本文へスキップ

全国防衛協会連合会は、防衛意識の高揚を図り、防衛基盤の育成強化に寄与するとともに、自衛隊の活動を支援・協力することを目的とした民間の全国組織です。

TEL. 03-5579-8348

〒162-0844東京都新宿区市谷八幡町13東京洋服会館9階

会報紹介(ひとりごと/一筆防衛論)

お知らせ:このページの防衛協会会報連載記事「ひとりごと」は129号(27.1.1)で終了し、同130号(27.4.1)からは「一筆防衛論」として新たにスタートすることとなりました。
 
 連載記事「ひとりごと」の過去掲載分は、「ひとりごと」を参照してください。

     

●2面 一筆防衛論  

              『抑止とは、平和を守る戦い』
                   
                   常任理事 千葉 コ次郎

 国家安全保障の目的は、我が国の平和と安全を維持するために、所要の国力を充当して、抑止力として備え、対処力として行使することである。 抑止力は、経済力、技術力、外交力、防衛力等が相俟って効果を発揮し、紛争を未然に防止する。
 侵略・侵害を思いとどまらせるという、心理的効果を狙うものである以上、万が一脅威が及んだ場合には、これを速やかに排除できるという対処力(懲罰能力)が裏付けとして不可欠である。 防衛力は、相手の目に映りやすい対処力であり、シームレスな法整備や作戦機能、教育・訓練、部隊編成・配置等、特に、国境に配置される陸上戦力が不退転の国防意志として周辺国に示される。
 また、防衛力は、その運用を演練することで実効性を示威し、抑止効果を更に増長する。米陸軍・海兵隊と離島奪回訓練をする陸自部隊、米海軍艦船の護衛任務に就く海自部隊、米戦略爆撃機を護衛訓練する空自部隊等あらゆる日米共同訓練並びに多国間訓練が抑止効果の拡大をもたらしている。
 抑止は、あくまでも直接脅威が我が国に及ぶことを回避するためのものであり、「如何に引き金を引かせないか」という平和を守る戦いそのものである。平和とは、脅威に付け入る隙を見せない安全保障政策、特に防衛努力の収斂によって抑止状態を維持することであり、云わば、均衡のとれた「力いっぱいの綱引き」状態の継続ともいえよう。
  その努力の身近な第一歩が、自分の国は自分で守るという愛国心を基本とした国家安全保障を支える社会的基盤の強化であろう。

●138号(29.4.1)一筆防衛論

                   「自衛官と使命感」
                     
                     常任理事 石野 次男

 使命感とは、辞書には「自分に課せられた任務を果たそうとする気概」とありますが、これだけで理解できる方は少ないと思います。ここに、使命感という言葉を適切に使用された事例を紹介します。
 それは、平成3年6月から平成7年12月までの約4年半もの間実施された雲仙普賢岳の火砕流に対する災害派遣の撤収行事における長崎県知事(当時)の挨拶です。「人の命は地球よりも重いと思っていたが、その人の命よりも、もっと大切な使命感というものがあることを初めて知りました。」と語っています。
 あの荒れ狂う火砕流の中へ身の危険を顧みず決死の思いで飛び込み、人命救助に当たった自衛官の姿を見て感動し、使命感の大切さを言葉にせずにはいられなかったものと思います。
 自衛官の行動は東日本大震災時でも同様です。雪が降る中、胸まで水に浸かる状況下での捜索救助活動、多数のご遺体の搬送、高濃度の放射線量下での消火活動等、どれもこれも使命感という言葉を抜きにしては語れません。
 この使命感は、日頃の厳しい訓練や先輩達の行動等を通して人の命の重さとその命を守ることの大切さを学びつつ醸成されてきたものです。平和安全法制の審議中、「自衛隊員のリスクが増える」として、平和安全法制の成立に反対していた先生方がいました。この先生方は「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる」自衛官の使命感を正しく理解した上で発言していたのでしょうか。
 自衛官の使命感に対する理解や敬意もなく、ただ法案の成立を阻止するためにだけ言っていたとすれば、自衛官に対する侮辱以外の何物でもないと思います。  使命感という言葉の真の意味を理解しようとせず、右翼的だ、軍国主義だとして使用を躊躇う風潮が未だ残っていますが、長崎県知事のように、使命感の重要性、尊さを正しく理解し、その言葉が自然に使われるようになれば、自衛隊のみならず、警察、消防、海上保安庁等、使命感を発揮する人達に対する敬意も自ずと払われるようになり、隊員たちの士気高揚へと繋がるものと思います。
 いずれにしても、国を守る、人の命を守るということは決して容易なことではなく、使命感があってこそできるものであり、使命感とはそれほど重要なものなのです。県知事の「人の命より、もっと大切な使命感がある」という表現は、正に的を射た表現ではないでしょうか。          常任理事 石野 次男

●137号(29.1.1)一筆防衛論 松下泰士(連合会常任理事 )

                     
 11月9日の米国大統領選挙で、第45代大統領にトランプ氏が選出されました。大半のメディアや有識者の予想を裏切る結果でしたが、この結果は別として今回の選挙戦については互いにレッテル貼りをしながら非難合戦に終始した最低の戦いであったことは間違いないようです。  
 今回は、米国の大統領選についてではなく、この所謂レッテルやネーミングの持つ洗脳効果等について考えてみたいと思います。
 世の中のあらゆる事項や事象を端的に表現する手段ではありますが、必ずしも適切ではない、あるいは意図的に実態と異なる印象を惹起させる表現もあります。それが単なる商品などでは詐欺程度のことですが、これが我が国の安全保障にかかわることでしたら大いに問題です。
 先ず、最近の例では、「平和安全法制」を「戦争法案」とレッテル貼りした政党がありました。法案の内容をよく見ない多くの国民を意図した方向に誘導する目的をもって用いたのが「戦争法案」でした。
 最今の「年金カット法案」というのも同様の効果を狙ったものでしょう。「生前退位」という言葉も使われていますが、この言葉には連続性を感じません。やはり「譲位」が正しいのでしょう。
 これらは、まだ分かりやすいのですが、いつの間にか染み付いてしまった言葉もあります。例えば「国際連合」。英語ではUnited Nationsであり、どこにも国際を示す言葉はありません。この訳語のせいで、未だに敵国条項すら改正されない組織に日本人はどれくらいの幻想を抱いたことでしょう。もっとも加盟国も約200か国になり、「国際連合」と呼ぶにふさわしいものになりつつあるのかもしれません。  
 「中国」という呼称はどうでしょう。中華人民共和国を「中国」といい、シナ大陸を中国大陸といい、そこでの不連続な権力の盛衰史を中国4千年の歴史といいます。そうしますと、たかだか70年ほどの歴史しかない中華人民共和国が、シナ大陸における4千年の歴史を継承しているような錯覚に陥ります。また、その軍隊を我が国でも「人民解放軍」と呼んでいますが、チベット、東トルキスタンそして南モンゴルから民族の尊厳を奪った軍です。解放軍という言葉の欺瞞性に敏感であるべきだと思います。
 最後に、気になるのは、「終戦の日」です。この日で戦争が完全に終わり、そのまま今に連なる戦後があると思い込まされているような気がします。日本軍が武装解除されてから1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効するまでの7年弱の被占領期は戦争状態という見方もあります。そして、被占領期間中に、その後の我が国の在りようの多くが決められたにも関わらず、この期間が終った日は、何らかの力で国民の意識から意図的に遠ざけられてきたのではないでしょうか。遠ざけるための手法が、4月28日にネーミングさせないことなのではないかと思います。
 トランプ氏が大統領になれば、我が国は自主防衛に目覚めるという意見もありますが、この7年弱に何があったのかを見つめ直さない限り無理だろうと思います。そのためにも4月28日という日に明確な意味を持たせる努力が必要です。もっとも以前から4月28日を「主権回復の日」とする動きがあり、2011年には祝日法改正法案まで提出されましたが廃案になっています。2013年には、政府により「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」が開催されましたが、沖縄県では、同日を「屈辱の日」としているなど難しい問題もあります。しかし、それはそれで7年弱の記憶が取り戻せるなら大いに結構なことだと思います。 

●136号(28.10.1)一筆防衛論 永岩俊雄(連合会常任理事)

                    領空侵犯対処
                   

 領空侵犯対処における「必要な措置」 自衛隊法第八十四条によれば、領空侵犯に対する措置として防衛大臣は「外国の航空機が国際法規又は航空法その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」と規定している。
 対領空侵犯措置は、主として他国の軍用機を対象とする国家作用であり、空における領域主権確保の最後の手段として、状況によっては「必要な措置」(武器使用)を行使する場合がありうる。 過去の国会答弁ではその武器使用基準の根拠の一例として「正当防衛あるいは緊急避難というものがこの武器を使用するのに許されている範囲」(52.6.11 参議院内閣委員会答弁)という説明がなされている。
 しかしながら「正当防衛あるいは緊急避難」は私人の行為の正当化の要件であり、国家機関が行う法的秩序維持のための武器使用基準には本来的になじまず、緊急時の私人の行為として補完的にこれを許すものと考えることが妥当である。
 一方、最近の周辺国の航空活動は、意図的な威圧行動を含め極めて活発化し一時も予断ができないような状況となり、今や、東シナ海上空が極めて危険な空域となりつつある。
 このような状況の中とて、我が国の空における領域主権確保は一寸たりとも譲るわけにはいかない。しかしながら、それらの挑発に徒らに乗って意図しない偶発事故など起こされることがあっては絶対にならない。
 対象国の挑発的な行動を阻止するための良薬は、我が国の領域保全に関わる国家意思の覚悟を相手方に明確に知らしめておくことであり、加えて、領空侵犯措置に関わる対応の在り方に躊躇や曖昧さなど無く、状況によっては「必要な措置」(武器使用)を取りうることを毅然と示しておくことが肝要である。
 現行第八十四条においてその裁量要素や権限規定が明確ではないとするなら、防衛大臣は我が国の空の領域主権を守るため「我が国を取り巻く国際環境や国際関係」「領空侵犯機の領空侵犯目的の見極め」「軍事技術の趨勢」「国際法への準拠」「軍事的・専門技術的知見に基づく合理的な判断」等を総合的に勘案しつつ、自衛隊の部隊に対して「武器使用の裁量要素や権限規定」を改めて明確にし、内外に国家主権確保の強い意志を示しておく必要がある。

