従と日本では思われていますが、正しくありません。
 「自説を主張してよいのは決定が為されるまで、決定された後はそれを全力で推し進め、すべての力をそれに注ぐべきである」と自衛隊では教えられます。しかし「文明の衝突」で有名なサミュエル・ハンティントン博士は、軍⼈の国家に対する責務には3つあるとして、⽂⺠指導者(大統領)の命令を実行する「執行機能」だけでなく、「代表機能」と「助言機能」が同等に重要であると指摘しています。
 「代表機能」とは、「国家の軍事的安全保障上、何が必要であるか」を国家において代表する機能。「助言機能」とは国家の意思決定に際して、各選択肢がもたらす影響を軍事的観点から分析し報告する機能です。つまり軍人は、単に大統領から命ぜられたことを為すだけではなく、軍事分野のプロとして「国家国民を代表して意見具申」し、大統領が間違っていたら「意思決定を覆させる存在」なのです。そしてそれでも受け入れられなけれ
ば、職を賭して訴える。これが軍高官(将官)の国家に対する責務だとされているのです。
  (元海自呉地方総監)

常任理事 吉田浩介                 防衛協会会報第150号(2.4.1)掲載

~一極集中の危うさ~
 年度末に中国湖北省武漢で発生した新型コロナ・ウィルス(COVID―19)は世界規模で感染が拡大し、中国国内はもとより、各国は特に経済面において極めて大きな影響を受けた。この中国を起点とした感染症の問題を通じて、一極集中の危うさと防衛装備品調達元の一極集中回避の必要性を改めて感じた。
 中国は昨年末の総人口が14億5万人で、また、昨年のGDP国内総生産の成長率は6.1パーセントと、「世界の工場」と化している。
 その中国でCOVID―19が発生し、多くの中国人が春節の長期休日を利用して中国国内のみならず海外に移動した事により、世界規模で感染が拡大した。
 中国に所在する企業は春節の休暇が終わっても操業を再開する事ができず、感染拡大が収まらないため操業再開時期が幾度となく延期され、1ヶ月以上にわたり操業を停止する事態にまで発展した。また、世界経済が低迷する中、成長が見込める市場と安価な人件費を背景に、近年、あらゆる産業において中国を中核とするサプライチェーンが構築されているために、中国に所在する企業の長期にわたる操業停止により、各国の工場も操業を停止せざるを得ず、各国の産業・経済に及ぼした打撃・損失は極めて大きく、正常化には多大の時間を要すると思われる。
 過去にSAARSやMAARSの事例もあり、このような事が起こると想定されていたと推察するが、当時と異なることは中国に対する一極集中が過度に進展していることだと思われる。そのため受けるダメージも大きくなっている。
 このCOVID―19の発生による各国経済が受けた経済的なダメージを観ていると、最悪の事態に備えるという危機管理の鉄則が忘れられ、単に経済的な合理性と効率性だけが追及された結果であり、一極集中による危うさと冗長性やリスクヘッジ(危機回避策)確保の重要性を示唆する好例となったと思う。
翻って、この視点から我が国の防衛装備品について懸念がある。それは日米同盟による安全保障体制の構築を重要視するがあまり、全ての装備品の調達元が米国に集中する傾向にあることである。
 近年、米国からの有償援助(fms)調達が急増し、10年前に比較し5倍以上の調達額に拡大、全体の契約額の3割弱を占有するに至っており、それに比較し国内調達額は伸びておらず、防衛事業から撤退する国内企業も出ていると防衛白書は指摘している。我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさと不確実性が想定よりも格段に速いスピードで増してきたため、日米共同による対応と米国との相互運用性を優先し、最新の装備品を米国から調達せざるを得ないと理解できる。
 しかしながら、米国だから安心だとはならない。特に安全保障に係る事項については、ひとつの国にのみ依存することは様々な事例が示しているようにリスクを孕んでおり、仮にそのリスクが発生した場合のことを想定し、対処策を講じておく必要がある。
 現在、航空自衛隊はF―35、F―15、F―2という3機種の戦闘機を保有している。F―35及びF―15戦闘機はいずれも米国からの輸入あるいはライセンス生産であり、F―2戦闘機だけが米国との共同開発である。航空自衛隊はこれまで戦闘機の全ての機種を輸入してこなかった。防空の要となる戦闘機であるが故に当然の話である。
 F―2戦闘機の退役が予期される令和10年度頃を目指して次期戦闘機の国内における開発が計画され、そのための予算が今年度予算に初めて計上されたと承知している。
 機種選定はだいぶ先の話となるだろうが、米国にのみ依存することにならないよう願っている。そのためにも国産の戦闘機開発が順調に進捗することを願ってやまない。
(元空自補給本部長)

