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武力攻撃事態等における国民のとるべき行動に焦点をあてて解説
全国防衛協会連合会(佃和夫会長)は、令和元年~2年度の調査研究「武力攻撃事態等に備えた、国民保護法に基づく行動」の研究成果を取り纏め、冊子にして3月31日付で発行した。
本冊子においては、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律【国民保護法】」について、個々人の理解の促進を図るため、特に個人の行動に焦点を当て、個人の行動に関わる条文の内容を要約して解説している。
国民保護法は全10章、195条からなる膨大な量の法律で、平成16年(2004年)6月14日に成立し、同年9月17日に施行されて以来、約17年が経過した。同法は、平成15年(2003年)に施行された「武力攻撃事態及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律【事態対処法】」と相まって、国全体として万全の態勢を整備し、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施することを目的としている。
国民保護法は、いくつかある我が国の有事関連法のうち、国民一人一人の行動に関わる最も根本的かつ重要な法律であるが、条文数が多く内容も難解な法律のため、個人のレベルにまで周知徹底を図るのは容易なことではない。同法では、保護される側の国民は、基本的には責任を負わないこととされているが、武力攻撃事態という国の一大事においては、自発的な意思による強制でない協力を期待されている。したがって、いざというときに、誰もが戸惑うことなく行動できるよう、国民としてのとるべき行動に焦点をあて、理解しやすいように解説を加えてマニュアル化した。
国民保護法は、国の責務として、主に国による国民の保護のための措置について規定している。また、都道府県知事の役割が大きく、当該都道府県の区域に係る住民に対する避難の指示・避難住民の誘導措置や救援措置、武力攻撃災害への対処措置等に関し、国民の保護のための措置義務が課せられている。国からの指示を受けてこれらの責務を果たすのが原則であるが、緊急時には国からの指示を待たずに首長独自の判断で行動をとることができるようになっており、特に、都道府県知事にはいざというときの権限が付与されている。
内閣官房国民保護ポータルサイトによると、国民保護法に基づく国民の保護に関する計画の策定状況については、平成17年(2005年)3月に閣議決定された「国民の保護計画に関する基本方針」に基づき、各省庁・都道府県・指定公共機関から市町村・指定地方公共機関に至るまで、「国民保護(業務)計画」の策定が進んでおり、令和元年7月現在で、ほぼ100%の整備状況である。これらの計画に基づく「国民保護に係る国と地方公共団体の共同訓練」の実施状況は、国・県・市・自衛隊・海上保安庁・警察・消防・鉄道・医療機関等が参加する大規模な訓練へと着実に進化を遂げてきた。基本方針が定められた平成17年以降、全都道府県が複数回の共同訓練(実動又は図演、あるいは実動と図演の両方)を積み重ねてきており、その実施頻度は年々高くなっている。令和2年6月に内閣官房から公表された令和2年度の共同訓練の実施予定団体は、コロナ禍の最中にあって、実に27道府県に及んだ。この訓練の実をあげるためにも、国民一人一人が法律の趣旨を良く理解したうえで、積極的に共同訓練に参画していくことが求められている。
本冊子は、近日中に全国防衛協会連合会会員及び関係先に配布の予定である。