●135号(28.7.1)一筆防衛論 廣瀬紀雄(前連合会常任理事)

                  防衛意識の変遷
 古希を迎えた我々は、いわゆる「戦後教育」と「言論空間」の影響をもろに受けた世代でした。この世代は、かって、文芸評論家の江藤淳氏が「閉された言語空間」で占領軍のいわゆる「WGIP」(宣伝工作・言論統制・事後検閲)の影響を指摘され、国際政治学者の若泉敬氏から日本の現状を「愚者の楽園」と評されました。
 還暦を過ぎて当協会の調査研究チームに参画し、「国のために戦う意識」が世界で最下位(15%)ということを知りました。
 そして、調査研究を通じて、個人的には、戦後の公職追放で教育界・言論界に起用された「敗戦利得者」(渡部昇一氏提唱)によって、自虐史観と個人最優先の「戦後教育」が行われ、国への忠誠義務不在の「言論空間」が築かれ、これらがいわゆる「戦後レジューム」の推進機関と監視機関として機能し、独立回復後も無国籍的国民の拡大再生産が続けられたためとの認識に至りました。  
 昨今、教育基本法改正により「公共の精神を尊び、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する態度」が教育目標に掲げられて「戦後教育」の呪縛から放たれつつあり、日本人の平和ボケをカエルの世界に喩えた百田尚樹氏の「カエルの楽園」がベストセラーになるなど「言論空間」にも変化が見られます。
 現在、憲法論議が高まっておりますが、当協会の「防衛意識」及び「防衛政策」に係る小冊子(当協会HP掲載)が、会員の防衛意識の高揚にお役に立てれば幸いです。

●134号(28.4.1)一筆防衛論 澤山 正一(連合会常任理事)

 災害派遣を含む緊急事態発生時の自衛隊の活動については、活動の実績等から多くの国民から理解され、自衛隊は信頼される存在になっています。
 一方、平時の自衛隊の活動については、警戒・監視及び教育訓練等が主体で国民の目に映りにくく、理解もされづらく、私が現職の時「普段、自衛隊は何をしているのですか?」という素朴な質問を受けた経験があります。
 これと同様目に映らない重要なものとして、「防衛意識」とか「愛国心」等がありますが、これらは相変らず低調のままと言えます。
 これらは、教わったりして知識として理解するだけでなく、自ら関心を持ち日本の歴史・伝統・文化及び日本人の民族性等を自らの努力により学び身に着け。日本に対する誇り・愛着等を自覚して初めて血となり肉となるものではないでしょうか。
 都会生まれで戦後育ちの私自身、愛国心等を学校で教わった経験がないのに、防衛大学校を受験する頃には、自分なりの愛国心等を身に付けていったのではと考えるのは、やはり日本の歴史・日本人について自らの努力で学んだ結果と思います。
 「防衛意識の普及・高揚」を活動目的とする防衛協会として、目的達成の最良の手段は、国民の多くに我々の会員となってもらい、講演会・部隊研修等に参加して、「防衛意識」「愛国心」等に関心をもち、考える切っ掛けとなり、自ら考え自らの努力でこれらの考えを確立し、同じ認識・意識を持つ同胞を増やすことと思います。
 こういう意味からも防衛協会の会勢の拡大に努力をしようではありませんか。

●133号(28.1.1)一筆防衛論 渡邊 元旦(連合会常任理事)

                      駆けつけ警護
 自衛隊が南スーダンで実施している国連平和維持活動(PKO)の任務に「駆けつけ警護」を追加する時期(改正PKO法により今年3月以降追加可能)について、政府が今年11月の派遣部隊の交代時を軸に検討していることが明らかになりました。
 昨年9月に「平和安全法制整備法案」が可決されましたが、衆参両院での審議において焦点になった一つが、自衛隊員の“リスクが増える、いやそんなことはない”という堂々巡りの議論でした。
 これは抑止力の向上を目指した「日本の防衛に直結する集団的自衛権の限定的な行使」にかかわる法整備ではわが国が攻撃されるというリスクは軽減されますが、一方、国際社会の一員として国際平和に関わる法整備では、任務や行動範囲の広がりに伴いリスクが生じることがあるかもしれない、それらが切り分けられないまま議論されたためではないでしょうか。
 そして、リスクが有るのか無いのかを議論することも大事ですが、わが国の平和と安全に繋がる国際平和のために行動する自衛隊員にリスクが生じるならば、それを如何に軽減するか、そのために国家として何をどのようになすべきか、という侃々諤々の議論がなされるべきだったと思います。
 「駆けつけ警護」に関して明らかになった政府の考え方に、先ずは安心しましたが、法律に基づく種々の活動に必要な中身の充実に真剣に取り組んで欲しいと思います
      

●132号(27.10.1)一筆防衛論 千葉徳次郎(連合会常任理事)

          国家安全保障戦略と集団的自衛権の捉え方
 昨年来、国家安全保障や集団的自衛権が専門用語で議論され、また、投票権が18歳に引き下げられました。義務教育で国防や自衛隊を学んでいない子供達や一般国民に、家庭を守り、国を守ることの考え方を身近に理解してもらうことが喫緊の課題でしょう。
 自衛隊は東西冷戦の渦中に創設され、一歩も領域を出ることなく、間接侵略及び直接侵略を抑止して、共産主義の脅威から我が国の平和と独立を守り通しました。
 しかし、冷戦終了直後の湾岸戦争は、戦費供出のみで世界の平和回復に参加した日本国民の意識転換を迫り、平成3年のペルシャ湾への海上自衛隊掃海隊派遣を皮切りに、自衛隊も参加する国際社会の平和と安定の構築への道を開きました。そして、国内外から高い評価を得た海外活動は、平成6年成立の社会党村山政権下で「より安定した安全保障環境構築への貢献」として位置づけられ、今日の国際協調主義に基づく積極的平和主義に至っています。
 国家安全保障戦略では、「自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配という普遍的価値やルールに基づく国際秩序」のもと、我が国の平和と安全のためには、アジア太平洋を始めとする国際社会の平和と安定が不可欠であると位置づけ、平和を維持するための抑止力の強化を第1の目標としています。
 この平和の守り方の変化を、子供達に分り易く説明する際は、昭和時代の日本は、「自宅に放火された時のみ消火活動をする、近所や町内で放火事件があっても一歩も敷地を出ない、金だけ出します。」という姿勢だった。
 しかし、平成以降は、「近所や町内で放火騒ぎが起きたら、町内の一員として危険を覚悟して一緒に火事を消します。町内の火事を協力して早く消さないと、最後は自宅が燃えるから。」と例えることができるかと思います。
 また、放火という町内秩序が乱される事態を抑止するのであれば、町内会員が力を合わせて「隙の無い備えに万全を期すこと」でしょう。その為の@自宅周辺を片付け、消火器を備える。A町内防火組織の役割明示。B各家庭又は町内消火訓練の実施。C町内防火パトロールの実施などは現実的なものでしょう。
 時代の変化とともに国の守り方も変わり、それを受けて防衛協会の活動も、部隊行事見学・研修、一部隊員との懇親・激励等から、広く一般国民を啓発し、一緒に国家の抑止力を強化するという活動に変化すべきかと思います。

●131号(27.7.1)一筆防衛論 山崎 眞(連合会常任理事 )

                  【集団的自衛権の行使】
                    
                 全国防衛協会連合会 山崎 眞 常任理事
 安倍首相は五月、安保法制案閣議決定時の記者会見で冒頭「一国のみで、どの国も自国の安全を守ることはできない」と強調した。これは現在では国際常識であり、米国ですら、既に十年前に同じことを国防省が公言している。
 2005年に米海軍作戦部長マレン大将は「もはや自国のみで海洋の安全を守れる国はない」として、同盟国・友好国の海軍を連携させる1000隻海軍構想を提唱した。ソマリア・アデン湾における多国籍海軍部隊は、このような構想の下に生まれた。
 そもそも集団的自衛権は、実態としては戦前からあったが、国際法(国連憲章)で明確に規定されたのは戦後のことである。国連憲章では、「武力の行使は慎まなければならない」のが基本原則であるが、例外として次の三つの場合は武力行使が認められている。
 @集団安全保障(安保理事会の決議)
 A個別的自衛権の行使(自国に対する武力攻撃発生時)
 B集団的自衛権の行使(密接な関係にある外国に対する攻撃発生時)
である。
 集団的自衛権の行使は、なにも戦争へ突き進むためではなく、国連憲章に沿った武力行使の抑止に向かうためのものである。
 一国平和主義はもはや国際社会では成り立たない。密接な関係にある外国との防衛上の緊密な連携により無用の紛争を未然に防ぐ。 これが集団的自衛権行使の本当の心である。
 但し、自明の理ではあるが、たとえ同盟国との安保条約があり、集団的自衛権行使の決心をしても、まず自国で防衛する確固たる意志と行動がなければ、同盟国が助けに来ることは望めないことを銘記すべきである。

●130号(27.4.1)一筆防衛論 廣P清一(連合会常任理事 )