理事長 金澤博範                  防衛協会会報第149号(2.1.1)掲載

年頭にあたって
 
 中国は急速な勢いで継続的に軍を増強近代化しています。中国の軍事費の一部を示す公表国防費は1989年からの30年間で48倍、2009年からの10年間で2.5倍になっています。このような継続的な投資により、中国は戦略核戦力から中短距離核戦力に至る多様な核ミサイル軍並びに近代的な陸軍、海軍及び空軍を有するに至っており、今や中国は世界有数の軍事大国になっています。
 このような軍事力の増強に伴ってその行動も広範囲に活発化しており内容も高度化しています。2016年には空母「遼寧」が複数の艦艇とともに沖縄諸島の間の海域を通って初めて太平洋に進出し、2018年には「遼寧」及び複数の戦闘艦艇がバシー海峡を通って太平洋上で対抗訓練を実施した旨中国政府が発表しました。その際、警戒監視に当たっていた海上自衛隊機が太平洋上で初めて艦載機の発着艦を確認しています。これらの活動は中国が遠方への戦力投射能力を向上させていることを示すものとして注目されます。
 我が国周辺を見ても、日本海において2016年中国海軍艦艇による対抗訓練の実施が初めて発表され、2017年にも同じ海域で海軍艦艇及び航空機が共同対抗訓練を実施しました。2018年には活動がさらに活発化し、中国艦艇及び中国航空機による対馬海峡及びその上空の通過はそれぞれ17回及び8回確認され前年から4倍以上の増加を示しています。
中国は南沙諸島において2014年以降大規模かつ急速な埋め立て活動を強行し砲台、港湾、滑走路といった軍事インフラを整備し、現在もこの地域の軍事拠点化を進めています。南沙諸島に先がけて中国は西沙諸島の軍事拠点化も進めており、この地域に戦闘機や爆撃機を展開しています。こうした動きは、周辺の東南アジア諸国のみならず国際社会全体の懸念事項となっています。
 北朝鮮は「先軍政治」と呼ばれる軍事優先の政治方針の下、これまで6回の核実験を実施しているほか近年は前例のない頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返すなど大量破壊兵器や弾道ミサイルの運用能力の向上を図っています。この結果、現在では、北朝鮮は核弾頭を搭載したミサイルを我が国を含む近隣諸国に撃ち込む能力を獲得していると見られています。
 他方において、北朝鮮は2018年の米朝首脳会談などにおいて核実験及びICBM級弾道ミサイルの発射実験の中止を表明するとともに核実験場の爆破を公開しました。しかしながら北朝鮮は現有の核兵器や弾道ミサイルを廃棄しているわけではなく、逆に水中発射の弾道ミサイルの開発を進め、これを発射する潜水艦の建造を行っているなど核戦力の強化を図っています。
 これらを勘案すれば北朝鮮の軍事力は依然として我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威です。トランプ大統領は北朝鮮を交渉の場に引き出して、その核能力を放棄させようとしていますが、その努力が実を結ぶのか慎重に見極めていく必要があります。
 ロシアが極東地域に配備している戦力は冷戦時代のピーク時と比べると大幅に削減された状況にありますが、それでもこの地域には核戦力から通常戦力に至る相当大規模な軍事力が配備されています。ロシアの主要輸出品である石油価格の回復に伴い近年は我が国周辺地域においても軍事力の増強近代化の動きが見られ、それに伴って活動も活発化しています。
 ロシアは従来から我が国の北方領土のうち国後島、択捉島及び色丹島に1個師団規模の地上軍を配備していますが、2016年には択捉島及び国後島に地対艦ミサイルを新たに配備しました。さらに2018年には従来から保有していた択捉島の天寧軍用飛行場に加え新たに建設した民間飛行場を軍民共用化してここに新鋭戦闘機を配備しました。この地域における軍事演習も継続的に行われており、2018年には2500名以上の人員、多連装ロケット、戦車、ヘリ等が参加する演習を実施した旨発表されました。
 ロシア軍機の活動も活発化しておりロシア軍機に対する航空自衛隊による緊急発進回数は高い水準で推移しています。また2019年にはロシア軍機による領空侵犯が2回発生しました。
 韓国政府は、我が国の韓国に対する輸出管理政策の変更に関連し、日韓で締結しているGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を宣言し、親北朝鮮、親中国の立場を鮮明にしました。結局土壇場で破棄は暫定的に先送りされ当面は存続することになりましたが、この韓国政府の行動によって安全保障面での日米韓の連携に大きな綻びが生じてしまったことは否めません。これによって漁夫の利を得るのは中国、北朝鮮とロシアです。この問題はまだ最終的に解決されていません。日米韓の協力関係を損なわない形で問題が解決されることが強く望まれます。
 このように我が国は、中国、ロシアという軍事大国と北朝鮮という軍事優先の無法者国家に囲まれ、我が国を取り巻く安全保障環境は大変厳しいものがあります。このような中、我が国は長い間、我が国自身の防衛努力と日米安保条約を基盤とする日米同盟を2本柱として安全を確保してきました。
 我が国の防衛努力についていえば、防衛関係予算は1980年代をピークとして長期間減少傾向が続いていましたが、2013年度から減少に歯止めがかかり、以降は増加の傾向が続いています。今後もこの傾向を続け実効性のある防衛力を整備していくことが重要です。
 日米同盟についていえば、米国との安全保障面における協力関係をさらに強固にして、日米同盟による抑止力の実効性をさらに高めていく努力が重要です。
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