                 【在外邦人の保護】
◆コラム「一筆防衛論」の趣旨
 昨年の調査では最も信頼される組織は自衛隊で国民からの信頼度は九割以上であった。一方、隔年に実施される自衛隊に関する世論調査では防衛問題や自衛隊に関心がないと答えている割合はこれまでとあまり変化がない。意識の上では戦後レジームは続いている。このところ防衛問題はマスコミで大きく取り上げられるようになったが話題の変化も極めて早い。注目されている防衛問題のトピックスについてコラム記事を掲載することとした。
◆イスラム国(IS)による邦人拉致殺害事件の教訓
 去る二月にイスラム国で邦人二人が殺害された事件は自衛隊のイラク復興支援以来、久々に中東の情勢が日本の安全に直接関わりがあることを実感させた。結局日本政府は人質を救出できなかった。在外邦人の救出が話題となり、自衛隊の運用についても語られるようになった。
◆「在外邦人等の輸送」は可能
 一九九四年朝鮮半島で生起した第一次核危機の際、現地在外邦人の安全確保や避難帰国が真剣に論議され、在外邦人を輸送ができる法案が成立し、はじめて自衛隊の運用が可能となった。この際、「邦人保護」の用語は先の大戦において在外居留民保護を口実に中国大陸へと戦線拡大したとして「邦人保護」ではなく「邦人等の輸送」の用語が使用された。武器の使用は正当防衛緊急避難に限るとされた。また一昨年のアルジェリアでのテロにより邦人十人が犠牲となったが、この時の教訓から航空機や艦船に加えて車両による輸送も可能とするよう法整備がされた。
◆在外邦人の「輸送」と「救出」は別次元
 在外邦人の救出について一次マスコミで取り上げられたが、邦人保護における輸送と救出は次元の違う話である。領域国でテロリストの人質となっている邦人の救出ならともかく、今回の如きどこに所在しているか判らない邦人の救出は物理的に難しい。仮に法解釈上実施できるとしても、能力があるか否か、また実行するか否かは更に別次元の課題である。救出のためには相当な情報収集・支援体制並びに派遣先国との極めて密接な関係がなければ実行はできない。法解釈や法整備の課題と実行能力の課題が乖離してはならない。先ず必要なことはしっかりとした情報収集体制と派遣先国との外交軍事関係の確立である。

        

    既発行会報「ひとりごと」記事アーカイブ目次
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●129号 27.01.01 ひとりごと(シャッター)植田信行茨城県防衛協会 常務理事・事務局長
●128号 26.10.01ひとりごと(集団的自衛権の思い出)戸田 量弘(連合会常任理事)
●127号 26.07.01ひとりごと(青年部の組織拡充へ)都丸和俊(連合会常任理事)
125号 26.01.01ひとりごと(鏡開き)横田泰彦(京都府防衛協会常務理事)
●124号 25.10.01ひとりごと(障子が閉まる)松本健一(連合会事務局長)
●123号 25.07.01ひとりごと(全国各地の防衛協会と手を携えて)渡邊元旦(連合会常任理事)
●122号 25.04.01ひとりごと(国際法上の軍艦としての価値)泉 徹(連合会常任理事)
●121号 25.01.01 ひとりごと(外国人の入国)大越 康弘(連合会常任理事)
120号 24.10.01 ひとりごと(国民として果たすべき義務)小柳 毫向(連合会常任理事)
●119号 24.07.01 ひとりごと(災いを転じて福となす)廣瀬 清一(連合会常任理事)
●118号 24.04.01 ひとりごと(発想の転換)澤山 正一(連合会常任理事)
●117号 24.01.01 ひとりごと(幼児期の教育の在り方)小柳 毫向(連合会常任理事)
●116号 23.10.01 ひとりごと(中国の安全保障観)永岩 俊道(連合会常任理事)
115号 23.07.01 ひとりごと(東日本大震災に思う)廣瀬 清一(連合会常任理事)
●114号 23.04.01 ひとりごと(武器輸出の国際常識)山崎 眞(連合会常任理事)
●113号 23.01.01 ひとりごと(領域警備の任務等)大北 太一郎(連合会常任理事)
●112号 22.10.01 ひとりごと(お盆休み)田中 満雄(連合会事務局長)
●111号 22.07.01 ひとりごと(部隊・隊員の喜び・励み)澤山 正一(連合会常任理事)
110号 22.04.01 ひとりごと(誇りある歴史認識)廣瀬 紀雄(連合会常任理事)
●109号 22.01.01 ひとりごと(研究開発の重要性)廣瀬 清一(連合会常任理事)
●108号 21.10.10 ひとりごと(外交・安全保障の連続性)山崎 眞(連合会常任理事)
●107号 21.07.01 ひとりごと(チャンスの神様)廣瀬 紀雄 (連合会常任理事)
●106号 21.04.01 ひとりごと(若者達の意識)大北 太一郎(連合会常任理事)
105号 21.01.01 ひとりごと(日本である理由)渡邊 元旦(連合会常任理事)
●104号 20.10.01 ひとりごと(防衛力整備)廣瀬 清一(連合会常任理事)
●103号 20.07.01 ひとりごと(部隊・隊員を激励)澤山 正一(連合会常任理事)
●102号 20.04.01 ひとりごと(米大統領選挙)山崎 眞(連合会常任理事)
●101号 20.01.01 ひとりごと(創造性開発)廣瀬 紀雄(連合会常任理事)
100号 19.10.23 ひとりごと(虫の目・鳥の目)渡邊 元旦(連合会常任理事)
●099号 19.07.23 ひとりごと(海の安全と権益)山崎 眞(連合会常任理事)
●098号 19.04.23 ひとりごと(定時定点)廣瀬 紀雄(連合会常任理事)
●097号 19.01.19 ひとりごと(北朝鮮・核ミサイル)山崎 眞(連合会常任理事)
●096号 18.10.23 ひとりごと(靖国参拝)大越 康弘(連合会常任理事)
095号 18.07.23 ひとりごと(国を愛する心)渡邊 元旦(連合会常任理事)
●094号 18.04.23 ひとりごと(閑中忙と国を守る体制)廣瀬 紀雄(連合会常任理事)

●129号(27.1.1)(シャッター)植田信行茨城県防衛協会 常務理事・事務局長

 昭和48年10月航空自衛隊入間基地で開催された国際航空宇宙航空ショーに、旧陸軍四式戦闘機「疾風」が展示され、飛行するというので写真を撮りに出かけた。入間に着くのが遅くなり残念ながら展示飛行は終了していたが、初めて見る本物に胸を躍らせながらシャッターボタンを押した。1枚1枚恰好の良いアングルを探しながら丁寧に撮影したのを憶えている。  
 昭和53年8月埼玉県桶川市の民間飛行場に飛行可能な零戦で唯一オリジナル発動機の零戦52型の展示飛行があり、この当時もシャッターチャンスを待ち1枚1枚大事に撮影をした。初めて耳にする発動機の回転音と軽快な飛行に感激をした。  
 その後 平成8年8月に同じ零戦が茨城県の龍ヶ崎飛行場に飛来して、アメリカのP―51ムスタングと肩を並べて飛行する姿にまたまた感激して大事にシャッターを切ったものだった。 平成26年8月また同じ零戦が所沢の航空記念博物館に展示されたので、零戦に興味の無い女房を食事で釣り、荷物持ちとして同行して撮影をして来た。時間の経過に伴い機体の劣化が始まり、飛行せずに発動機を回しタキシングするだけだった。
 平成22年頃から私のカメラがフィルムからデジタルになり、この時のアップの零戦は事務所のデスクトップの背景となっている。 昨年10月に航空自衛隊百里基地で航空観閲式(自衛隊発足60周年)が行われFー15やF―4、F―2が飛び交い、ブルーインパルスが曲技飛行を披露した。時の流れからデジカメ(500oのズームレンズ)で連写するが、技術が伴わずシャッターチャンスもありゃしない、数撃ちゃあたる状態だった。フィルムと違ってデジタルは駄目ならすぐ“削除”気に入ったものだけ残せば良い。残ったのは3分の1だった。F―15のアフターバーナーでの垂直上昇が何とか画面の真ん中に入り一人悦に入っていると、昼食時だったので女房は配られる弁当の心配をしていた。
  11月の新聞にリバースエンジニヤリングによりロシアで再生された零戦(22型)が日本に帰って来たとの記事が載っていた。組み立てれば飛行可能とのこと、飛んだら今度は上手に連写で撮りたいと思う。 新年早々まとまりの無い話で洵に恐縮ですが、子どもの頃の飛行機への憧れがそのままとなり、いつの間にか古稀を過ぎてしまった者の戯言としてお許しを頂きたい。  

●128号(26.10.1)(集団的自衛権の思い出)戸田 量弘(連合会常任理事)

 6月から理事に就任した戸田です。前任の大越理事同様宜しくご指導願います。
 今年の夏は、集団的自衛権が熱い。7月1日、安倍内閣は集団的自衛権の行使を限定的に容認する憲法解釈の変更を決断した。防衛政策の大転換である。
 集団的自衛権と言えば、私は、連日国会審議への対応に追われた内局部員当時の仕事を思い出す。ソ連がアフガニスタンに侵攻し米ソの対立が頂点に達していた1980年のことである。
 この年、海上自衛隊は、リムパックという米海軍を中心とし、豪州、ニュージーランドなどの環太平洋諸国の海軍が加わる多国間演習に初めて参加したが、これが集団的自衛権の行使につながるということで、政治問題化した。
 陸上自衛隊、航空自衛隊は未だ日米共同訓練を行っていない頃のことであり、個別の防衛政策の是非が集団的自衛権との関係で議論された最初の例ではないかと思う。     
 当時の防衛庁の説明は、演習は集団的自衛権を前提にするものではなく、戦術技量の向上を目的とするもの、また海上自衛隊の艦艇は専ら米海軍と行動を共にし、豪州などの海軍とは行動を共にしないということで懸念解消に努めたがその資料作りに汗をかいたことが今では懐かしい。
 今年の演習には、中国海軍も初参加したと聞く。今昔の感も一入である。

●127号(26.7.1)(青年部の組織拡充へ)都丸和俊(連合会常任理事)

 今こそ全国防衛協会青年部の全県設立に向けて支援しなければならないと危機感を強く抱いているのは私だけであろうか?昭和40年前後から各県駐屯地等の自衛隊協力会として発足し、その後全国化した防衛協会は各地で50年を迎えようとしている。
 現在の全国防衛協会連合会組織も平成元年設立から25年の足跡を刻んだ。我が国の人口動態に等しく当協会の高齢化も否めない。 私が全国防衛協会青年部と関わったのが平成13年からで当時22都府県の青年部で設立され、現在33都府県の組織になった。組織拡大活動を体験した者として、様々な苦労や手弁当での活動費や莫大な時間を要す事は紛れも無い現実だ。しかし、我が国の防衛は国民一人々が自ら守るという志の仲間創りの青年部活動は、今こそ緊急の課題で集中的に実施するべきであると考えます。
 今年2期目を迎える全国防衛協会連合会青年部会野々口弘基会長に期待するところは大きい。 行動力と統率力のある野々口会長の下、青年部が組織的に拡充できるように全面的に支援することが防衛協会の責務であり、今後の活動の基盤である会員組織の拡大に繋げなければならないと私は考えます。

●126号(26.4.1)(安全保障政策)岩ア 啓一郎(連合会常任理事)

  昨年末、日本の安全保障政策は大きな一歩を踏み出したと思う。国家安全保障会議(日本版NSC)が創設され、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、更には中期防衛力整備計画が発表された。
 また、本年正月には国家安全保障局も設置された。 日本政府は「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を掲げ、各種活動を推進するとともに、集団的自衛権や武器輸出3原則についてもいずれ新方針を明示すると報道されている。
 グローバル化が進む世界において、我が国が国際社会における主要なプレーヤーとしてこれまで以上に積極的な役割を果たしていくことが期待される。
 防衛力についても「統合機動防衛力」をより具体的に実現するための部隊の体制変更にも言及された。 日本もやっと、一部の盲目的一国平和主義から脱し、現実的な世界平和への貢献の路線を歩むことで、我が国の平和と安全を維持し、豊かで平和な社会を発展させていくことができよう。
 その為の基本方針が国家安全保障戦略であり、戦後約70年を経て作成された意義は大変大きい。
 防衛協会もこの新しい風にタイムリーに対応して防衛意識の高揚、防衛基盤の育成強化、自衛隊の活動への支援・協力を更に精力的に進めていきたい。  

125号(26.1.1)横田 泰彦(京都府防衛協会常務理事)

 正月、武家で甲冑に備える鏡餅を具足餅という。「武家餅」とも称す。上を赤、下を白とし、鰹節を備えて飾る。鏡開きは、正月十一日、鏡餅をさげて水菜清汁にして食べる祝儀。今は汁粉にすることが多い。武家では男子は具足に、女子は鏡台に供えた鏡餅を食した。二十日祝いとして二十日に行われ、男子は刃柄(はつか)祝う、女子は初顔祝うといって、ともに二十日にかける縁語として祝う。
 徳川幕府では、三代将軍家光の忌日が二十日(慶安四年一六五一、四月二十日)であるため、承応年間(一六五二〜一六五四)から十一日に改め、諸大名これに倣う。またこの風が全国にひろがり今日に及ぶ。 京都では四日に鏡開きを行う風あり。新潟県高田では「鏡ならし」と言い、士族の家では七日、又は九日に具足の餅をおろし、男が礼服で調理に任ず。鏡餅は刃物で切らず、手または槌で割る仕来りで、切ると言わず「開く」とめでたくいう。  
  古書に、「正月十一日、御具足の餅御祝なり、‥‥具足の餅は刃物にてたたず。具足に刃を立てるという語をいむなり。弓の弦にて餅をこはすなり」。以上は、新年俳句歳時記、平凡社刊を参考にして、今日生活習慣となっている鏡開きのもとであります。  
 甲午新年、四海波静。国も治まる時津風。枝を鳴らさぬ御代を祈念致します。       平成二十六年元旦

●124号(25.10.1)(障子が閉まる)松本健一(連合会事務局長)

 障子が閉まる。真夜中の十二時。厳冬の冷気が遮断された。禅堂の中、人いきれによる暖かさを感じる。若かりし頃、岐阜県にある正眼寺の大接心に居士として参加した時の思い出。この暖かさ、いつまでも忘れられない。
◆ウェポンの進歩は、隊員に対して機械のような正確な戦技を求める。理性と感性・感情のバランスを上手くとる術が求められる。チームプレーの精神、今も昔と同じく求められる。私が入隊した頃に比べて、自衛隊を取り巻く任務環境は大きく変化。今では海外勤務も当たり前。国民の自衛隊に対する思いも様変わり。期待も大きい。現役の頑張りには、頭が下がる。
◆防衛協会がスタートして約50年。半世紀が経過し、「変えてはいけないもの」と時流に即して「変化させていくもの」をレビューする時期なのか。「今しかないでしょう」か。協会は、隊員に対してどのような暖かさを提供しているのか。「障子の役目」を果たしているのか。和風建築に障子は欠かせない。国の守りに協会は欠かせないという存在たるか。自問する。
◆事務局もこの夏から新たな陣容で、「4S」をキーワードに、会員の皆さんのお手伝いに取り組むこととなった。システム、スピード、スマイル、シンプル。皆様よろしく。

●123号(25.7.1)(全国各地の防衛協会と手を携えて)渡邊元旦(連合会常任理事)

 全国各地で自衛隊を応援するとともに地域の皆様の防衛意識の高揚・啓発にご尽力いただいている防衛協会が逐次「設立50周年」を迎えています。
 50年前と言いますと、昭和36〜37年頃、自衛隊が発足して7〜8年、昭和35年には日米新安保条約が制定される等世情が騒然としている時期であり、税金泥棒と言われつつも昭和36年1月の裏日本豪雪はじめいろいろな災害に黙々として救援活動に任じる自衛隊員の姿を見て、地域の有志の皆さんが「せめて我々だけでも自衛隊をしっかり支援・激励していかなくては」という熱い気持ちをこめて各地に防衛協会を発足していただきました。
 昨今、自衛隊は処遇も良くなり、国民の間にもすっかり認知されているので、防衛協会の役目は終わったという意見もあるようですが、自衛隊について国内はもとより海外での任務がより拡大し、かつ、東西冷戦期のように米国の傘の下で「自衛隊は存在することに意義がある」としていた時代から、周辺からのゲリラ・コマンドウ攻撃や尖閣諸島での領域侵犯等などにもしっかり対処することが迫られている時代に突入した中で、国民の防衛意識の一層の高揚を図り、自衛隊が与えられた任務を十分に果たせるようしっかり支援していく防衛協会の役目は更に更に必要になっていると確信しています。
 全国各地の防衛協会及び連合会が手を携えて、それぞれ防衛協会の更なる充実・発展を通じて、防衛協会の目的・役割を果たせるよう力を合わせていきたいと強く念願しています。

●122号(25.4.1)(国際法上の軍艦としての価値)泉 徹(連合会常任理事)

 尖閣諸島周辺における中国公船による領海侵犯が後を絶たない。これら中国の度重なる領海侵犯の背景には中国海空軍力の強化が着実に行われ強大な軍事力を持ったことがそうさせるのであろう。
 一方で同盟国である米国の国防費削減及びこれまでの我が国の防衛費の削減により、抑止力の低下とみられたのか、中国漁業監視船等公船の横暴ぶりも枚挙にいとまがない。しかし、これだけであろうか。我が国の法的な整備がなされず我が国の対応が遅れてきたことはないであろうか。公船に対する我が国内的法整備が望まれる一方で、我が国は国際法上認められる自衛艦の軍艦としての権限を国内法上認めていない。これまでの自虐的歴史観からかあるいは空想的平和主義のなせる技か全く分からない。
 国際法上、軍艦としての要件は、@当該軍艦が所属する外部標識の掲揚A当該国の政府に正式に任命されその名簿に記載された士官の指揮下にありかつ軍規に服する乗組員が配置されていることである。自衛艦は、この軍艦としての要件を備えており、事実、遠洋航海等他国の寄港地においては軍艦として処遇されている。
 国際法上、軍艦には国際水域(公海、EEZ及び接続水域)における海上警察権が認められている。その内容は、近接権、国旗、国籍確認のための臨検、無国籍船の臨検、奴隷の運送防止、海賊行為の取り締まり、無許可放送の取り締まり、その他追跡権である。
 これらを全て乱用することは戒めなければならないが、領海に入る前の公海上において、種々の確認が出来るこれら権限を放棄する理由は全く見当たらない。
多くの事をお願いするつもりはないが、戦後67年が経過し我が国が他の国と同様、ただ普通の国になることを切望してやまない。

●121号(25.1.1)(外国人の入国)大越 康弘(連合会常任理事)

日本の将来はどうなるのだろうか。つとに不安を覚える。将来を担う子供は減り、他人の世話になる老人が増え総人口は益々減っていく。雇用を生む工場は海外に離れていく。国の借金ばかりが増えていき、将来の世代にのしかかる。年金、医療保険、介護保険は維持できるのだろうか。日本という国の経済力、国力は衰え、周辺国いや世界から軽視されるようになるのではないか。これらの重い課題に立ち向かい、国民を引っ張っていく強いリーダーが見当たらない。 
 世界がグローバル化していく将来に向かって日本の経済力、国力を維持発展させるためには、国を開き、世界の荒波の中で競争し、勝ち残っていかねばならない。そのためには、もっと外国人を入れて、日本に刺激を与え、活性化させるのがいいではないか。
 日本に住む外国人は3%にすぎない。先進国に比べ少ない。外国人向けの生活環境・制度を整備した上で、教育水準、技術水準の比較的高い外国人を選別して入国をもっと自由に認め、必要に応じ国内で教育を受け、技能知識を生かして働いてもらう。そして日本の経済力、国力を高めるのに寄与してもらうことだ。  
 米国は移民を認め、優秀な頭脳を誘致して国を活性化させている。  
 親のスネをかじり気力のない青少年は淘汰される世だ。外国人の刺激を受けて活力ある若者が増えていってもらいたいと思う。

120号(24.10.1)(国民としての義務)小柳 毫向(連合会常任理事)

 帚木蓬生著「水神」を読んだ。久留米藩の江南原と呼ばれる地域の貧村の物語である。  筑後川の豊かな水流に恵まれながら高台であるがゆえにその恩恵を受けることができず苦労する百姓の姿を見続けた五人の庄屋が百年・二百年後の子孫のため身代と命をかけて藩に嘆願し新たな水流を造る実話に基づく物語だ。当時の最下層の貧しい人々の崇高なる精神に感銘を受けた。
 戦前までは義務を強いる社会であり、義務を意識し果たす中で日本民族精神が培われてきたのかもしれない。  戦後権利が認められ今や義務よりも権利が声だかに叫ばれる。義務は責任を意識するが権利は責任を意識せずむしろいろんなことを要求する。  東電が値上げは権利であるとの発言やNHKが料金不払い者に対し裁判に訴える、これも権利意識だ。生活保護もその範疇に入る。
 今、社会保障と税の一体改革が検討されているが、保障は厚く負担は軽くでは社会保障という名の社会保護であり日本人の精神をスポイルする危険性がある。
 無理が通れば道理は引っ込む、権利が通れば義務は引っ込む、これが日本の現状だ。
 今こそ百年・二百年後の子孫のため国民として果たすべき義務を問い直さなければならないのではなかろうか。  国を守ることも大事な義務と思うが。

●119号(24.7.1)(災い転じて福となす)廣瀬 清一(連合会常任理事)

○「災いを転じて福となす」。東日本大震災以降、日本丸は良い方向に向かっている。大規模複合災害という日本がかつて経験したことのない国難にあって、日本国全体が久々に一体となり、困難な課題に正面から向かっている。  その大事な第一歩を印してくれたのが自衛隊であったことは言うまでもない。日本国民の危機に対する意識を大きく変化させた。「原発事故収拾」「瓦礫処分」「被災者救援」等の課題は未だ山積しているが、何とかしようとする国民一体の機運は着実に高まっている。
○東日本大震災以前とその後の政治論調は大きく変わった。以前は厳しい財政事情にあって、「年金問題」「高速道路無料化」「子供手当」等、国民が享受する富の分配に関心が集中していたが、それが今日では「消費税問題」、エネルギー政策における「原発再稼働」、領土保全に関わる「尖閣問題」、日米同盟の深化の視点での「沖縄基地問題」等の根本的な問題へと論点が集約しつつある。時には国民に負担を強い、日本国が進むべき方向を見極める重要な論議ができる機運に向かっている。
○「政治主導」とは細かい予算の査定や、煩雑なお役所仕事の監督ばかりではなく、重要な問題を整理して論点を明確にし、国民に解り易く説明し、最後は決断をすることである。民主主義は時間がかかるが、今日の様に変化の早い情勢にあって、時には反対意見が多かろうが決断すべきは決断する時代ではないかと思う。
○このように国内での論議が根本的な問題へと集約できる機運が生まれつつある。また国民が等しく日本の進路に関心を寄せ、あるいは日本人としての責任を強く思うようになれば、最大の政治課題である「憲法問題」へと必ず議論が進展し、本格的に動き出すことを秘かに期待しているのは私一人ではないと思っている。

●118号(24.4.1)(発想の転換)澤山 正一(連合会常任理事)

 「発想の転換」は時により重要と思いますが、なかなか難しいというのが現実でしょう。「いままで実施してきたので」と何の問題点も感じず、そのまま継続して実施していることが多いのではと思います。
 一つ例をあげてみますと、防衛協会の重要な活動目的として自衛隊に対する支援・協力がありますが、そのうち、災害派遣・国際貢献活動等に参加する部隊に対する協力として、先ず頭に浮かぶのは、部隊への激励として激励品等の目録を会長等が代表して部隊長に対し贈呈をし、これでもって支援はしたとしています。
 これはこれでいいのかも知れませんが、問題ははたして本当に部隊がこの様なことを防衛協会に期待していたのかという事です。
 こんな事より部隊が駐屯地を出発する時又は帰隊する時に多くの会員が参加し直接隊員に対し激励・慰労等の声をかけるとか、近くの災害派遣ならば、現地に直接出向き、隊員が黙々と頑張り活動している現場を見、隊員に声をかける等が、また、国際貢献ならば、心のこもった手作りの慰問品を送るという案もあると思います。
 本当に部隊が防衛協会に望んでいるのは何かと確認したり(例えば、出動した部隊の隊員家族に対する留守業務への支援等余り考え付かないニーズもあるかも知れませんね)、今まで以上に喜ばれ・効果的に実施するにはどうするのが良いかという発想で案を出し議論をして、いろいろ見直してみてはどうでしょうか。

●117号(24.1.1)(幼児期の教育の在り方) 小柳 毫向(連合会常任理事)

 先日杉本鉞子さんが書かれた武士の娘なる本に出会った。あまり期待していたわけではなかったが、読んでみるとなかなかどうして久しぶりにいい本に巡り合ったという満足感に満たされた。  
 著者は明治6年に長岡藩の家老の娘として生まれた、今で云うところのお嬢様である。しかし今時のお嬢様と違うのは、小さいころから厳しい教育と躾を受けており、女として必要な料理、裁縫、お茶、お花のほか6歳から四書五経の素読をやらされている。勿論親の強制である。
 文章は語り口調で書かれており実に上品で読むほどに心が洗われる。著者は結婚のためアメリカに渡り、夫との間に二女をもうけるも夫が急逝したため一旦は帰国するが、日本の生活習慣に馴染めない娘のため再び渡米し異国の地で女手一つで子供を育てる逞しさも持っている。天晴れな女性と言わざるを得ない。  
 幼児期に厳しい躾を受けた子供と自由気儘に育った子供では成長して差ができるのは当然のこと、統計では日本の人口は2,050年に約9,500万人まで減少すると予測されている。急速に少子化が進む状況では少数にして精鋭なることが求められるが、残念ながら我が国はその逆に進みつつある。幼児期の教育の在り方を真剣に問うべき時代であるかも知れない。

●116号(23.10.1)(中国の安全保障観) 永岩 俊道(連合会常任理事)

 いまや中国を侵略する国など存在しないにもかかわらず、隣国中国は諸外国への説明も不十分なまま、遮二無二その軍事力を増強しようとしている。
 昨年6月、自衛隊の退役将官数名で中国を訪問し、現役の中国人民解放軍軍人らと周辺情勢等について意見交換したことがあったが、中国の安全保障観は日本のそれとは全く異なる。 中国は共産党一党独裁体制であり、その権力基盤を軍隊に置いている。
 共産党自身の政権を長期に亘って維持しているため、その政策にぶれがなく、極めて長期的な展望に基づき強気の国家軍事戦略を展開してきている。 核や空母の保有についても戦略的である。
 また、軍事大国であることを国威発揚の手段として考えている節もある。
  総じて、中国の国家戦略は非常に重層的で精緻、かつ狡猾であり、強かでもある。「威嚇戦」「麻痺戦」「攻略戦」を強要する一方で、「世論戦」「心理戦」「法律戦」「外交戦」「エネルギー戦」「サイバー戦」等といった極めて多次元の戦略を巧みに操ってくる。
 中国のような「力の政治」を信奉する国家に対しては、バランス・オブ・パワーのパワー・ポリティックス意識を絶対に欠かすわけにはいかず、「拒否的抑止力」の毅然たる提示と強かな外交が不可欠である。
 我が国の安全保障上、ここ数年が自らの覚醒の正念場と認識しなければならないが、いやはや政局の混迷は目を覆わんばかりである。

115号(23.7.1)(東日本大震災に思う) 廣瀬 清一(連合会常任理事)

☆自衛隊の災害時における活動に国民がこれほど敬意と感謝の気持ちを抱いたことはかつてないであろう。  
 それほどに東日本大震災の被害が甚大で派遣の規模が大きかったばかりか、人命救助等の被災者救援から緊急物資の輸送支援、給食給水や瓦礫の除去等、また原子力災害派遣における様々な活動等、不眠不休かつ広範囲の活動は国民の自衛隊に対する認識を決定的に変えたと思う。 ☆かつて防衛大学校第一期生の卒業式において、当時の吉田茂首相は卒業生を前にして、『諸君はこの先、国民から感謝されるようなことはないだろう。その覚悟で臨め』と訓示したと言われているが、国民に感謝される今日の自衛隊の存在を誰が予想できたであろうか。  
 予備自衛官まで動員して行われた十万人規模の災害派遣は自衛隊の歴史に大きな足跡として残るであろう。この経験は今後の自衛隊の在り方を検証する上でも大きな教訓とならなければならない。
☆災害派遣のための予備自衛官招集を誰が予測できただろうか、即応予備自衛官約七千人、予備自衛官四万八千人、予備自衛官補四千人の体制で良いのだろうか。
 予備役の動員とは、そもそも国家存亡の危機に初めて行われるものである。今回の招集は災害の規模が大きかったことの他に様々な意味を持っている。同時に現役自衛官の数は果たして現状で大丈夫なのか。
 この際、定員や予備役制度全体も考え直す機会にしてはどうかと思う。
☆日本国民の自衛隊に対する認知度は間違いなく高まり、今日、国民の自衛隊として存在できるようになったが。国民の防衛意識は本当に向上しているのか疑問も残る。
 自衛隊に対する認識度と国民の防衛意識とは別のような気がする。国民の防衛意識の現れがこの度の防衛大綱や中期防衛力整備計画であるとするならば、今一度、防衛大綱についても検証が必要である。

●114号(23.4.1)(武器輸出の国際常識) 山崎  眞(連合会常任理事)

 昨年暮れ、「産業のグローバル化」の調査研究のため欧米四カ国の政府・シンクタンク・企業等を訪問して来た。我が国の武器輸出三原則が緩和されるかも知れないという報道があったためか、何れの国においてもその話題が頻出した。
 欧米諸国では、産業のグローバル化が進み、防衛産業においても、武器等の共同開発生産・部品の共通化等が常態化しており、各企業は世界レベルの先端装備の提供に強い自信を持っていた。勿論各国とも武器輸出による外貨獲得も大きな国是のひとつになっている。
 当協会も平成22年度研究の一貫としてこの問題を取り上げ冊子を配布した。そもそも武器輸出が禁止されると、どの様な問題が生じるのか。グローバル化が進んだ欧米の現状を踏まえて考えると、次の様なことが言える。
 まず、世界レベルの技術から我が国が取り残される。技術交流はギブアンドテイクの世界であり、外国との共同開発が出来ない我が国は世界から取り残される。次に、自衛隊だけを顧客とする我が防衛産業基盤は弱体化する。世界の先進技術が我が国に入って来なくなるからである。最後に、日本独自仕様で開発生産することにより、同盟国や友好国との装備の共通性がなくなり、これが共同運用にも支障を及ぼす。
 武器の輸出は悪ではなく、むしろ輸出をしないことにより、同盟国・友好国等からの信頼を得ることが出来なくなるのが国際常識である。これが、欧米で得た率直な印象である。

●113号(23.1.1)(領域警備の任務等) 大北 太一郎(連合会常任理事)

 暗夜突然現れた漁船らしき大群が、日本の巡視船の制止も聞かず尖閣に押し寄せてきた。不法上陸者達は、島は我々の領土だと気勢を挙げ、やがて彼等を守るかのように多数の軍用機や艦船が巡視船の前に迫ってきた。悪い夢だが、現に南シナ海ではこの様にして多くの島に中国の国旗が立てられています。
▼昨年九月の尖閣諸島沖事件では、次々に繰り出してくる中国の威嚇や恫喝に国民は歯ぎしりしました。命がけで警戒にあたっている海上保安官は、向こうから軍艦が来たらと思うとゾッとすると、最前線の緊張感を語っています。 ▼急場を救ってくれたのは、いち早く「尖閣は日米安保条約の適用範囲」と言ってくれた米国のお陰です。しかし尖閣を領土の一部だと主張する中国がこのまま黙っているはずがなく、巡視船が遠巻きに監視しているだけでは紛争はまた起きます。韓国による竹島不法占拠やロシア大統領の北方領土視察は許し難いことですが、実効支配を示すには尖閣にも人を置くべきです。
▼軍事大国を目指す異質の隣国とどの様に向き合えばよいのか。尖閣を含む日本の南西諸島海域が中国の内海にならないよう、新たな「防衛計画の大綱」のもとで、島々への自衛隊配備や平時から自衛隊にも領域警備の任務を与える法整備など、今年こそ領土・主権を守る国の本気度を見せて欲しいものです。

●112号(22.10.1)(お盆休み) 田中 満雄(連合会常任理事)

 お盆休みといえば、都会からおじいちゃん、おばあちゃんの住む田舎へ車か電車で帰省するパターンが一般的であり夏の風物詩でもある。
 私には、子供が二人いていずれも独立し、息子夫婦は練馬区に、娘夫婦は近郊の戸田にすんでおり、各々孫が二人ずつ(5,4、3,1歳)います。 目白が実家である我が家に限っていえば、帰省パターンは通常とは異なり、都会から田舎とはならず帰省ラッシュに巻き込まれることもない。
 では、子供達が孫を連れて実家に帰って来た時はどうすれば良いのか、特に孫達が夏休みを楽しく過ごすにはどうすれば良いのかを愚妻と相談をした。
 そこで、一、絶対に怪我をさせないこと 二、無理をしないこと 三、出来る限り孫達の希望を取り入れる、これらを頭に入れて老夫婦は豊島園、お台場、品川水族館、椿山荘、スカイツリーと浅草、鉄道博物館と大奮闘。
 しかし、連日の猛暑と人の波にもまれてヘトヘト、お陰で気力、体力、財力ともグッタリ。
 でも努力の結果、孫達のうれしそうな「笑顔」と子供達夫婦から「有難う」と感謝の言葉もらい、都会でも田舎のおじいちゃん、おばあちゃんに負けないお盆休みができたのではと自負しています。
 それにつけても血の繋がった子供の可愛さはひとしおである。子供虐待の報道が連日新聞、TVでなされているが犬や猫にも劣る行為がなぜ、いつから起こるようになったのか悲しい限りです。
 自分の孫達に限らず、よそ様のお孫さんも元気でスクスクと育ってほしいと願わずにはいられません。

●111号(22.7.1)(部隊・隊員の喜び・励み) 澤山 正一(連合会常任理事)

▼ 私が自衛官を退官して、もう2年が過ぎようとしていますから大分前の話になります。  長崎県大村市に駐屯する第16普通科連隊長に着任した時、連隊は島原半島にある雲仙普賢岳噴火の災害派遣の真っ最中で、災害派遣中の連隊への赴任となりました。
▼ 大きく長期の災害でしたから「災害派遣当初は、日本中が注目し、多くの人々の慰問・激励をいただいたが、最近は殆どなくなった」のが着任時の状況でした。 それでも隊員たちは黙々と災害派遣の任務に服していたわけですが、数ヵ月後珍しく慰問があり、現場指揮官である連隊長が、島原城の現場指揮所で部隊を代表して慰問者にお会いすることになりました。
▼ 慰問者は歌手のキム・ヨンジャさんで、「毎年欠かさず慰問にきていただいている」との事でした。  当日お会いして慰問品等をいだだきましたが、その際「なぜ、毎年欠かさず慰問に来ていただいているのですか」との私の質問に「軍隊が、国民のためこれだけ一生懸命頑張っておられる事に、国民として感謝の意を表し、慰問するのは当然です」(彼女の言による)とのことでした。
▼ 防衛協会の皆様の心もこれに通ずるところがあるのではないでしょういか。 近傍の駐屯地・基地又は災害派遣等の現場に赴き、「お疲れ様」「ご苦労様」と声をかけ励ます等の行事を企画・実行していただければと思います。それが部隊・隊員にとっては、何よりの大きな喜び・励みになるのですから。

110号(22.4.1)(誇りある歴史認識) 廣瀬 紀雄(連合会常任理事)

 ▼転勤族で各地の名所旧跡を訪れ、魏志倭人伝の伊都国に比定される福岡県前原市の「平原遺跡」(卑弥呼を想像させる祭祀遺構や鏡の大量出土)を見たことや、以前の居住地(奈良市)近くの「巻向遺跡」(櫻井市)が邪馬台国の有力候補地であったことから勤務地の歴史に興味をもった。 ▼ところで、我々も含め就職等で早くに故郷を離れた人が多く、意外と郷土について知らない。ある部隊での幹部課題論文で、「郷土の歴史等について述べよ」を課題の一つとしたことがあった。この論文作成を通じ、改めて郷土の歴史・伝統・文化に触れることができ有意義だったとする人も多かった。年配の知人に勤務地での英雄伝を紹介したところ、郷土に誇りが持てて地元の同窓会に出るようになった方もおられた。 ▼最近のテレビで、ある人が「民族存立の根源は、民族神話と誇り得る歴史認識が代々受け継がれていくこと」と発言されておられた。わが国には、古くは古事記・日本書紀に記す神話・歴史があり、近くは、五カ条の御誓文がある。「たかが歴史、されど歴史」。精神的な日本再生には、国民が、今一度、身近な郷土史や記紀等を通じて、日本国民として誇りある歴史認識を取り戻す必要があろう。

●109号(22.1.1)(研究開発の重要性) 廣瀬 清一(連合会常任理事)

▼目黒にある艦艇装備研究所の本館の前に「技術報国」と書かれた碑がひっそりと存在している。旧軍時代の碑であろう。際だって人目を引くこともない。自衛隊には「技術抑止」と言う言葉がある。日本の防衛政策で正式に使われている用語ではないと思うが、技術力の持つ潜在的な抑止効果等の総称を意味すると思う。昔からよく聞かされた。 ▼戦後、北東アジアにおいて日本はそれなりの技術立国であり、周辺国よりも先進技術の面で優位に立っていた。軍事技術の面でも旧軍時代に築かれた技術基盤の上に構築された軍事技術力があった。膨大な兵力を有する大国が存在しても先進技術面で日本が優位にあり、周辺国に対し潜在的な抑止の役割をしていたと思う。今日はどうかと言えば、軍事技術面での周辺国の躍進により、もはや安閑としていられない状況にある。おまけに日本の厳しい財政状況の中にあって、技術力の持つ間接的な意義や機能を論ずる余裕は今の日本にはない。八年連続マイナスの防衛予算では、装備開発にも自ずと限界があり、将来を見据えた新たな技術開発は前途多難であろう。
▼専守防衛・非核三原則・武器輸出三原則等と自らの防衛基本政策に多くの制約を課していることを忘れ、何でも安価な外国の装備品にすることは如何なものかと心配である。官僚主導・装備開発=軍産複合の悪いイメージが先行する日本の世相にあって、研究開発のため日夜コツコツと努力している人々を忘れてはならない。

●108号(21.10.1)(外交・安全保障の連続性) 山崎 眞(連合会常任理事)

▼注目の総選挙は民主党の大勝となった。民主主義が成熟した欧米において、与野党間の政権交代は特に珍しいことでもなく、政権交代後も重要政策については極端な変更がないのが通例である。しかしながら、現在のところ民主党の政策、特に外交・安全保障政策については、今後どうなるのかがよく分からない。
▼ひとつ分かっているのは、インド洋派遣のような米国主導型の国際協力参加については反対と明言していることである。社会保障の財源捻出のために防衛費を縮小すると言う人もいる。また、強固な日米同盟があるにもかかわらず軸足をアジアに移すのが同党の本質的な方向性である。
▼心配なのは、仮にこのような政策を本当に施行した場合、我が国の外交・安全保障政策の連続性が保てるかということである。最悪、「無責任国家」のレッテルを貼られ、国際社会からの信頼を大幅に失い、同盟国である米国からも見放されることになりかねない。
▼今でも見放されるか否かの瀬戸際にある。安全保障の見地から見れば、米国は日本より韓国の方により信頼を置きつつある。一方、中国・北朝鮮から見れば「御しやすい政権」の出現により我が国から最大の利益を引き出せることになるだろう。一度このような事態に立ち至ったならば、これを現状に戻すだけでも10年以上はかかる。いや、国際関係の構造変化により二度と取り戻せなくなるかも知れない。外交・安保政策の連続性が求められる所以である。

●107号(21.7.1)(チャンスの神様) 廣瀬 紀雄(連合会常任理事)

▼本年4月4日、テポドン発射の誤報に対するマスコミ報道は、自衛隊非難で溢れた。しかし、今回のテポドン事案は、日本防衛の実情と課題を明らかにした。
▼戦には、戦機というものがあり、「チャンスの神様(カイロス)には前髪はあるが後ろ髪はない」とのことわざがあるように、事前にミサイル発射の兆候探知手段を講じ、平素から迎撃ミサイルによる初動対処能力を整えていれば、ピンチをチャンスに変えることが出来る。どちらを欠いても勝利は覚束ない。
▼今回の事案は、我が国が弾道ミサイルの探知手段を保有したこと、射程的に迎撃ミサイルの能力不足を明らかにした。当初、誤報となったが、起こり得るリスクである。報道によれば、1分後に誤探知と判明し、迅速に訂正されている。これは、平素から領空警備での経験が生かされている。
▼今回の教訓を基に、周辺国が核弾道ミサイルを実戦配備しているという現実を直視し、早期警戒衛星の保有や米国と連携した対処能力を担保する必要がある。
▼今回、マスコミの批判に拘わらず、麻生総理が、防衛省を励まされたことは、隊員の士気高揚に貢献したと思う。また、ゲーツ米国防長官の「自国への脅威でないミサイルには対応しない」との発言を重く受け止める必要があろう。

●106号(21.4.1)(若者達の意識) 大北 太一郎(連合会常任理事)

▼「戦後の日本の平和は、憲法第九条があったから守られたという意見ですか?」「第九条があったからとは思いません。自衛隊の方々の努力はもちろん認めますし、日米安保条約の力も大きかったと思います」。正月、大学生によるNHKテレビ討論「日本の平和貢献」の一コマである。
▼オヤッと思ったのは、いつもの不毛な対立ではなく、相手の意見にも一定の理解を示したことや、結論が「日本は戦えない国でなく、(力を持った上で)戦わない国を目指すべきだ」となったことだ。若者達の意識が世界の常識に近づいたのか。
▼米国大統領オバマ氏は、安全保障について就任演説の中で、安全と理想のどちらか一方を選択するのは間違いだと、理想を求めつつも力を背景にした現実対応の考えを明らかにした。
▼国際貢献が自衛隊の主任務の一つになって二年、ソマリア沖の海賊対策として新たに海自部隊が派遣された。混迷する政治状況の中で必要な法律さえ不十分なまま、任務達成は今回もまた派遣隊の努力に委ねられている。
▼今年、創立二十周年を迎える全国防衛協会連合会には、国民のさきがけとして更なる挑戦が求められよう。決意を新たに、日本のため自衛隊のため誇り高く進みたい。

105号(21.1.1)(日本である理由) 渡邊 元旦(連合会常任理事)   

▼謹賀新年。今年の干支は“牛”ですが、“丑”とも書き、“紐”、即ち万物が厳しい寒冷の地中にあって、春を待ちながら忍耐強く鋭気を養い、活動に備え、力強く働き始める様子を意味するそうです。
 防衛省・自衛隊の頑張りを大いに期待しています。
▼塩野七生氏の『ローマ人の物語』の3世紀前半(ローマの衰退期)のところに「ローマは、ローマである理由を少しずつ、自らの手で失いつつあったのである」、数行置いて「ローマ帝国のためにつくす人はすべてローマ人であり・・」という記述があります。
▼ローマ(人)を日本(人)に置き換えてみましょう。
 「日本のためにつくす人はすべて日本人」とまでは言えませんが、「日本は、日本である理由を少しずつ、自らの手で失いつつある」とは言えるのではないでしょうか。
▼山海の幸や温暖な気候に恵まれた自然との共生、素晴らしい日本語、それらを背景とする歴史、伝統等、守るべき「日本である理由」はたくさんあると思います。
 新学習指導要領に基づく教育が実施されつつありますが、成果が出てくるまでは今の大人が「日本である理由」を失わないように努力することが大切ではないでしょうか。
「子供さんやお孫さんと一緒に初詣!」してみませんか。

●104号(20.10.1)(防衛力整備) 廣瀬 清一(連合会常任理事)

▼先般、「宇宙基本法」が成立し、防衛の分野でも宇宙利用が可能となった。しかしながら、宇宙に関する新たな装備構想などは一向に聞かない。政府の緊縮財政「骨太方針」が続く中、7年連続マイナスの防衛予算では、新たな装備開発構想等は難しいであろう。
▼一方、周辺国の国防予算は皆2桁で増加し続けている。特に中国は19年連続の増加であり、既に日本の防衛費を凌駕して近代化を進めている。
▼近頃は「防衛力運用の時代」と言われ、「国際平和協力活動」「統合運用」「組織改編」に関心が集まり、防衛力の整備充実や新たな防衛力整備の構想は全般に「軽薄短小」的で関心が低い。おまけに装備品調達に関連する不祥事が続き、防衛力整備の分野は氷河期を迎えている。
▼「運用」は長年築きあげた防衛力があってこそ可能である。益々軍事技術が進んでいく中で10年以上に亘る防衛力整備停滞のツケができることは避けたい。
▼気がついたら、技術大国日本の防衛技術が他国の後塵を拝することにならないよう、次期「中期防衛力整備」の議論で世論に訴えて頂きたい。そのための「省改革」における防衛力整備部門の一元化であれば意味がある。

●103号(20.7.1)(部隊・隊員を激励) 澤山 正一 (連合会常任理事)

▼最近、防衛省・自衛隊で様々な事案が起きています。組織は人で構成されていますが、人は様々なことを起こします。油断もあれば、魔が差すこともあるのでしょう。組織としては、この様な場合、平素の教育はもちろん、起きた後の原因究明・再発防止に真剣に努力することは当然なことです。
▼一方、忘れてはならない重要なことは、自衛隊は国の防衛はもとより、国際平和協力業務及び災害派遣等で立派に任務を遂行し、高い評価を受けているという事実です。殆どの部隊・隊員は日夜訓練に励み、与えられて任務を立派に果たしているという極めて「健全な組織」です。一部の事案で、全体がおかしいと判断したり、部隊・隊員の士気まで影響を受けているとすれば、悲しいことです。
▼自衛隊が逆境にあるのなら、この様な時こそ、我々防衛協会及び会員は、一般の国民に対しては自衛隊の「真の姿」をよく見てほしいと注意を促し、国家・国民及び世界平和のために、黙々と訓練に励み、任務を遂行している健全な部隊・隊員に対しては、「引き続き任務遂行に頑張ってほしい」と力強い激励を送ろうではありませんか。

●102号(20.4.1)(米大統領選挙) 山崎  眞(連合会常任理事)

 現在、米国の大統領選挙が佳境に入り、予備選も大詰めになりつつある。米国の大統領は、世界の政治経済に大きな影響力を有するだけでなく、我が国のような同盟国にとっては国の態勢そのものにも大きな係わりをもつ重要な存在である。この意味において、我々もこの選挙には特別の関心をいだかざるを得ない。
 我々は、この選挙を次の大統領が日本に対してどのような政策をとるのか、更に言えばどれだけ我が国のためになる大統領なのかという目で見なければならない。スーパーチユーズデー後の情勢を見ると大統領候補は民主党のオバマ氏、クリントン氏、共和党のマッケイン氏の三人に絞られたようである。  
 オバマ氏は「チェンジ」を標語に掲げているが、日本をどの程度知っているのかについては全く未知数であり、政策についてもよく分らない。
 クリントン氏は米国のある有識者に聞いたところでは少なくとも親日ではないが、親中でもない保護主義者だということである。
 マッケイン氏は海軍軍人で、ベトナムでの長期の捕虜生活の経験を持つ英雄である。大統領になった暁には、知日派のスタッフを持つことになるであろうと言われている。
 11月の本選挙までにはまだ相当の月日がある。十分な関心を持って眺めて行きたい。

●101号(20.1.1)(創造性開発) 廣瀬 紀雄(連合会常任理事)

 若い頃、先輩から川喜多二郎氏の創造性開発手法(KJ法)を教えていただいた。潟GバーフィールドのHPによれば「KJ法は、先入観・偏見を排して、データを集め、データをまとめ、新たな視点からの発見や問題解決策を導き出す発想法である」とされている。
 当時、グループに命題を出し、各自思いつくキーワードを複数出させ、似通ったものをグルーピングし、更にその要約について思いつくキーワードを出させ思考を発展させていく。これを繰り返していくうちに、他人の意見に触発され、一人では考え及ばなかった命題の解決策につながっていくというものであった。
 これに関連して、最近、「得手不得手」、「持ちつ持たれつ」という言葉が思い出される。人間でも組織でも得意とすることと得意でないことがあり、相互に助けたり助けられたりすることにより、ものごとは発展的に進む。
 現在の世の中を見てみると、相手の欠点をあげつらい、自己の考えのみを主張し、ものごとが一歩も前に進まないことが多い。数少ない経験においても、一人+一人が二人以上の成果を上げる職場や逆にマイナスになる職場を経験した。今日の内外情勢を見ると後者のような気がするのは私一人であろうか。

100号(19.10.23)(虫の目・鳥の目) 渡邊 元旦(連合会常任理事) 

 夏の参議院選挙が終わった。見事と言ってもいいほどの与党の惨敗である。敗因は、年金問題、政治資金問題、閣僚不祥事問題など言い訳できないものばかりであり、「いい加減にしろよ」という国民の気持ちがよく出ていると思う。  
 さて、物事を考えるのに必要なこととして「虫の眼」(現状・現場を見る眼)、「鳥の眼」(将来・大局を見通す眼)という言葉がよく使われる。国政において最も必要な視点であると思うが、今回の選挙は、結果として「虫の眼」特に国民の生活に直結した「眼」が曇っていないかが問われることになった。
 一方、国防や教育などについてはどうであったろう。教育基本法が改正され、防衛庁が防衛省になり、更には 国民投票法が成立したということで国民も政治家も満足してしまったのかもしれないが、国防や教育という「国の行く末」を考える上で最重要の事柄について「鳥の眼」はおろか、「虫の眼」レベルでも論点にならなかったのは極めて残念である。
 この11月1日に「テロ特措法」が期限切れになるが、 この法律は、わが国の防衛にも係わる重要なものである。民主党の代表は国会の始まる前から「絶対に延長させない」と公言し、政府・与党も国会が始まった直後に総理・総裁が交代するなど、混乱の極みにある。  国政を預かる政治家には「鳥の眼」はもとより、確かな「虫の眼」も持っていることを心から望みたい。

●99号(19.7.23)(海の安全と権益) 山崎 眞(連合会常任理事)

 我が国は四面を海に囲まれた海国であるが、意外と国民の目は海に向いていないと言われている。  豊かな先進国であるにも関わらず海洋レジャーは、未だごく一部の人たちにしか行き渡っていない。
 貿易立国とは言っても、我が国に籍を置く外航商船は百隻にも満たず、日本人の外航船員は2,500人程度しかいない。  我が国は食料の60%、そのうち穀物の80%、石油などのエネルギー資源に至っては99%以上を海路からの輸入に頼っているが、その殆どは外国の船と外国人の船員によって運ばれている。
 また、この海路(シーレーン)は、冷戦終結後発生した海賊、海上テロ、不法行為などによって常に脅かされており、更に平時・有事を問わずシーレーンに脅威を及ぼす恐れのある200隻を超える高性能潜水艦の存在がある。
 一方我が国は、多くの資源を内蔵し、世界第6位の広さを誇る排他的経済水域という重要な権益を有するが、ここも通告の義務を無視した海洋調査など、種々の不法行為により侵蝕されそうな気配である。
 本年4月に成立した海洋基本法は、国家的海洋戦略が欠如していることにより我が国の国益が犯されている現状に鑑み、確固たる国家戦略をもって海の安全と権益を守ることを目的とする法律である。国が一体となって、強力な施策を進めることを期待し、見守ってゆきたい。

●98号(19.4.23)(定時定点) 廣瀬 紀雄(連合会常任理事)

 昨年は、海自観艦式を観閲付属部隊から研修でき、観閲部隊と受閲部隊の交差が予定通り(± (プラスマイナス)秒以内)であったことに感動した。かって空自は、長野オリンピック開会式で「第九」演奏直後のタイミングを捉え見事ブルーインパルスの妙技を披露した。
 また、陸自は富士総合火力演習において、砲弾の炸裂煙で見事に富士山を描いて見せた。
 この陸・海・空自の秒単位の定時定点は、規模や性格が異なるとはいえ、いずれも周到な準備と組織的な連携、厳しい訓練や高い士気が無ければできない。
 話は変わるが以前、上司から郷土の英雄「山本五十六元帥」(暗号解読され前線視察中に待伏せ攻撃され戦死)の例を引き、「時間を守らない人間は信用できない」と指導された。元帥出身の旧長岡藩(新潟県)では、今も良き伝統が受継がれているように思う。
 今日、デートで30分や1時間の遅刻も携帯電話のやりとりで対応できる時代になった。しかし、このような時代でも、時間を守らない人間は信用できないということは生きているような気がする。私も最近、約束を失念したり余裕のない行動をとるようになった自分を戒め、定時定点は「自分の心構え次第」と反省している今日この頃である。

●97号(19.1.19)(北朝鮮・核ミサイル) 山崎  眞(連合会常任理事)

 北朝鮮が弾道ミサイル連続発射に続いて核実験を実施したことにより、近い将来弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭を開発する恐れが現実のものになってきた。通常弾頭と比べて、核弾頭を搭載するミサイルは、その戦略的意味を含めて脅威の度合いが全く違ってくる。
 シーファー駐日米大使は、先日の記者会見で「発射された弾道ミサイルが日本を標的にしていることを見極めるまでは迎撃しないのか。これは日米同盟の根幹に係わる問題だ。」と発言し、日本政府の考えを質した。正直なところ、こんな基本的な問題がまだ解決されていないのかという疑問を持つ。
 わが国が、米国に向け飛んでゆくミサイルを探知しながら、本当にそのまま見逃すことができるのだろうか。尤も、北朝鮮、中国から米本土へ向かうミサイルは日本の上空を飛ばない。はるか北のカムチャッカ上空を飛ぶことになるのでわが能力では迎撃できない。
 問題は、ハワイ、グアムへ向けて発射されたミサイルだ。これは、わが上空を飛んで行く。ハワイ、グアムも勿論米国である。故障、分解等によりわが国へ落下する恐れのあるミサイルを含めて、わが上空を通る弾道ミサイルは全て撃墜するという確固たる決心を早期にすべきである。

●96号(18.10.23)(靖国参拝) 大越 康弘(連合会常任理事)

 北朝鮮が弾道ミサイル連続発射に続いて核実験を実施したことにより、近い将来弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭を開発する恐れが現実のものになってきた。
 8月15日終戦記念日の小泉総理の靖国神社参拝は、自民党総裁選、アジア外交ともからみ大きな話題となった。国民の賛否も割れている。
 総理が、国のために犠牲になった戦没者に慰霊するのは当然のことであり、外国からとやかく言われることではない、という意見がある。
 他方、極東軍事裁判の判決の正当性に問題があるとしても、三百万人以上もの日本国民の尊い人命を犠牲にし、そして近隣諸国にも多大の苦痛と犠牲をもたらすことになった日中・太平洋(大東亜)戦争へ国策を誤って導いた国家指導者には心から慰霊する気持ちになれない、従って総理は参拝をやめるべきだという意見もある。
 いずれにしても、総理の参拝について、国論が割れ、外交問題となって外国から乗ぜられることがないように、早急に対処、解決すること必要がある。

95号(18.7.23)(国を愛する心) 渡邊 元旦(連合会常任理事)   

 奈良県櫻井市に、霊峰三輪山をご神体とする大神(おおみわ)神社がある。記紀に出てくる古社である。
 陸自中部方面隊に勤務していた一昨年の暮れに、知人の紹介で、翌年早々にイラクへの派遣が予定されている隊員諸君の安全祈願のために該社に参拝する機会を得たが、その際に鈴木宮司から、「大神神社のご祭神、大神神社と伊勢神宮の関係」など、数々の興味ある話を伺うことができた。
 以来、「三輪山の古代史」、「古代王権の神話」などの関連書を読んできたが、古代史の門外漢である私には難解な部分が多いものの、その内容は面白く、おぼろげながらも我が国の成り立ちや渡来人について、また、大神神社の関わりについて、はるか昔のことであるが、身近なものとして感じることができるようになった。
 自分の不勉強を恥じるとともに、「地に足の着いた歴史教育」の必要性を痛感している次第である。
 現在、教育基本法の改正が議論されているが、焦点の一つとなった「我が国と郷土を愛する心」を、日本の将来を背負って立つ子供達に如何に涵養していくかが喫緊であり、その具体策の一つとして、外国の史書に惑わされることなく、記紀をはじめとする我が国の歴史書や身近にある神社の由来などを通して、子供達に郷土を、ひいては国を愛する心を育んでいってはどうだろうか。

●94号(18.4.23)(閑中忙と国を守る体制) 廣瀬 紀雄(連合会常任理事)

 昭和50年頃、奈良東大寺清水管長の講話「演題:三余愚想」で「閑中忙」という言葉が印象に残り、当時は「暇があったら本を読みなさい、何かあったときに役に立つ」と理解していた。現在は、孫子の兵法ではないが「平和な時に国を守る準備をしなさい、いざというときに役に立つ」と解釈している。  
 現在、有事法制が制定され、憲法や教育基本法の見直しが政治課題となり、これらにより、一国平和主義という戦後民主主義の影響が直ちに解決するとは思われないが、ナポレオンが云ったという「戦いに敗れた民族は100年立ち直れない」という言葉に係らず、近いうちに日本は立ち直れると期待している。  
 私は、以前から「憲法が国を守ってくれるわけではない、しかし、憲法が国を守る体制を創りあげる」と考えてきた。「閑中忙」の言葉のように、この平和な時代、防衛力及び安保環境の整備と相俟って、自国及び関係国の歴史・伝統・文化の相互理解と尊重に基づく健全な愛国心を涵養し、物心両面にわたる国を守る体制の構築が大切である。
 現在を生きる我々にとって、歴史の正しい教訓を踏まえて、我が国の平和と安全及び独立を保障する体制を子孫に遺すことが最大の責務であろう。